第四十三話『そうだ。山に行こう……』
「それでは、まず最初に……」
そんな言葉を皮切りに、羽月への質問攻めが始まった。
彼女がひばりアバターをコントロールしていたこと。
複数の要因、ひばりの深層意識や彼女を護ろうというなにものかの強い意志などの影響で暴走したことなどが明かされていく。
さらにはこの世界の裏にある、‘魔法’についての解説などもあったが、ひばりにはよくわからなかったようだ。
そうしてひとしきりの説明が終わったところで、ひばり、綾香、アキの三人はリンクアウトした。
風華、そしてひばりアバターの外観データロックは、彼女のアバターのタレントに関わりがあり、大きく変更する事は出来ないらしいことが羽月の説明でわかったからだ。
それ以外の点では、特に通常のアバターと何ら変わりないと説明され、ひばりは複雑そうにしながらもうなずいていた。
「んぁ〜〜っと。楽しかったぁ☆」
電脳の世界から帰還した綾香の第一声はこれだった。
ギリギリの戦いを強いられてはいたが、安全性が高いことが確認できた為、スポーツに似た爽快感を感じられたからだ。
「ふたりともゴメンね? あたしのせいで……」
一方で、ひばりはアバターが暴走したことや、戦いにほとんど参加できなかったことに罪悪感があるらしく、うなだれていた。
その様子を見て、綾香は苦笑いした。
「暴走はひばりのせいじゃないだろ? 気にすんなって」
「でも、あたしのアバターの問題だったのに……」
気にするなと笑い飛ばそうとする綾香だが、ひばりは浮かない顔である。
それを見て綾香は少し困ったように頭をガリガリと掻いた。
癖のある黄金の毛並みがかき混ぜられ、暗めの部屋のわずかな光を反射して色合いを変えた。
蒼い瞳がどんよりとしたひばりの姿を写し、綾香はなんとも言えない気分になった。が、すぐに何事かを思いついた顔になり、口の両端を持ち上げるようなまるで小悪魔のような笑みを浮かべた。
シートから立ち上がり、軽い足取りでひばりのシートへ向かった。
そのお尻には、先っちょのとんがった長いシッポが見えた気がした。
「ひ〜ばり♪」
「ふぇ?」
不意に声をかけられ顔を上げるひばり。
と、その小さな体に似合わぬ、女の象徴たる連山が、鷲掴みにされた。
綾香がひばりの隣に座りながら彼女の両胸に手を回したのだ。
「……へっ?」
突然のことに硬直するひばり。しかし、綾香はまるで気にした風でもなく、そのてをやわやわと動かし始めた。
「うっひょぅ☆ 弾力すげー♪」
綾香は楽しげに声を上げるが、ひばりは混乱の極みだ。
「え? ちょ。ま。な?」
反応しきれないひばりを後目に、綾香は手全体を使うようにしてふたつの水風船を揉み始めるが、すぐに眉根が寄った。
「ん? なんかこれ……」
その違和感に思い当たり、綾香はまたもや小悪魔スマイルを浮かべると、すぐさま次の行動に移った。
「えっと……ブラのホックは……やっぱフロントかぁ☆」
「え゛っ?! 待っ……!?」
ひばりが言い終わるより早く、綾香の「えいっ☆」という楽しげなかけ声とともに、その連峰に施されていた封印は解かれ、絶景を開陳せしめた。
より具体的には、その膨らみが『ばるんっ♪』という擬音が付きそうなくらいの勢いではじけるようにボリュームアップした。
「……すっげえボリューム」
見た目ふた回りほどサイズアップしたひばりの二連装主砲の迫力に思わずのどを鳴らす綾香。
そして、この小悪魔スマイルである。
「……うりうりうりうりうりうりぃ〜〜っ♪☆」
「うにゃぁあ〜〜っ?!」
楽しげな顔でひばりのふたつの巨大マシュマロを思う様揉みしだく綾香。
悲鳴を上げるひばりはされるがままだ。
そんなふたりを見て、アキはあきれたようにため息を吐いた。
オペレータ席の滝川もやれやれと言わんばかりに息を吐く。
そして、もうひとり……。
「ウェヘヘヘ……美少女とロリ巨乳ふたりの絡み〜〜♪ やべぇ、排卵しそう☆」
ヨダレと鼻血を垂らしつつデジカメを構えるダメな淑女《変態》がいた。




