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1.リプレイスメント

 突如とつじょ東雲しののめ 光一こういちは車に撥ねられた。

「うわああああ!」

 放物線を描きながら吹っ飛ぶ光一。

 悲鳴に気付いた通りすがりの女子高生で端正な顔立ちをした長髪の桂木かつらぎ 雛子ひなこがこちらを振り向く。

「ええええ!?」

 驚き戸惑う雛子と、光一の頭部が激突した。

「「う!」」

 二人は気絶して倒れた。

 そこへ車を運転していた男が出てくる。

「大丈夫か!?」

 二人は動かない。

 男は救急車を呼び、二人を救急病院に搬送させた。



 雛子は病室で目を覚ます。

「う……」

 痛む頭を押さえる雛子。

 側には雛子の両親の姿があった。

「雛子!」

「雛子? 俺は東雲 光一だけど?」

 雛子の両親が顔を見合わせ、頭に疑問符を浮かべる。

「私、とりあえず看護師さん呼んでくるわ」

 母親がナースステーションに駆ける。

「娘が起きました! ですが……」

 事情を説明し、ドクターを呼んで病室に戻る。

 ドクターが雛子に訊ねる。

「君の名前は?」

「東雲 光一」

 驚き戸惑うドクターは、隣のベッドに横たわる男性を見た。

 その男性こそが、東雲 光一その人だった。

 だが、光一の名前は公表しておらず、雛子には知る術がなかったはずである。

「お母さんがた」

「はい」

「大変言いにくいのですが、この子は娘さんではなく、あちらで眠られてる男性だと思われます」

「へ?」

「つまり、医師としては信じがたいことですが、娘さんの体の中にあの男性の魂が入っているのです」

「どういうことですか?」

「私の推測通りなら、あちらの男性こそが娘さんだと思われます」

「何を言ってるのかわかりません」

「つまり、事故の時に魂が入れ替わったのだと」

 母親はショックでその場に崩れ落ちた。

「う……うう……」

 男性が目を覚ます。

 雛子はベッドを降りて男性の下へ移動した。

(ほんとに入れ替わってる!)

「痛……」

 男性が起き上がる。

 男性は雛子を見て疑問符を浮かべた。

 ドクターが訊ねる。

「君は桂木 雛子ちゃんだね?」

「違います。東雲 光一です」

 一体どうなっているのか。ドクターは戸惑う。

「恐らく、頭をぶつけたショックで雛子ちゃんが光一くんだと思い込んでるんでしょう」

「いや、俺は光一だって! 雛子って誰だよ!?」

 ドクターは雛子の肩に手を置いた。

「大丈夫。直に元に戻るよ」

「は、はあ……」

 雛子は思った。

(これは単純な入れ替わりとは訳が違うな。俺が二人になってしまっている)

 雛子はベッドに戻り、横たわって今後のことについて考えた。

 そして、考えている内に眠りに就いてしまった。


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