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転生者が多すぎて異世界に転生できなかった俺は、他人の転生を阻止することにした  作者: 最上碧宏
第1章 転生を阻止するだけの簡単なお仕事
8/70

7:24時間戦えますか?

一体どこから現れたのか。


大きすぎる白いローブを纏った、青い髪の少女。

肩口までのショートカットという髪型と、ふっくらとした頬が、彼女をなおさら幼く見せる。

美少女というか、美幼女というか。


「……誰?」

「どーも。わたし、スクルドですー。転生阻止者フィルギアの方のバックアップ担当ですー。よろしくでーす」


舌っ足らずで間延びした喋り方。


小学生が親のコスプレ衣装(魔女っ子)でもかっぱらってきたのかと思うが、そんなはずはない。

ヴァルハラ関係者ということは、まあ、きっと神的なスピリチュアルなんだろう。


「達成感ついでに、お仕事もう一個、片付けてもらってもよいですー?」


どこか眠たげな表情のまま、スクルドはタブレットPCみたいな板切れを掲げてみせた。


「あー、ごめーんスクルドちゃん、それ明日でもいい? あたしそろそろ定時だし、朝イチで対応するんで」

「特急案件なんですよー。サクッとやっつけてくださーい。わたしもー早く帰りたいのでー」


グダグダのたまうブリュンヒルデを、スクルドはバッサリ。


ヴァルハラにも定時とかあるのか。ていうか、どんな勤務形態なんだ、こいつら。シフト制か。


「次の転生候補者はー、イガワ・ミノリさーん。二十四歳の女性ですー」


スクルドは妙に間延びした声で、手元の資料らしきものを読み上げる。


「えーとぉ、イガワさんはー、就職三年目の会社員でー、市内で一人暮らししててー、それからー」

「あー、うん。貸して。自分で読んだほうが早い」


呆れ顔のブリュンヒルデが、資料というかタブレット? を奪い取った。


「へー、今夜十二時五分に死亡予定。んー、就職三年目ってことは、アレ? ストレス溜めこんで自殺とか?」

「どうでしょうー、今回は死因の情報がないのでぇ、なんともー」

「ちょっと、ちゃんと調べてよー」

「『運命の泉(ウルザブルン)』は確定事象以外は可能性しか示してくれないんですー。分岐剪定観測は進めてるんですけどー、多分、十二時には間に合わないんじゃないかな―」


二人は呑気に会話を続けるが、だいぶ物騒な話だな。

確定事象ってなんだ。

つまり死ぬことが『確定』って意味か?


イガワさん大丈夫なのか。知らない人だけど。


「とにかくまあなんとか対策して、イガワさんの死を食い止めてくださいー。ではよろしくーおつかれさまでしたー」


開放感いっぱいの挨拶とともに、スクルドが足元の魔法陣に飲み込まれていった。

おお。すごい。俺もアレに入れば異世界に行けるのでは。


「あーもう、ノルニルのやつら、マジで呑気っていうか……現場の苦労も考えろっつの、まったく」


深い溜め息をついてから、ブリュンヒルデはペガサスを地上に呼び寄せた。

白銀の鎧をがちゃつかせながら鞍にまたがって、


「さ、行こっか、清実ちゃん」

「えっ。俺も?」

「当たり前でしょ。あたしは現世に干渉できないんだってば。君以外に誰がイガワ・ミノリちゃんを救うのよ」


何カジュアルに人の命託してくれちゃってんだよ。

重いわ。責任が。


とはいえ「定時なんで」と逃げるわけにも行かず。

結局俺は、彼女の後ろ、ペガサスの尻辺りにまたがるのだった。


乗馬なんてしたこと無いけど、落ちたりしないよな?

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