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第四四七話『Blust up!!』


「……遅いぞ? 守りは任せるからな?」

 綾香はすぐに鷹久から視線を外し、栄史郎へと向き直った。

 その姿に鷹久は苦笑する。

 と、ひばりが綾香のとなりに並んだ。

「……綾香ちゃん」

「……なんだよ」

 ぶっきらぼうにひばりへ答える。だが、ひばりは気にした様子も無くにんまりと笑った。

「……口元、ゆるんでるよ?」

「うるへー」

 綾香は少しにやけながらそう返した。




『関、霞さんからだ』

『あいつから?』

 一方慎一郎の方には、漆黒の鎧に赤いラインの単眼戦士、木場きば 修治しゅうじの姿。

 響子から預かってきたトランクケースを手渡し、身を翻す。

 見回せば、臨戦態勢の怪生物の群れ。

『僕はこっちの相手をするよ。いつ襲ってくるか分からないだろ?』

 木場はそいつらを睨みながら大剣を構えた。

 それを見て慎一郎はマスクの奥で顔をしかめた。

『神崎はそんな事……』

『彼がまともな状態ならね』

 反論しようとした慎一郎を遮り、木場は振り向いた。

 視線の先には、こちらをうかがう栄史郎が居た。

 慎一郎たちの戦力が増えたのを見て、どうするか考えているようだ。

 それを見て、木場はマスクの奥で口を開いた。

『……正直、あんな化け物になった神崎くんがまともだとは、僕には到底思えない。不意を打たれるよりはマシだろ?』

『……』

 木場の言葉に、慎一郎は口をつぐまざる終えなかった。

 と。

「私もこちらに付き合おう」

 いつのまにかやって来ていた、黒髪ロングポニーテールで槍使いの少女、黒崎くろさき 雪菜ゆきな。その口元に不敵な笑みを浮かべながら、怪生物どもを見やる。

「雑魚の足止めにも手数は要るだろう?」

 そう言って、槍を構える雪菜。

 並ぶように木場も立つ。

『……わかった。頼んだぜ?』

「応!」

『任せてくれ。あと、その切り札は試作品で未調整だから一分も使えないらしいよ』

 慎一郎に応え、二人は勇躍して怪生物群に挑みかかっていった。

 それを見送った関は、手にしたトランクケースを地面に置き、みずからも片膝を着いた。

『……一分か』

 呟きながらも、慎一郎の声音は固い。彼にはわかっていた。自身のサイクロップスアーマーがもはや限界近いことを。

 恐らく、一分もたないだろう。

 慎一郎はトランクケースを展開しながら考え込んでいた。

『……いや、考えても仕方ねえか。夏目! 吉田! 支倉! 準備はどうだ?』

「オーケーだ☆」

「いけるよ」

「任せて!」

 三人の返事に、慎一郎は仮面の奥で笑みを浮かべ、首肯した。


『よし! それじゃあ行くぜ!』

 慎一郎が、トランクケースに据え付けられたテンキーを軽やかに操作した。

 するとトランクケースが展開する。中にはケース一杯くらいの四角いユニットがあり、その真ん中には大きく穴が開いていた。


『Blust up!!』


 電子音が響き、下端を残してユニットが分離して浮遊。

 ガシャリと折れてコの字になり九十度回転しながら慎一郎の真上まで上昇すると、サイクロップスアーマーに重なるようにして装着された。それと同時にアーマーが赤く染まりながら展開していく。

 そして、残されていたパーツも変形しながら飛び上がり、彼の右腕に収まった。

 仮面に備わったモニターに合体同期完了の文字が表示され、慎一郎は苦笑した。

『……ったく、こういうの好きだよな。あいつは』

 仕方ないとばかりに笑って、慎一郎は目の前の文字を読み上げた。

『……サイクロップスブラストストリームスタイル……。いくぜっ!』


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