1ー3
アルドロスが居住まいを正し、
「……一応確認するけど不死王の件、だよね?」
「当たり前だ。お前と俺の命がかかってる。放っておけない」
「……まったくろくでもない時代に来ちゃったと改めて思っているよ。なんで僕達がいる時代に不死王は南下をはじめちゃうのかね……」
「やっぱり対策らしい対策は無し、か」
「国としてはそうだね。そもそも不死王の暴力に対抗する適切な手段が見つからないからね」
「うち以外の各国の動きはどうだ? 魔王は放置できないはずだろ? 聖法局とか特に」
「魔王の動きは各国とも注視しているから今回の不死王の動きは当然認識している。その上で各国とも早急に我が国に援軍を派遣することが決まったみたいだ」
「へぇ。思っていた以上に動きが早いな。この世界って周辺国がそんなに仲が良かったっけ?」
「仲は悪いよ。そこは僕達の知っている世界と変わらない。でも放っておくと自分たちにも被害が及ぶのは確実だしね。魔王が攻勢に出た場合は人類間の争いは一旦停止して共同でことに当たるべし、なんていう対魔王人類誓約なんてのものあるし、魔王に対抗するためにとりあえず呉越同舟ってとこかな」
「ならこれで安心……なわけじゃなさそうだな、その顔を見る限り」
「全人類の連合軍であっても、どうなるかわからないね。不死王はそれほど強大だ、と言うのが専門家の推測だよ」
「推測?」
アルドロスは首をすくめた。
「魔王は謎なんだよ、そもそも。僕達の情報は人類からしか入ってこない。そして魔王、というか魔族と人類とは基本的に交流がない。交流がないどころか敵対してる。さらに不死王と接した数少ない人間は基本的に不死王に殺されてしまうのも問題。というわけでまったく分からない。レベルさえもわかっていない。不死王は代替わりしてないらしく、二番目に古い魔王だから、馬鹿みたいなレベルなのは想像がつくけど、それ以上のことは分からない、というのが実情なんだ。魔王の中でも獣王なんかは多少人間と交流があって、こっそりつながりがあるって国もあるって聞いたけど、どうなんだろうね。ちなみに獣王のレベルは400強という噂だ」
400強……僕はため息をついて天井を見上げた。僕のレベルは12。RPGならまだ最初の村の周辺レベルだ。敵うわけがない。
「……勇者とかいないのかよ、この世界は。魔王がいて勇者がいないんじゃバランス取れないだろ」
「いたよ」
「マジで!?」
「システムとして存在しているわけじゃなくて、自称勇者だけどね。一人は二百年前のガルティア王国の英雄王子、もう一人は、二十年前の『女教皇』の原典ホルダー。二人とも、死霊なんて集まっても恐ろしくもなんともない、魔王の一角を崩すんだぁって突っ込んでいって、英雄王子は配下の二つの騎士団ごと死霊として死霊軍団に加わったらしいし、『女教皇』の原典ホルダーも不死王と行動を共にしているって噂されている」
「偽勇者かよ! それにしても原典ホルダーまで負けたのかぁ」
「そう。だから不死王が魔王の名にふさわしいくらい強いのは間違いない」
そしてこの国の最強戦力であるところのアルドロスはこう言った。
「多分僕でも普通にやったら勝てないと思うよ」
いよいよ暗然とした気持ちになった。落ち込んだ僕を励ますように明るい声でアルドロスが続けた。
「……でも何かできないわけじゃない。そもそも僕達は普通じゃないだろ?」
「……そうだな。性のモラルが壊れたおっさんと、中身おっさんで外側少年のおぞましい二人組だ」
「そういう意味じゃなくて! 現代日本の知識がある。その上で魔法も使える。だとしたら何とかできるはずだよ。むしろそのために僕達はこの世界に来たのかも知れないとさえ思っているところなんだ。そもそも魔王が人類の領域に侵攻してくるなんて、この世界でも今までなかった異常事態だ。その異常事態に対抗するために世界が修正力として僕達を呼んだのさ……そういうアニメあったよね確か」
「なるほど……そういう考え方もあるか」
「そうだよ。だからきっと大丈夫なんだよ。僕のオタク知識はこんな時のためにあったんだよ! ははは。僕を馬鹿にした三木本め、ざまぁみろ」
「三木本はともかく現代兵器を魔術で実現……たとえば核兵器とか? ふむ。ありだな」
「他にも音波攻撃だってできるかも知れない。電子レンジの原理を魔術で再現してみてまとめて血液を沸騰とかも不可能じゃない」
「おお! すげぇ。可能性が広がるな!」
「そう、だけどそれには問題はただ一つ……」
「なんだよ。問題なんてそれこそ現代知識で解決してやるよ! PDCAの力をなめんじゃねぇ! Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Act(改善)を繰り返せば世界は変えられんだよ!」
「PDCAじゃどうにもならない。なにせ時間の問題だからね。つまり何をやるにも時間がなさ過ぎ、なんだよ」
言われて僕も気づいた。
魔術はコードの組み合わせによって生み出される。肉体を動かすだけの簡単な魔術であれば十小節程度だが、強力な魔術であればあるほど、コードの量は膨大になっていき、大規模戦術魔術には数千小節を越えるものさえ存在する。そうすると普通の人間の魔力量では読み込めない机上の空砲となってしまうし、そもそも魔術として組み上げるのも大変だ。今当たり前に使われている戦術魔術も、ものによっては正しく組み上げるのに、一人の天才魔術師が一生かかった、なんてのもあるほどだ。
「……そうか。確かに不死王が姿を見せるまで二ヶ月。どう考えても現代知識に基づいた新魔法の作成は無理だな」
「そうだね。無理だね」
「ぬか喜びか!」
「だから今回僕は禁忌魔術を使うしかないかな、と思っているんだ」
耳慣れない単語に僕は首をかしげた。
「禁忌魔術? ……それってたしか、五百年くらい前にオリジナル魔術全盛期に流行った大規模魔術だよな」
アルドロスはうなずいた。
「そう。実用を度外視して、人間の限界ギリギリまでの魔力を使い切るって馬鹿魔術だよ。大戦が始まりそうだったせいで、貴族達がこぞって自分の家だけの専用魔術を作らせた。破壊力特化の魔術ばかりね。この国も有力貴族はその手の魔術をいくつも開発させたらしい。そして大戦がなかなか始まらなかったものだからどんどん魔術の規模が大きくなって、結果あまりにも使い勝手が悪いからそのまま死蔵。なんせ発動と同時に気絶とかざらだったらしいから。でも今回は不死王の足止めが目的だからそれで構わない。不死王に南下を諦めさせればそれでいいんだから」
「なるほど。禁忌魔術か。一応、人類が使える前提なら、魔力量で図抜けているお前なら使えるってわけか」
「うん。それだけじゃなく、禁忌魔術を僕の『戦車』で拡張すれば、より強力になる、はず。いやぁ、この国の馬鹿な貴族達の先祖のおかげで可能性がようやく見えてきたよ。会議で先祖代々伝承してきた禁忌魔術で一掃するとか言い出した馬鹿がいて、それで思い出したんだけどね。普通そんなどうでもいいもの忘れちゃうからね。だからまぁ会議は僕としては収穫があったと言うことかな」
僕は少し考え、アルドロスの提案が可能性に賭けるだけの価値がある作戦だと思った。伝説によると禁忌魔術にはちょっと常軌を逸した破壊力を持つものもあるらしい。山の形を変えた、なんてのもあった。問題は制御が利かず術者のいるところで爆発が発生したことだったが、制御できるのなら十分牽制に使えるだろう。
「すごいじゃん!! お前もしかして救世主!?」
「うまくいったら、だけどね。でもうまくいったら、すごいよ? 悪いけどこれでさらにもてるよ? 高校の頃の高杉君並みだよ? 覚えてるよね? バスケの選手でバンドやってて宮城さんと付き合ってた奴」
「……望みが低すぎだろ」
呆れた顔でアルドロスを見た僕はふと思いついて、
「俺も手伝おうか? 一応、原典ホルダーだし」
アルドロスはキョトンとした顔をした後、
「え? いや、ダメだよ。お兄ちゃんに何かあったら刃境家は立ちいかなくなる」
「いや、ここは刃境家じゃないだろ」
「ダメダメ。あり得ない。あ、お兄ちゃん、あれだね? 僕がもてるのが悔しくてーー」
「そうじゃなくて! 俺が手伝った方が確実かも知れないだろ。原典ホルダーはこの国には俺とお前しかいないんだから」
だが弟はしたり顔で首を振った。
「嫉妬とかじゃなくて危険なんだよ。そもそもお兄ちゃんはまだレベル12だろ。しかもメインの治癒魔術もグレードBだし、二系統目もグレードが付かないじゃないか。そんな素人同然のお兄ちゃんに危険なことはやらせられないよ。お兄ちゃんはちゃんと留守番してなさい」
「レベルはともかくグレードが低いのは俺のせいじゃない! 治癒魔術が無茶なんだよ! それにいつまでもお前の知っている俺だと思うなよ? 実は俺はーー」
「とにかく、ダメだ。でも治癒魔術の悪口は感心しないな。お兄ちゃんの原典と相性がいいはずなんだしそのことは何度も話しあったよね?」
何となく慰めを含んだ視線でアルドロスが僕を見た。
そう、僕も原典ホルダーなのだ。『節制』のコードの。
そして治癒魔術を選んだのはよく話しあった結果ではあった。治癒魔術はこの世界ではあらゆる病、あらゆる欠損まで治す凄まじい能力である。死人さえ場合によっては蘇らせることが出来ると言う。だが、問題がある。消費魔力量が馬鹿高いのだ。一般的な魔力量を持つ者でもちょっとした切り傷を治すだけで、魔力はスッカラカンになる。あらゆる魔術が禁忌魔術なみで、人間は魔力がなくなるとコードのイメージを転写することができなくなるどころか、意識を失うのである。欠損部位の回復など、膨大な魔力量を誇る伝説的な魔術師が一度成功した(ただし失神し魔術そのものさえ使えなくなった)、と言う話ぐらいしか聞いたことがない。したがって、治癒魔術は実質有名無実。僕もアルドロスにコードを教わって初めてやった発動練習では発動したものの気を失ってしまうという体たらく。まだレベルが低く魔力量が成長しきってない僕が治癒魔術を使えるだけでもたいしたものらしかったが。
一方、そんな燃費の悪い治癒魔術と『節制』コードの相性はいい。『節制』を使うと必要魔力を大幅に圧縮できるためである。僕の原典コードが『節制』だと知ったときは、あまりの地味さにショックを受けたものだ。調整、中庸、倹約、管理といった『節制』の持つ効能は中二心をくすぐらなさすぎる。それを伝えるアルドロスの顔も慰め顔で、思わず「なんだよ、お前の『戦車』と取り替えろよ!」と無茶を言ったほどだ。
だが、治癒魔術を使う、という意味では『節制』は唯一無二のコードと言っていいだろう。
アルドロスが咳払いをして、それからイヤな顔でニヤリと笑った。
「そんなことより……マリアベル王女と仲がいいと聞いたよ?」
「げ」
「いいのかなぁ。結桜ちゃんが泣いてるよ?」
「か、関係ないだろ、結桜は!」
「関係なくないよ! 僕にとってはお姉さんみたいなものだったし。高杉君にもなびかなかったし」
「結桜かぁ……元気にしてるかな」
「……大丈夫だよ。僕達が死んでも、結桜ちゃんならちゃんとやれる」
「ああ……そうだな」
僕とアルドロスが死んだのは事故だと思う。
二人が記憶している前世は両親の墓参りのためにもともと刃境家のルーツであるとある島へ向かうフェリーに乗りその島にたどり着いたところまでだった。それ以降の記憶はともにない。ということはその島で何かが起こった、と考えるべきだろう。
当然そこには妹もいた。
だから僕とアルドロスの目的は、どこかにいるに違いない妹ーー刃境真由を見つけ出すことだった。
「まぁ、マリアベル王女は、気が強いところとか頭がいいところとか陛下がかなり気に入っているから、注意してね。お兄ちゃんと陛下の間に何かあって、しょうがないから陛下を殺すとかしたくないから」
僕と女王とでは迷いなく僕を選んでくれるらしい。
「とにかく、お兄ちゃんが行くのは禁止だから。無理に行こうとしても、こればっかりは権力を使ってでも止める」
「……俺に何が足りない?」
「攻撃力と魔力と体力と権力と部下と年齢と夢と希望かな」
「……逆に聞くけど、俺に足りているものはなんだ?」
「優秀な弟?」
「……わかったわかったよ」
諦めて頷くとアルドロスが満足げな顔をして頷いた。
「下町も大規模火災とかあったし、本当に気をつけてね」
「あーあれか」
「まさかなんか知ってるの?」
「知らない知らない。そういう噂を聞いただけだよ。安心しろ」
「とにかく、なにかあったらすぐに渡してるあれを使ってね。遠慮とかいらないから」
「わかってるわかってる。うるさいぞ。母親みたいだ」
「うー」
子どものように唇を尖らせながらも、アルドロスは会議の結果についてさらに色々教えてくれた。
近々、周辺諸国の援軍を迎え入れるべくための会談が開かれることが決まったらしい。そこに各国のトップもしくはトップに近い人物が集結し、ミエガラル王国の女王をホスト役に、対不死王連合軍の指揮系統について話し合いをする予定で、アルドロスはその準備を任されたという。会議は出来レースで名目上は女王その人が指揮官となるのではないか、というのがアルドロスの予想だった。
一方、近衛部隊は近衛将軍であるズラィを筆頭に他国の軍がミエガラル王国内に入ることに対して反対して、女王の裁決がくだったというのにまだごねているとアルドロスはため息をつきながら言った。女王の身の安全が保証できない、という理由だというが、
「だったら死霊軍団の危険はどうするんだよ。背に腹は代えられないって話なのに、あいつらは視野が狭いというか頭が悪いというか何というか!」
ひとしきり愚痴を聞かされたのだった。近衛部隊は王の警護をするための千人の部隊で、軍の規模としては決して大きくはないが、王に近いことで独自の勢力を保っているらしい。
「とにかく禁忌魔術を調査して場合によっては供出させながら、会議の準備をしなくちゃいけなくて、大変なんだよ」
とアルドロスは言葉とは裏腹にやる気のある感じで言い、僕も攻撃力と魔力と体力と権力と部下と年齢と夢と希望を手にするためにがんばると答えた。
それから僕はアルドロスの研究室を出て、自分の部屋としてあてがわれている一角に向かった。
歩きながらも少しだけ安心していた。死霊軍団の問題はアルドロスが何とかしてくれそうだ。あいつがやる気がある、と言うことは可能性がある、と言うことである。おそらくこの国に伝わっている禁忌魔術の組み合わせでに現代知識と『戦車』コードを加えるととんでもないことができるというめどが立っているのだろう。というか何とかしてもらわないと困る。もちろん、マリアベルに「何とかする」と言ったという理由もあるが、そもそも何とかしなければ未来がない。具体的には二ヶ月後に国が滅び、僕もアルドロスもマリアベルも命が無くなってしまう。将来は夫婦仲良く白骨死体として死霊軍団に就職、とかイヤ過ぎる。
自室で準備したあと、僕は明るい気持ちでバイトに向かった。
バイトは僕が半年ほど前からはじめたもので、実はアルドロスも知らない。
バイトは場末の治療院での手伝いだった。下町の火事の情報はそこで知ったのだ。魔術が存在するこの世界だが、治癒魔術が有名無実だと言うことで、治癒は魔術によらず基本的に普通の医学によって行われる。つまり、薬草を巻き付けたり、あるいは瀉血をしたり、といった中世の西欧に近い、我々転生組の常識からしてみればずいぶん古い治療が行われているのだが、そんな場所で手伝いをはじめたのは、たった一つ、なかなか向上しない治癒魔術の経験をたくさん積みたかったからだ。
治療院があるところは貧民街という言葉がふさわしい地区だった。アルドロスの研究院は王都の中心に近いところにあり緑も豊かであったが、周縁部に近づくにつれ、そんな余裕はなくなり、ごみごみとしてきて、建物の質も悪くなる。行き交う人の服装もどんどん汚くなっていき、人相も悪くなっていく。
そして嵐が来れば吹き飛びそうな、板で囲って屋根をつけただけ、といった家と言うより小屋が雑草のように寄り添う一角に治療院はあった。
治療院に近づいて、僕は布を頭に巻き付けた。一応変装のつもりだった。
アルドロスが言っていた大規模火災の匂いが、まだ残っていた。三日も前のことだしこの辺りは火災の現場から離れているはずなのに、まだ匂うということが火災の規模の大きさを物語っていた。
火事のせいなのか治療院はいつもより賑わっていて、いつもよりも行列ができていた。だがそれほどひどい怪我、という感じの人間はいない。その行列をかき分け進む僕に気づいた患者さんがいっせいに、「あれ?」という顔をした。
誰かが「若先生じゃないか」と言った。
「あ、どうも」
と頭を下げると、
「おお!」といって人だかりができる。
「え? な、なんッスか?」
「若先生のおかげで助かったよ!」
口々にそう言ってお礼を言われる。
「え、あれ?」
今までこんなことはなかったので戸惑っていると、
「見てくれ、もう傷も塞がった」
「あんたのおかげだ!」
「少し痒いけど、痛みはほとんどなくなってるぞ!」
「助かったよ、本当に」
「傷が残ってないの! 本当に本当によかったわ……」
よく見ると火事の時に、治療した面々だった。治療と言っても基本的には塗り薬によるこの世界のまっとうな治療であり、ほんの少しだけ治癒魔術も使ったがほんの少しだけだ。ほんの少しだけど、実際のところもりもり使った。目の前にけが人がいて、自分が治療できるとわかっているのにそれをしないと僕が嫌な気分になるからだ。決して善意ではない……はず。魔力的に相当きつかったが、訓練だと思って出し惜しみはしなかった。考えてみれば、治癒魔術を使える人がいないわけで、その治癒魔術の効果を味わった人たちは、感動して当然なのかも知れない。訓練なのに。
ひどく感謝されているようでやたらと手を握ってお礼を言われることに僕はなんとなく嬉しくなりながら、足早に治療院の主である医師の元に向かった。
治療院の医師ライコンは、屋根さえない地面に布を敷いて何人も患者を寝かせ移動しながら順番に診ていた。患者から症状を聞き、患部を診て、振り返って看護師に薬草の指示を出す。治療院の奥では三人の薬師が交代制で絶え間なく薬草をすりつぶしたり煮詰めたりしている。
今も老人から関節の痛みについて訴えられていたライコンはその言葉のいちいちに頷きながら、
「おう。客がいるぜ。お前の治療室だ」
こちらを見もせずに言った。客? と思いながら、
「ありがとうございます」
僕は頭を下げてさらに奥へと向かった。
次回、月曜日更新予定です。