最狂
初作品になります。読んでいただけると幸いです。
文の構成がおかしかったり、誤字脱字等あると思います。読みにくい点が多々あると思いますが、ご了承ください。
静かに暮らしたい。ただ深く眠っていたい。そんなことを思いながら鴉のように黒い髪を後ろで纏めて、血の涙を流していた。空にきらめく星をただ眺めていた。そんな彼にやさしい女性の声がかけられる。
「少し休みましょう。私が傍にいますから。」 優しい声だった、異常なほどに早かった鼓動がしずかになっていく。
月明かりに照らされて、彼と彼女は小高い丘の上に腰を下ろした。無言のまま数時間が過ぎた頃、彼が呟くように口を開いた。
「おれは優しかったと思う。今はそんな面影もないかもしれないけど、優しかったとおもう。いつだったか、いじめられてる女の子をたすけたりさ、道端で息絶えた小鳥とか、お墓作ってあげたりね。」
ここまで思い出し、おれは悟った。(そういえば、その頃から僕の価値観というものが変わり始めたのかもしれないと。)ただ、いまとなっては遠い過去のことのようだ。今の自分自身が好きかと言われれば・・・「自分を愛せていると思う。おれがおれでいられるのは」・・・
それ以上その青年は何も言わなかった。けれど、それ以上を物語るかのように、彼の鎖骨あたりにある痛々しい火傷のあと。いや、切り傷を焼いて塞いだようなその跡を彼は優しく撫でるだけだった。その時の彼の目は、いつの日か最狂と呼ばれる者の目ではなく、ただ誰かを愛している時の優しい目をしていた。






