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第六十四話『秋人の相談ごと』


「う〜ん、つまりどういうことなんだ?」

「だから、タレントを前提に装備を組むか、自分の得意分野で装備を組むかってことでしょ?」

『そうなります』

 眉根を寄せながらぼやく秋人にひばりが答え、風華が肯定した。

 あれから落ち着きを取り戻したひばりが秋人にコーヒーをふるまった。

 豆をドリップしてからサイフォンで入れる本格的なものだ。

 深みと苦みと酸味がミックスされた初めて飲むそれは、秋人に大きな衝撃を与えた。

 そうやってふたりとも一息ついたところで沈黙のカーテンが降りたわけだが、どうにかして共通の話題としてプレマッチの話となった。

 そこで秋人は素直に己の心情を語った。

 曰く、好きなようにカスタマイズできるというのに、効率ばかりを考えるのはどうなのか? と。

 たしかに勝つためには自身の得意なものを伸ばし、相手の不得意なジャンルで勝負すれば勝率は高まる。

 データ上の効率を突き詰めていけばさらに上昇するだろう。

「けどさ、俺はブレード使って戦ってみたいんだよね」

 秋人は笑いながら言う。その顔が、心底楽しそうで、ひばりはなにも言わずに笑ってしまった。

 そして、自身のアバターの仕様や、風華を交えて秋人のアバター装備について話し合っていた。

「ライトはどう思う?」

 秋人に話を振られ、彼のサイバーファミリアが“TaC”の画面に映し出された。

『俺はマスターの好きなようにすれば良いと思うけどな』

 肩をすくめながら答えるライトに、秋人は苦笑いを浮かべた。

「そういえば、沢井君のタレントはどんなものなの?」

「俺もしらねーや。ライト」

 ひばりの質問に頭を掻いて秋人がおのれの相方に訊ねた。

『ん? タレントか? マスターのは“格納”だ』

「“格納”?」

 ライトの言葉に異口同音の声があがった。

『持っていける装備品の数が増加する能力だ。マスターの好きなブレードも二十本は格納できるぞ?』

 言われて秋人とひばりは微妙な顔つきになった。

 いくら何でもブレードだけを二十本も持っていく必要はないだろう。しかし、通常なら予備ブレードが一、二本ということを考えれば破格の能力ではある。しかし、今回の対戦で役に立つかと言われれば微妙だ。

「……なんの役に立つんだ?」

「ちょっと想像がつかないね?」

 渋い顔で天井を見上げる秋人を見て、ひばりが苦笑いする。

『さし当たってすぐに役立つとは思えませんね。今は考慮に入れない方が良いかと』

 風華の言葉に、秋人がうなだれるようにうなずいた。

「結局、今ある手持ちのカードで何とかするしかないのか……」

 ごちるように呟く秋人。

「まあ、あたしのタレントみたいに武器がコロコロ変わっても大変なだけだしね」

 ひばりが慰めるように言う。すると、秋人が目をみはった。

「……ころころ変わる……? そうか!」

 ひばりの言葉を聞いて何事かを思いついたらしい。

「うまくすれば何とかなるかもしれねえ。ありがとう支倉さん!」

 喜ぶ秋人は、ひばりの手を取りながら立ち上がった。

 彼女はその勢いに押されるように立ち上がった。

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