早朝の来客その1
ピーンポーン、チャイムが鳴った。
人がかっこよく締めようとしていたのにしまりが悪いじゃないか。
沈黙がしばらく続く。
ありさは、二階の自室にいるのでチャイムが聞こえないのだろうか。
俺が対応するしかないのか。
だが、裸はさすがにまずい。
何か服を着なくては…自室に行かないと着るものがないな。
しぶしぶ居間を出て階段に向かおうとした時だった。
「誰もいないんですか?あれ?開いてますねぇ?あの、どなたかいらっしゃいませんか?」
玄関の戸が開き彼女と目があってしまった。
「「あ!」」
お互いにポカーンと見合ってしまう。
「あ、あのあの、妹背エリですぅ。ちゃんとお話しするのは初めましてというか。夢ぶりというか、と、とにかくおはようございます!リュウジさん!」
先に立ち直った彼女、銀髪にオッドアイ、外人さんのようなビジュアルの妹背さんが俺にペコリとお辞儀をした。
彼女はそのまま顔を上げず目線を合わせようとはしてくれなかった。
それはそうだろう、腰に巻くタオルのみでほぼ全裸の男が目の前にいては。
もし立場が逆だとしたら…あれ?うれしいだけじゃないかそれは?ガン見したら怒られるだろうからちらちら見るだけだろうけど。
「あ、あのあの、ご迷惑でしたでしょうかぁ?」
「?、何がかな」
もじもじしている妹背さんに俺は近寄り玄関の中に入って貰った。
戸が開いていてはご近所の皆さんにまでこの姿を見られてしまうかもしれないしな。
その時に妹背さんの赤ら顔を横から覗き見る形になってしまった。
しかし俺も正直恥ずかしさから赤くなってしまっているのだろう。
妹背さんに裸をみられるのはなぜか恥ずかしい、夢の中で公園の水場で零に見せつけ全裸洗体をしていたこの俺がだ。
早く服を着たい衝動に駆られこの場を離れたい俺に、
「一緒に学校に行きたくて勝手にお迎えに来ましたし、リュウジさんなんて下のお名前を呼んで馴れ馴れしかったですよね。ごめんなさい。」
話の続きをしてくる妹背さん。
しょんぼり肩をおとしてしまっている彼女に俺は、
「全然そんなことないよ!俺も一緒に学校に通いたいし、妹背さん…いや、エリって呼ばせてもらってもいいかな?俺こそ馴れ馴れしいかな?」
腰みの一張で頬をポリポリ掻きつつ対応した。
彼女の落ち込む姿を照らせるなら俺の恰好など些細なものだ。
「え、エリですかぁ?呼び捨てで読んでもらえるなんて嬉しいですぅ」
妹背さん…いや、エリは両手を頬に当てて、体をくねくねさせている。
名前呼びがそんなに喜んでもらえたんだろうか?
とりあえず、エリの落ち込む姿なんて見たくなかったからよかった。
さて、じゃあ服を着たいし上がって貰って待っていてもらおう。
「エリ、上がって待っててもらってもいいかな?急いで服着てくるからさ」
「は、はいですぅ。お邪魔しますです。……そのままの恰好でもいいですよ」
エリは何かつぶやいた気がしたが俺には聞き取れなかった。
エリは夢でソファーでくつろいでいたので居間の場所は知っているだろうが、マナーとして案内しようとエリの前で、彼女が玄関から上がってくるのを待っているときに事件は起きた。




