ゆめのせかいのあんてぃーく
~幕間~
無数の宝飾品が飾られている。
ただただ広い部屋の中に、
色とりどりの宝飾品たちがこの部屋の主であるかのように、
宝飾品たちは囁きだす。
あるものは嗤い、あるものは嘆く、
宝飾品たちは踊りだす。
漂うように、沈むように、
何かに導かれるように。
「さあ、宴の時間よ」
この部屋唯一の扉が開かれる。
「夢か現か、幻か。今ひとたびの花を咲かせてごらんなさい」
その声と共に無数にあった宝飾品のほぼ全てが元からその場に存在していなかったように消えてしまった。
「さぁて、私を楽しませて貰えるのかしらね」
微笑みと共に彼女も霧のようにその場から消えていた。
~
目覚めると真っ暗だった。
あー変な時間に起きちまったな。まだ夜中かよ。
あれ、おかしくないか?なんで座って寝てるんだ?ベットで寝てたよな俺。
てかここどこだ?あきらかに俺の部屋じゃないじゃないか。
こんな時こそリラックスだ、落ち着け俺、これはきっと夢だ。そうに違いない。
でも夢の割には自分の意思もハッキリしているし、まるで現実のような感覚だ。
「お目覚めはいかがかしら」
どこかからかいを含んでいるような少女の声とともにシャーッと音が聞こえ、部屋に明りがさしこんできた。
窓から差し込む月明かりに照らされた部屋はどうやら俺が通っている学校の教室のように思える。
「こんばんは。初めましてかしらそれとも久しぶりって言えばいいのかしらね?」
夜の学校で座ったまま寝ていて、さらに謎の少女から声をかけられる。うん、やっぱ夢だねこれは。
「また会えてうれしいわ。リュウジ」
名も知らぬ少女は口角を三日月のように釣り上げてクスクス笑っている。
なんだか怪しい雰囲気を感じるけど言葉のキャッチボールをしてみよう。
「きみは誰?なんで俺の名前知ってるの?」
「あら、やっぱり忘れてしまっているのね。所詮夢ですものね。でもねリュウジ覚えておいて、うたかた
の夢でも意味はあるものよ」
質問の答えは返ってこなかったけど、なんだか意味深なことを言っている様な気がする。
「いけない、あまり時間が無いみたい。これを受け取って。」
不意に近づいてきた少女は俺の手に乗せるようにペンダントを渡してきた。深い青色のクリスタルみたいなものが月明かりを受け輝いている。その光はまるでペンダント自ら放っているみたいだ。
「いい、なにがあってもそのペンダントを離しちゃだめよ」
「ちょ、待って、あれ?」
さっきまで目の前にいたのに突然彼女は消えてしまった。
おかしいとは思うがこれは夢なんだろうし、きっとなんでもありなんだろう。それにしても、かわいい子だったなぁ、薄暗いのではっきりとは分からないがきっとだ。だって、ゴスロリだよ。しかも、幼女だよ。俺の夢、いやイマジネーション力グッジョブ。
ニヤニヤしているとチャイムが聞こえてきた。
キーンコーンカーンコーン、視界がぐにゃりと歪んだ。
キーンコーンカーンコーン、地に足がついている感覚が無くなり、浮遊感を感じられる。キーンコーンカーンコーン、何も感じられなくなり意識が途絶えた。
~