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転生者が多すぎて異世界に転生できなかった俺は、他人の転生を阻止することにした  作者: 最上碧宏
第2章 美少女JCコスプレイヤーの転生を阻止せよ!
19/70

18:愛は過積載

「帰宅は何時だ、夕食はいらない、次の週末はどうするんだ、何か困っていないか、最近は何してるんだ、勉強はしているのか、友達はできたか……」

「なにそれ、親からのメール?」


クローンスマホを覗き込みながら、ブリュンヒルデ。


「……スーツの女、ウノハラさんにメチャクチャな量のメッセージを送ってるな」

「えっ、じゃあこの女、エリカちゃんのストーカー? こんな格好で?」

「いや。多分、違うと思う」


ブリュンヒルデの直感が、一番正解に近い。


「分かったことが二つある」

「なに?」

「この人は、ウノハラさんの姉だ。ウノハラ・シノブさん」


俺はメッセージアプリやらメールボックスやらを片っ端からひっくり返しながら、


「そして、四方津市警に務める刑事だ」


それを確信した。


「……容疑者?」

「じゃないな、確実に」


どちらかと言えば、スーツの女――シノブさんは、俺達と同じ目的だろう。

妹のエリカさんを守りたくて、ここにいる。

異様に頻繁なメールも、多分その為だ。


(もし犯人なら、個人情報握ってやるつもりだったのに)


スマホから抜き取った情報で何をするかって?

ちょっとした話し合いをするだけで、別にひどいことはしない。


……相手がウノハラさんに二度と関わらないと誓うなら、だけど。


「――ちょっと、お姉ちゃん! なんでいるの⁉︎」

「お前こそどうしてこんなところにいる、エリカ。家にまっすぐ帰らず、そんなみっともない格好をして……何を考えている?」


撮影が一段落したのか、エリカさんがこちらへ、というか、シノブさんの元に駆け寄ってくる。


「う、うるさいな、お姉ちゃんには関係ないでしょ!?」

「状況が分かってないみたいだな。エリカ、お前は今危険なんだ。殺害予告が出てる。警察にも目立つようなことは控えろと言われたはずだ」

「だからなに!? 警察が動いてるんだったらいいじゃない! いちいち口出ししないで!」


エリカさん半泣きだ……。

一方で、シノブさんは顔が超怖い。この人いつもポーカーフェイスなのか?


「そういうことじゃない。お前自身が気をつけなければ、万が一の時に――」

「うるさい! なんなの、お姉ちゃん! なんでいつも私のやること否定するの!? 勉強も家事も全部ちゃんとやってるのに!」

「今はそういう話をしているんじゃない――」

「これは私の特別なの! 邪魔されたくないの! もう、どっか行ってよ! お姉ちゃん、ホント嫌い!」


エリカさんは、逃げ出すようにロッカールームへ。

その背中を見届けて、眉一つ動かさないシノブさん。


「……やっぱり、親子なの?」

「じゃないけど。まあ、似たようなもの……なのかな」


なんだろう、このやるせない気持ち。

勝手に感情移入してしまった。


「でも、そうか。殺害予告――SNSだよ! なんで最初に気付かなかったんだ」

「あー、えーと、あれだよね。サツガイ・ネット・サービスでしょ? 昨日見たアニメでやってた」


そんな殺伐としたサービスがあってたまるか。


と言いたいところだが、まあ、ネットだって人間社会だし。

呑気なコミュニティもあれば、そうでないところもある。誰かのメンタルを火だるまにして正義を語ったりとかな。


「誰かがウノハラさんを殺そうとしてるなら、SNSで絡みがある人かも、ってことだよ。殺害予告なんて、今どきSNSでしか出さないだろ」

「え、マジで? 殺害予告なんて重要なこと、ネットで? あたしが若い頃は、もっとこう、手袋投げたり、果たし状送ったり、家族の生首送りつけたり、なんかこう、アナログっていうか? 人のぬくもり? 的な感じだったけどなあ」

「……何時代の話だ」


適当にブリュンヒルデをあしらいながら、もう少しシノブさんのクローンスマホを漁る。

犯人ではないとわかった途端、罪悪感がすごいが。


「……おお、ビンゴ」


案の定だ。

シノブさんのスマホには、きちんと殺害予告の証拠が保存されていた。


SNSのアカウントと、スクリーンショット。

『ユースケ@コス写ガチ勢』から『エリー☆☆★』へのメッセージ履歴。


「……ここから探ってみるか」


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