表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生者が多すぎて異世界に転生できなかった俺は、他人の転生を阻止することにした  作者: 最上碧宏
第3章 連続殺人犯の転生を阻止せよ!
30/70

29:餅は餅屋、殺人犯は警察

エザワ・シンゴ、二十歳。男性。

四方津市内に住む大学生。独身。


そして現在、指名手配中の連続殺人犯。

実に十一名もの人間を惨殺し、それでもなお逮捕に至っていない。

今、日本中が注目している男。


「そう。その彼について、居所を知りたいんですよ」

「……ふざけているのか。君は」


触れただけで切り裂かれそうなほど鋭い視線だった。


彼女は、ウノハラ・シノブさん。

四方津市警に勤める刑事である。怜悧冷徹な捜査官にして、愛しい妹のためなら容疑者の私刑も厭わない超武闘派シスコン。


一応言っておくと、まあ美人は美人なんだけど、どちらかと言えば研ぎ澄まされた抜き身の美しさ、というか。ライダースジャケット似合い過ぎというか。

まあ余計なこと言うと殺されると思う。てか殺されかけたし。


いつも人の出入りが絶えない四方津駅の待合室でも、彼女は静かに喋る。


「突然連絡をよこしたかと思えば。どうして私が、君にそんな情報をリークすると思ったんだ」

「まさかと思いますけど。あの時の動画(・・・・・・)、シノブさんが持ち帰ったのが全部だと思ってます?」


向けられる視線の温度が五度下がった。背筋がゾクリとする。


「脅すつもりは無いんです、マジで。ただ、こっちも結構切羽詰まってて」

「……君は、何が目的なんだ?」

「別に、誰かを傷つけたり、苦しめたりしたい訳じゃないです。金が欲しいわけでもなくて。ただ、人生をやり直したい、というか」


異世界チートのんびり田舎暮らしの末に奇祭ハーレムフェスで村おこし、とか言えるわけがない。


「話がつながらないな。私達姉妹をつけ回したと思えば、次は連続殺人犯を追い回す。それが君の人生と、どんな関係がある」

「風が吹くと桶屋が儲かるでしょ。それと同じです」


さらに視線が冷たくなった。怖い。


「……君は、妹を、エリカを救ってくれた。あの殺害予告の男も救おうとした。エザワも、そうなのか?」

「そうです。と言ったら、手がかりを教えてくれますか」


シノブさんの視線が、少し揺れた。


「……市警は今、ヤツを追ってない」


なんだって?


「捜査してない? 指名手配犯なのに?」

「理由はいくつかある。だが、一番の理由は、ヤツが『どこにいるか』は問題ではないから、だ」


なんだなんだ、回りくどいな。


「……次に誰が狙われるか、知ってるってことですか」


シノブさんは小さく頷いた。まるでそれを認めたくないみたいに。


「ヤツは、ただの衝動的なシリアルキラーじゃない。殺しは全て計画的だ」


なるほど、ますます恐ろしい転生候補者だ。ブリュンヒルデも喜びそう。

仮に転生しても、普通にチート無しでやっていけるんじゃないか?


「つまりエザワ・シンゴには目的がある、と?」


シノブさんは、手に持っていた缶コーヒーを一口飲んで。


「……復讐だよ」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ