表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
夢の世界の宝石  作者: ぼじょばに
22/23

早朝の来客その2


「っあ」


 エリは靴をそろえ家に上がったのだが、何もないとこで躓き俺の方に倒れこんできた。


「危ない!」


 俺はとっさに抱き留めたが、勢いを殺し切れずに、倒れてしまった。


「いったー、大丈夫?エリ?」


 多少背中をうち付けたが、頭は打たなかったので大丈夫だろう。

 そんなことよりエリが心配だ。

 俺が下敷きになったので怪我の心配はないだろうが、大丈夫だろうか?

 上体を起こしながらエリの様子を窺おうと首を下に向けた。すると……、

 腰みのの外れた状態の俺の恥部に顔面から突っ込んでいる彼女の姿がそこにはあった。


「どうしてそうなった!!」

 

 叫ばずにはいられないような状況だ。


「あわあわ!すすっすいません!…?なんですぅこれ…」


 俺の恥部に顔を押し当てているなどとはつゆほどにも思っていない彼女は、もぞもぞ身動きを取って恥部に刺激を与えてくる。っちょやめて!それ握らないで!事案が発生しちゃうから!


「っちょ!エリ!動かないで!お願い!」

「?はい、もしかしてどこか打ったんですか?リュウジさん!大丈夫ですか!」


 俺は股間の刺激に耐えて声を上げたが、エリは焦る俺が怪我でもしたのではないかと受け取ったようだ。


「どこが痛いんですか?見せてください!」


 エリは慌てて起き上がった。

 俺のたった一つのジョイスティクを強く握りこみ、起き上がる支点にするため思いいきり体重をかけて、


「〝う〝う〝う〝う~」

「っだ大丈夫ですか?どこが痛いんですか?リュウジさん!」


 俺は今まで生きてきた中で最大の命の危機を迎えていた。

 ジョイスティクが握りつぶされてしまう!

 まだ未使用な新品なのに!

 やだ!やだよ!剛直を取り戻したばかりなのに!俺の相棒がこのままじゃ折れちまう。てか痛い!尋常じゃなく痛い!エリ!どんな握力してるの!クルミ殻ごと握りつぶせたりしないよね!?


「〝い〝い〝う〝ふ〝ん〝ん〝あ〝あぁ~」


 俺は声にならない声を発し必死に彼女が握りこんでいるであろうジョイスティクに震えが止まらない指を向ける。

 頼む気付いてくれ!俺の男の象徴が破壊させる前にぃー!

 俺はエリに全裸を晒していることなど気にも止めずに必死に自らの生存のために主張を続けた。


「!、足が痛いんですかリュウジさん!待ってってください!すぐ見………っきゃ!」

 

 視線を足に向ける前に自分が何を握っているか彼女は分かったのだろうか。

 ジョイスティクに込められている力が弱まった。

 驚きのあまり握りつぶされなくて本当に良かった。

 ……どうやら俺は助かったようだ。

 ……にぎにぎ、にぎにぎ、エリは俺のジョイスティクをやんわり握り続けている。


「っちょ!っちょ!エリ!それ駄目!ホントにダメなやつ!」

「………………」


 エリは無言で虚空を見つめ、にぎにぎし続けている。

 このままではR18案件になってしまう!本当にダメなやつだ!

 俺が若干絶望していると、

 パチン、と指を鳴らす音が聞こえた。すると、

 俺の恥部にモザイクがかかった。

 ……モザイク越しに俺のジョイスティクがにぎにぎされている。

 ……事案発生!事案発生!

 これはある意味さっきよりやばい!

 モザイクの誤魔化しにより事案発生中にしか見えない!

 パチンと、指を鳴らす音とともにモザイクが消え声が聞こえた。


「エリ!何をしているのですか!このまま押し倒しなさい!既成事実さえあれば男は女の言いなりなのです!」


 とんでもないことを口に出す六花さん……いや、もう六花でいいや!

 その声を受けてもエリは無言でにぎにぎするのみだった。

 パチンと、指を鳴らす音と共に俺の恥部に再びモザイクがかかり今度は俺のそばから声が聞こえた。


「あらあら、無理矢理は良くないんじゃないかしら六花。あなたの恋愛観では本人たちに任せて部外者は口出ししないんじゃなかったかしらね」

「お姉さま!例外はつきものです。チャンスがあればものにすべきなのです!」

「さすがにR18展開はまだ二人にははやいんじゃないかしら?」

「そんなことありませんお姉さま!最近の子供たちは早いんですよ!○学生にもなればみんな経験済みです!」


 ……なんて二人で姿を現さず口喧嘩し、パチンパチン指を鳴しあい、俺の恥部にはモザイクがかかったり、取れたり、またかかったり……この状況は何なのだろうか?

 幸いなことなのか俺はこの状況に呆れてしまっていてジョイスティクに与えられる刺激に鈍感になることができていた。

 とにかく学校に行ってこんなコメディーが発生しないであろう授業を受けて休憩を取りたい。

 俺の日常はこんな感じで続くのだろうから、少しは安らぎの時間がほしい。

 俺が現実逃避していると場面が動いた。


「……!私はなにを?あ!ごご、ごめんなさいリュウジさん!」


 突然正気に返ったエリは、ものすごい速度で頭を下げた。

 俺の股座に腰を下ろしていた彼女は自分が何を握っていたのかは理解できたのだろうが、自分が何に頭を近づけているのか混乱のあまり理解できていないのだろう。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ