表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
92/450

第九十二話『第三試合』


『ふたりとも、準備は良いですか?』

 ステージで対峙する二人に、レオンハルトが声をかけた。それに彼女らはおのおのうなずく。

「はい!」

「大丈夫です」

 その答えに満足したようにレオンハルトはうなずくと、改めてよく通るその声で宣言した。

『それではクラス対抗戦プレマッチ第三試合。始め!』




 開始の号令を聞いて、ひばりは日本刀の柄に右手を置き、鞘に左手を添えた。

 一方辰美は武器の無い状態で静かにたたずんでいた。

 そのまま向かい合う二人だが、同時に苦笑いを浮かべてしまっていた。

「なんだかやりにくいよね」

「そうだね」

 つぶやくように辰美が言うと、ひばりが笑みを濃くして同意した。

 出会ってからそれほど時間は経ってはいないが、意外とウマが合うらしいふたりは、少しだけ笑い合ったが、すぐに表情を引き締めた。

「けど」

「お互いに友達のためだから」

 ふたりの言葉が絡み合い、その視線が交錯した。

 と、ひばりのエメラルドグリーンのレガースがステージを力強く踏みしめた。

「たあっ!」

 素人ながらになかなか鋭い踏み込みを見せながら、日本刀を抜き付けるひばり。真一文字に振るわれたそれを、辰美が軽くバックステップして避ける。

 しかし、ひばりは彼女を追わずに日本刀を構えたまま立った。

 ふわり。と、羽毛のような柔らかな足取りで着地する辰美。

「次は、ボクからいくよ?」

 楽しげに笑いながら脚を曲げて、跳躍する。

 すると、不思議なことが起きた。

 彼女の身体が、まるで重さなど無いように、中空に浮いたのだ。

「えええっ?! 飛べるのっ?!」

 その様子に、思わずひばりか声を上げた。そして、目の前で辰美の四本の腕に武器が現れるのを目撃した。

「……銃!」

 辰美自身の手には短機関銃サブマシンガン。大きな機械の手には突撃銃アサルトライフル。それらが現れるのを見て目を見開くひばり。

 辰美は宙に浮いたまま、それを各二丁ずつ保持してひばりに向けると、トリガーを引く。

 けたたましいまでの発砲音の四重奏を響かせながら、四丁の銃が一斉に火を噴いた。

 その弾丸の豪雨がひばりに降り注いだ瞬間。



 風が……疾風った。



 吹き抜ける風とともに、大きく弧を描くようにして、ひばりがステージ上を滑るように避けた。

 その動きに、今度は辰美が驚きのあまり目を見開いた。

 しかし、トリガーは引きっぱなしにして四つの火線をコントロールしながらひばりを追わせる。それを、ひばりはまるでスケートリンクの上に出もいるかのようにステージ上を滑走し、避けていく。

 襲いくる銃弾の雨を、S字を描くように後退しながら避けていくひばり。

 その間に、辰美の高度がじょじょに下がっていき、ふわりと地上に降り立った。

 その正面へとひばりが滑るようにしてやってくる。

 そこで辰美は気づいた。

「……風? そうか、風をまとって少しだけ浮遊してるんだね?」

「……うん」

 辰美の指摘にひばりがうなずいた。

「……辰美ちゃんも、飛んでるっていうよりは落下が遅くなっただけみたいだった。それが辰美ちゃんのタレント?」

 今度はひばりが指摘すると、辰美はゆっくりと頭を振った。

「違うよ? 宙に浮いていたのは、このスカートのおかげだよ」

 笑って種明かしをする辰美。

「これはフローティングスカートって装備だよ。落下速度を低減してくれるんだ。あまり使いたがる人は居ないんだけどね」

 言いながら短機関銃と突撃銃を落とす。

「ボクのタレントはこれだよ」

 瞑目し、そう彼女が告げた瞬間、蒼いクリスタル状のパーツが光輝いたかと思うと、破裂するような音がステージ上に響きわたった。

「……これがボクのアバターのタレント……」

 その身からステージに向かうように、青白い光の線のような火花を散らし、辰美が目を開いた。

「……“雷帝インドラ”だよ」

 雷を身に纏った辰美の言葉に、ひばりは喉を鳴らした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ