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第八十七話『タレント発動』


「……これがわたしのタレント。“死に至るデッドリーポイズン”」

 つぶやくように言って、片菜は刃を鞘に収めた。

 それを聞いて俊夫が顔をしかめた。

「……やっかいなタレントだな。近づくのは難しいか」

 パラメータ減少の影響を受けながらも表向きは平然とした様子の俊夫。片菜が構えるのに合わせ、自らも構えをとる。

 そこには、先ほどまでの力強さは無かった。

『おおう、毒だよん。それもタレント由来だねい』

「ふむ。ツール由来のものならまだしも、タレントとなると厄介だな。効果も千差万別だしな。回復にもタレントが必要かもしれんな」

 クリスの隣で武瑠がそう説明した。

『うむん。便宜上は毒だけどねい。その本質は、アバターに作用するデータ破壊ウィルスみたいなものだねい』

「その通りだ。これを除去するにはワクチンプログラムが必要となるが、タレント由来のものはタレント由来のものでなければ除去できん。そういった治療系のタレントも数が少ないのが、毒系タレントの怖さの一つだ」

 クリスの言葉にうなずいて、武瑠が説明を続けた。

 それを聞いて綾香の顔が曇った。

「うちのクラス、治療系なんていないぞ?」

「ってことは、毒系のタレントはうちのクラスの天敵になりそうだね」

 つぶやく金髪碧眼の少女に、小さな体躯の少女が眉を八の字にしながら応えた。

 最終的にはクラス対抗戦という形で、クラス同士の対決となるのだ。

 今の内から対策を考えるのも必要なことではある。

 そう考えるのは、なにも彼女たちだけではない。直接関係する二年生の生徒達は、このプレマッチでデータを入手すべく観客席に陣取っている者ばかりだ。

 七組と八組は、この試合で手の内をさらすことになってしまっているのだ。

 むろん、綾香もシモーヌもその辺りのことは承知している。だからなるべく手の内をさらさずに勝ちたくはあったのだが……。

 ともあれ、いまは目の前の戦いに集中すべきではある。

「俊夫! 速攻だ!」

「桜間さん! 油断なさらずに!」

 ふたりの金髪碧眼の少女から飛んだ声に合わせ、双方を応援する声が観客席からあがり始めた。

 戦いはまだまだこれからなのだ。

「つーことだ。ま、ちっと優位に立った程度で油断するようなタマじゃあ無ぇとは思うが、続けようぜ」

「……」

 不利になったとは思えぬ獰猛な笑顔。それを見て、初めて片菜の表情がほんのわずかに揺れた。

 弱ったはずの漢の体から立ち上る圧倒的な闘気に、片菜は無意識に身を構えた。

「……さぁて、やろうじゃねえか。リミットリリースだ。“筋力増強パワーマキシマイズ”」 俊夫の声に従い、力が解放される。その身体にみなぎるパワーを絞り込みながら、闘鬼は構えた。

「さあ、行くぜ!」

 少年の足が大地を力強く蹴り、彼の大きな体が力強く、そして瞬時に前進した。

「……!」

 その速さに、片菜の表情が今度こそ驚愕に彩られた。バックステップをしながらその手が動いた。

 次の瞬間、固い物がぶつかる音が響き、片菜の体が大きく跳んだ。少しよろめきながらも着地する片菜。その手にある白木の鞘が砕けた。それを見て、腰の高さ位に右拳を突き出した俊夫が笑う。

「楽しもうじゃねえか」

 そう言って、鬼の漢はワラった。

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