「キラキラな人」
「キラキラな人」
どうしてだろうと自分で思うことが多々ある。ラブラブな両親と三人の兄弟。あたしは真ん中だけど、唯一の女の子で両親からも可愛がられた。
たぶん容姿的にもあたしは可愛い部類にはいる。彼氏だって中学の時から切れたことがない。それどころか、二股だって三股だって。かけている分、かけられることはいつもだけど、それはお互い様だし。
大人になって結婚もした。離婚もしたけど、再婚もした。そして、また愛人がいる。
たまに、どうしてこんなオトコの切れない人生なんだろうって考える。相手を愛しているし、愛されてもきたと思う。だけど、あたし一人に何人のオトコが乗っていったかさえももう覚えていない。
職業にでもすればいい稼ぎになったんじゃない?と友人は笑うけれど、好きでもないオトコに抱かれるのは嫌。そんな矛盾を抱えている。
え?あたしに友人なんてって?馬鹿ね。数は多くないけれど、いるのよ、三人も。大人になってたくさんの友達なんて邪魔でしかないわ。
優子は、たくさんの恋人がいるけれど本命は仕事。子供も産んだけど、結婚はしないって。
明美は、専業主婦。彼女の旦那はあたしの趣味じゃないから、友情は続いている。たとえ、旦那からこっそりメールでホテルに誘われていても、黙っている。
そして、絵里。なぜかしら、絵里だけはどうして友人なんだろうと時々思う。話は合うけれど、恋愛の話はしない。不倫はやめなさいとママみたい。仕事の話もしない。どこに共通点があるんだろうと、疑問に思うけれど、なぜか私は彼女が好きだ。
「絵里さんは、麻美の友達って感じがしないね。」
ダンナにもそういわれた。どういう意味よ!ってその時は怒ったけど、あたしもたまにそう思う。
彼女のことを表現するのは難しいけれど、あえて言うなら。
キラキラした人。
笑顔が素敵だとか、(笑うと可愛いのはみんな一緒)容姿がものすごく細くて肉のつくとこ、ついて魅力的とか、そういうことじゃなくて。高価なものを身に着けているとか、髪型がいつもきっちりしているとか、そういうことじゃなくて。勉強ができるとか、スポーツがバリバリできるとか、そういうことじゃなくて。
絵里の考え方とか、生き方とか。苦労もあるだろうし、悩みだってあるだろうし、あたしにはたぶん永遠にそれはわからない。それでも、絵里はあたしが持っていないものを持っているような気がする。
なにが絵里にはあるんだろう?たぶん、あたしには手に入らない。なにがキラキラしているんだろう?どうして、あたしにはないんだろう。
わかるまであたしは多分ずっと絵里の友人だ。彼女がいなくなるまで。