見捨てられた日記
掲載日:2019/09/24
忘れものしたみたい。
でも、忘れものしたこともわすれたみたい。
机の上にバッグの中身をひっくり返しても、煽ってくる不安から逃げられない。
インクが無くなったペンを握りしめ、思い出せない日記を記す。
忘れたみたい。
忘れものしたみたい。
名前を書いても、昨日のことは浮かんでこない。
まるで、部屋をなくしたように。
まるで、名前を奪われたように。
得体の知れない白い恐怖に包まれてしまう。
まるで、誰も知らないように。
まるで、誰も見えないように。
逃れられない透明の影に追いかけられてしまう。
怖いよ、誰も知らないけど。
怖いよ、なにも知らないから。
思い出せない日記を捲り、まっさらな毎日に真っ赤な押し花で彩りを。
打ち解けることのない日常。
見捨てられた岸辺に打ち上げられる名前。
見てるようで見てない存在。
話してるようで話せない記憶。
真っ白な日記に、まっさらな気分で書いていた。
見捨てられた日記には持ち主は現れない。




