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第九十三話『タレント対タレント』

『おおう?! ここでたつみんのタレント発動だよん♪』

「……辰美らしいな。あっさり手の内をさらす辺りは」

『にしてもたつみんは装備も珍しいねい。サブアームはコントロールが難しくて三年でもあまり使う人はいないはずだよん。フローティングスカートも的になりやすくて敬遠されがちだしねい』

「まあコントロール難度に関しては、辰美自身の努力の成果だがな。っと、解説が私情を挟むべきではないな」

 マイクを切り、つぶやく武瑠にクリスもまたマイクを切りながら笑う。

「まあ、しかたないよん。おねーさんもひばりんを応援したいくらいだしねい。ましてやたけぴーはたつみんとは長いしねい」

「九歳の頃からだからな」

 答えて笑う彼女の顔は、年相応の少女のものだった。




 解説席のやりとりはともかくとして、ステージ上は緊迫した空気に包まれていた。

「……“雷帝インドラ”……」

 そのエネルギー量を感じてか、ひばりは雷を纏いし少女から目を離せなかった。

「……いくよ?」

 笑みを浮かべ、辰美が右手を振った。瞬間、弾けるような音を曳きながら雷光の帯が伸びていき、ひばりへ迫った。

「わわっ?!」

 あわてたように風を操って避けるひばり。本来なら避けられる速度ではないはずだが、思ったより攻撃は遅かった。それでも十二分に早く、避けにくくはある。

 なにせ攻撃の瞬間、ストロボを焚かれているようなものなのだ。目隠しして避けろと言われているようなものだった。

 それでもひばりは避けてみせていた。

 それは、かろうじて弾道が分かったからだ。

 実は辰美の攻撃は雷を飛ばしているわけでは無く、ひばりに向けて先の尖った棒のようなものを投じているのだ。それを追うように雷光が飛ぶ。

 雷撃投射攻撃の意外な実体である。

 しかし、それでも雷光一発のエネルギー量はかなり大きい。食らえばアダマススタイルの防御力でも大ダメージを受ける可能性があるほどだ。

 ひばりは辰美の放つ雷を二撃、三撃と滑るように移動しながら避け続けながらどうすべきか考えるものの妙案は浮かばない。焦ったような顔になりながらも、辰美の姿を観察する。と、おや? となった。

 辰美の体を包んでいた雷の輝きが、薄らいでいたのだ。

 そして、ついに彼女の纏っていた雷光が消え去ると、辰美は苦笑いを浮かべつつ、大型マニュピレーターの方へふたたび突撃銃を呼び出していた。

 その様子を見てひばりは何事かを思いついたかのように表情を引き締めた。

「……えっと、使うスタイルは……これとこれ!」

 つぶやいた瞬間、ひばりの体から緑と紫の色が抜け落ちていき、さらに中心線から左右へ向けて水色とホワイトシルバーへと染まった。

 揺らめく水面のような“O”のイニシャルと、ダイヤモンドの輝きを放つ“A”のイニシャルが顕れ消える。

 それを見て、辰美は目を見はった。

「まさかスタイルチェンジっ?! 斉藤君以外にこのタレントを持ってる人がいるなんてっ!?」

 驚く雪姫の少女を見てひばりは、ニッと笑って見せた。

「いくよっ!!」

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