表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
55/450

第五十五話『部活勧誘?』


 すべての授業が終わり、ホームルームも済んで、教室の掃除をひばりが中心となって終わらせ、放課後となった。

 一学期初日とはいえ、授業も部活もあるのが央華学園の普通ではある。

 とはいえ、ほとんどすべての部活動はこれから一週間は勧誘活動が主であり、帰り際の一年生を狙った勧誘合戦は学園の名物である。

 そんな中を、二年生であるひばりと綾香、鷹久の三人は歩いていた。

「今年もやってんなあ☆」

 鷹久の左腕に預けるようにして右腕を絡めた綾香は、楽しそうな顔で周囲を見回した。

 辺りでは、野球部や天文部、文芸部、剣道部などよくある部活から、マイナーな部活まで自分たちの活動をアピールしている。

 ひばりは学生鞄を手に、綾香を見上げた。

「綾香ちゃんは何か部活入ってるの?」

「ん? いちおうゲーム部ってとこに入ってる」

 さらりと答える綾香に、ひばりは意外そうな顔になった。

「……意外。綾香ちゃんて運動部かと思ってたよ」

「綾香は確かに運動得意だけど、スポーツが好きってわけじゃあないからね」

 ひばりの言葉に鷹久が苦笑いしながら答えた。

 綾香もそれにつられて笑う。

「あはは。まあ、たまにやる分にはいいんだけどさ。大会とかピンとこなくて。ひばりも入るか? ゲーム部。つーか、ひばりはなんか部活入ってるのか?」

 綾香は思いつき勧誘しながらも、ひばりに訊ねた。それを聞いて小さく笑うひばりだが。

「あたしは家庭科部だって自己紹介の時に言ったよ?」

 その言葉に、綾香は虚を突かれたような顔になって首をひねった。

「……あれ?」

「なに聞いてたんだ? おまえは」

「うぐ……」

 やれやれと言わんばかりに頭を振る鷹久。この少女にしては珍しい失態だ。

 顔を赤らめ言葉に詰まる綾香。それを見て、ひばりと鷹久が軽く吹き出した。

「わ、笑うなよ! 今日はいろいろありすぎてすっぽ抜けてただけだ!」

 慌てるように言い募る姿は、普段の快活な彼女とは違い、可愛らしかった。

 思わぬ不意打ちに、今度は鷹久の方がわずかに赤くなった。

 それに気づいてか、ひばりはふたりより前に出ると、振り返った。

「まあ、あたしは家のことが忙しくて、あまり部活には出れないんだよね。今日もこれからやらなきゃいけないことがあるし。だからまた明日ね♪」

 笑いながら駆け出す小さな少女。

「……って待てよひばり!」

 綾香が慌てて止めるが、「ごめーん、急いでるんだ」と、苦笑いとともに返され、引き留められなくなった。

 部活の勧誘の声を背後のBGMに、立ち尽くす綾香。

「……友達になった記念に遊びに行くつもりだったんだけどな」

 つぶやいて、鷹久の腕に絡めていた自らの腕に力を入れた。

「……まあ、また誘えば良いよ。今日は牧野君も如月さんも部活の方に行くって話だったしね」

 鷹久が綾香を慰めるように言うと、彼女はうなずいた。そして、その蒼い瞳は駆けていく小さな影を見送っていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ