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第八十三話『第二試合へ』


「……勝ったよ、しーちゃん」

「……ふん。当然ですわ」

 七組のスペースに戻った和也が照れくさそうに笑いながら言うと、シモーヌが明後日の方を見ながら鼻を鳴らした。

 その態度に和也が苦笑いし、辰美がやれやれとばかりに息を吐く。

「だいたいにして、このわたくしの声援を受けているのですから、むしろ負ける方が難しいのですわ! なのにそんなにボロボロになって……。もっとスマートかつエレガントに勝ちなさい」

「はは、ゴメン。そうだね。ダメだなぁ僕は……」

 勢いのままにシモーヌがダメ出しをはじめると、和也は少しきょとんとしてから苦笑いを浮かべて頭を掻いてうつむいた。その様子にシモーヌは顔をしかめる。

「……ダメなんてことはありません」

「え?」

 不意に金髪の少女に言われ、和也は顔を上げた。目の前には、少し怒ったような碧眼にへの字に結ばれた口に白磁の肌の少女が仁王立ちで自分を見下ろしていた。

「……あなたは頑張りました。そして立派に勝ったのです。ダメなどと言うことはありませんわ。堂々と胸をお張りなさい」

 白い肌の頬を紅潮させながら言うシモーヌを見上げて、和也ぽかんとなった。

 そんな彼の様子にシモーヌは訝しげになった。

「……な、なんですの?」

「……ううん。ありがとうしーちゃん」

 はにかむように笑った少年に、シモーヌの朱色の頬がさらに色濃く染まった。

「……はやく奥のスペースでおやすみなさい。次の試合のじゃまになりますわ」

 ツンとそっぽを向きながら言うシモーヌに和也は、「うん」とうなずいて奥のスペースへ移動していく。

「お疲れさま、斉藤君♪」

 隣を通った和也に辰美がねぎらいの言葉をかけた。

「うん、ありがとう東野さん」

 和也はそれに笑って応える。

 その様子をシモーヌは盗み見てしまう。

 しかし、和也に声をかけたのは辰美のみであり、つまらなそうな楓やぼんやりとしている片菜はもちろん、小さなディスプレイを展開して何かを読んでいる惣一や瞑目したままの修平も声をかけず、一瞥すらしない。

 それを見て、自チームのまとまりの無さを改めて実感したシモーヌは、誰にも分からぬよう小さく息を吐いた。




『そいでは、第二試合を始めるよん♪ 両チームの選手はステージ上に出てきて欲しいよん♪』

 ラウンドガールよろしく、“第二試合だよん♪”と手書きらしい文字で書かれた看板を片手にクリスがステージ真ん中でくるくる回る。

 ちなみに彼女はアバターではなく生身である。

 相変わらずのヘソ出しバニースーツを着こなす辺り、やはりただ者ではないだろう。

『第二試合、二年七組代表桜間片菜〜』

 そのクリスの声に、ぼんやりしていた片菜が音も無く立ち上がった。

「さあ、第二試合も勝つのですわ!」

「頑張って! 桜間さん」

「き、気を付けてください」

 そんな片菜へシモーヌや辰美、和也が声をかける。

 が、片菜はまるで反応することなく、七組のスペースからステージへ。

 一方、対面の八組スペースでは、180の身長に鍛え抜かれた巌のごとき筋肉に全身を鎧われた筋骨たくましい肉体に、野太い眉に暑苦しいほどのオヤジ顔の少年、前田俊夫が立ち上がった。

「頼んだぜ! 俊夫!」

「前田君頑張って!」

「油断するなよ?」

「一丁、さっくり勝ってきてくれよな!」

 綾香にひばり、雪菜と秋人に声をかけられ、俊夫は漢臭い笑みを浮かべながらステージへと向かった。

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