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夢の世界の宝石  作者: ぼじょばに
20/23

おふろあがり


「ふぃ~、あち~」


 俺は洗面室で熱を持っている体にバサバサタオルで風を送っていた。

 一通り体は拭いたが8月終わりの朝方、すでに日は昇っており、室温と相まってすぐに体は汗をかいてしまう。


「このまま、居間で過ごすか~」


 ありさは自室の掃除をしているだろうし、俺は腰にタオルを巻いたまま、裸で居間に向かった。

 クーラーは偉大な発明だ。

 どんなに汗を流していても、その息吹に包まれていれば癒されてしまう。

 現代の魔法だろう。

 夢の経験を活かし、居間のドア越しに人の気配を窺う…よし!誰もいないはず。テレビでも眺めながら涼を取りますか。

 

 俺は冷えた麦茶の入ったグラスを片手にテレビをつけソファーでくつろいだ。

 朝のニュース番組はとりたてて注目する事件もなく流し見しながら、俺は思考する。

 今週で8月は終わるが、俺の新しい日常は8月の終わりから始まっていくんだな…

 学生生活が終わる前に呪いを解いてもらって普通の恋愛がしたいな…

 妹食いと呼ばれ男女問わず避けられてる今の状況じゃあ難しいだろうけど。

 せめてナオト以外にも話ができる友達が欲しいなぁ。

 

 気にしたら負けな気はするけどぼっちはつらいよ。

 …でも、これからは夢遊戯として現実と夢を行き来するファンタジーものの登場人物になるわけだし少しくらい変なキャラ付けがあるくらいが丁度いいのかもな。

 俺のちょっと変わった日常の幕はこうして上がっていく。

 俺が最後にたどり着くのは、現実か覚めない夢を見るのか分からないが日々全力で生き抜けようと思う。

 俺にできるのはそれくらいだしな。

 俺の心情を聞いたかのようにニュースキャスターのお姉さんが「これからも頑張ってほしいですね」なんていった。

 そうだな、頑張ってみますよ。

 零、ミズハ、新米夢遊戯の俺に力を貸してくれ!

 ありさ、お前を悲しませるような結末にはしないから安心してみていてくれ。

 8月の終わり一人の夢遊戯が生まれたのだった。


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