第四一三話『玄盾の危機』
「ぐくっ……」
『ふん……』
砕けた盾が転がり、玄いアーマーをまとった姿が、大地を抉るようにブレーキングして、相手を睨む。相対するは、ライトイエローの単眼戦士。
両手にクロスガンを持ち、静かに佇む。
「……なるほど厄介なタレントだ。実際にやりあってみてこれほどとは……」
呟いて、玄いアーマーを纏った小柄な少女、北丘 武瑠は漏らす。
彼女を含め、三人がかりで仕留めにいったが、そのメンバーはすでに武瑠だけとなっていた。
彼女の後ろにはフラッグを保持する本陣。そこには“S.C.W.E.R.”の統括制御をしているあかりとアキ、守備を担当している秋人に惣一しかいない。
とはいえ、メインウェポンのガトリングガンもビームキャノンも切り裂かれ破壊された。
現状、予備の兵装であるアサルトライフルを展開し弾幕を張りつつ牽制。武瑠を壁役として後方の秋人と惣一の射撃で倒そうとしたが、そのすべての攻撃を、“幻想舞踊”で無効化された。
ライトイエローの単眼戦士、神崎 栄史郎は、綾香とはおもむきの異なるタレントの使い方をしていた。
彼は、綾香のように虚像を無数に作ることをせず、攻撃を受けた際に使用する。
そして、タイミングを見計らって攻撃をするのだ。
綾香とは正反対、最小限にしか使用せずにいるのだ。
これが完全に機能した形で、武瑠は攻撃を無効化され、自身の兵装や盾を次々に破壊されてしまっている。
「くっ……」
追い詰められていることを自覚して、武瑠はくちびるを噛んだ。
『終わらせてやろう』
そんな武瑠に栄史郎が宣言した。踏み込んだ一歩が、武瑠へと向かう。それを虚像と化し、武瑠の周囲に像を結んだ。
「ちぃっ!」
舌打ちをしながらアサルトライフルを振り回してそれらを砕く。
その脇に、彼の足が触れた。
「なっ?!」
周囲のすべてをフェイントとして、新たに像を結んだ栄史郎から、電子音が響いた。
『charge!!』
赤い円錐が、武瑠の脇腹に刺さるように展開され、栄史郎が素早く足を下ろして反対側の足で回し蹴り。
盾を割り込ませるスペースも無く拘束され、武瑠は覚悟をした。
「ちょっと待ったああぁぁぁああっ!!」
叫びと共に、ダキュンッ! と炸裂する音が響き、ゴツい拳が“武瑠の盾”に叩き込まれ、ダダダダダダキュンッ!! とカートリッジが六発まとめて弾かれた。盾が砕け、武瑠の身体が弾き飛ばされ。誰もいなくなった空間を、円錐が貫いた。
『何っ?! 貴様っ!』
激した栄史郎は素早く体勢を整えてクロスガンを構える。
が、それより早く、“彼女”が腰を振って、腰に備え付けられた蛇腹剣が彼を襲った。
『ちっ!』
素早く光刃を伸ばし、栄史郎は蛇腹剣を弾く。二本のそれは、そのまま主の方へと戻り普通の剣に戻った。
ザッと、地面を擦りながら足を開き、金髪碧眼の少女が栄史郎の前に立った。
「よお、あんたの相手はあたしだ」
二年八組のエース、夏目 綾香は、不敵に笑って栄史郎に言い放った。




