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第八話『そして教室には……。』


 廊下を東校舎に向かって歩く五人。ふと、ひばりが顔を上げた。

「そう言えば二年次からあの授業が組み込まれるんだよね?」

「あの授業って、『リンクネットチューン』か? アレも楽しみだよな♪」

 思い出したようなひばりの話に、綾香が笑顔になった。

「そうそれ。大変らしいけど、どんな授業になるんだろうね?」

「バスケ部で先輩に聞いちゃあみたが、教えてくれなかったな。『初授業でちゃんと驚け』ってさ」

 軽く眉根を寄せて思案しながら歩くひばりの隣で、慎吾が頭の後ろで手を組みながらぼやくように言った。

 その後ろの琴代も首を傾げている。

「チア部の先輩達も教えてくれないんだよぉ〜? 『すっごいびっくりするから、楽しみにしていなさい』って」

「まあ確かに央華学園の系列か、姉妹校にしか無い授業だしなあ。珍しい授業なのは確かだろうね」

 琴代の言葉を受け、鷹久が言う。


 この『リンクネット』とは、次世代インターネットシステムとして注目を集めているシステムだ。

 『七つ龍』をはじめとした、いくつかの大企業で試験的に導入されており、ゆくゆくは現行のインターネットシステムをすべて書き換えると言われている。

 開発者は二十代後半の女性で、彼女曰く『こんな機械端末をいちいち操作するなんてメンドいわよ。もっと簡単でスッキリしていて、自由度の高いコミュニケーションツールがあたし達には必要なのよ!』だそうだ。

 その試験導入と周辺ツール導入。そしてその『調律チューニング』のための人材育成機関。

 それが『央華学園』なのだ。


「『調律』ができる人間や、『リンクネット』、『ホロツール』に詳しい人間なんて、央華の卒業生くらいだからな。そりゃあ企業が放っておかない訳だよなあ」

 綾香が誰とも無しに言うと、他の四人も漠然とした思いを感じてか、足が止まった。

「……なんてぼけてる場合じゃないよ? 早く教室に行こう」

 いち早く我に返った鷹久の一声で、一同我に返り、階段を上がり始めた。




「はあ、やっと四階だよ……」

 階段を上がりきって、ほぅっと息を吐くひばり。

 小柄で運動が苦手な彼女に、四階まであがるのはなかなかの重労働だったようだ。

 ちなみにほかの四人は息を乱してすらいない。

 バスケ部の慎吾や、意外と運動量のあるチア部の琴代は言うに及ばず、綾香と鷹久もとある事情からかなり鍛えられているためだ。

「……み、みんな、すごいね……」

 四人を見ながら、ひばりは息を整えた。

 深呼吸をしてやっと顔を上げると、ひばりはにっこりと笑った。

「さあ行こう? みんな」

 二年八組の教室は、すぐそこだ。

 率先して歩きだしたひばりに続いて、綾香や鷹久、琴代に慎吾も歩きだした。

 ほどなくして、『2-8』とホログラムプレートが浮かび上がった教室の前までやってきたひばりは、一瞬だけ躊躇してからドアーに手をかざす。

 そのアクションに反応して、教室のドアーが開くと、そこには薄茶色の髪の少年が格好をつけて立っていた。

『やあ、おはようマイハニー達。今日も美しい……って小学生?!』

「あたしそんなにちっちゃくないよっ?!」

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