第四〇四話『天舞う銀騎士』
「くっ?!」
「あーらよっとお♪」
白き単眼戦士の張る弾幕を、金髪碧眼の銀騎士が、ヒラヒラ躱す。互いに広げた白い翼を羽ばたかせ、白と銀が空に踊る。
『なんだってんだっ?! 三組の奴と戦りあってる時より動きがいいじゃねえかっ?!』
戸惑うように叫びながら、翼を広げて滑るように飛翔し、白い単眼戦士が光弾を連射する。
しかし、それを銀騎士は広げていた翼を畳み、手足を体に着けて墜落するように降下して躱した。それを追うように白き単眼も急降下する。
と、彼女は翼と両手足を一杯に開いてエアブレーキを掛けた。
相対速度の差により、単眼戦士の脇を彼女が通りすぎる。
否、彼が彼女を追い越したのだ。
『くっ?!』
慌てて体を捻って見上げれば、銀騎士は槍を手にした腕を真っ直ぐにこちらへ向けていた。
単眼の見る先に、青い瞳が見えた。
その槍が火を噴くのと同時に、白い単眼戦士は無理矢理体を真横へ移動させて射線から逃れる。そして、フルパワーを以て上昇し始めた。左腕と両肩のクロスガンが火を吹き、強力な火力を銀騎士へと浴びせかける。
彼女の白い翼が左右で逆方向へとわずかにねじれ、それだけで銀騎士は優美な弧を描いてバレルロールし、下から降り注いだ弾丸の雨を避ける。
さらに足を振って宙返りしながら槍を上に向けた瞬間、その横を白い鎧が通り過ぎ、タイミング良く彼女が発砲した。
その弾丸は、上空で振り返った単眼の左腕に命中し、クロスガンを破壊する。
『貴様っ!』
「ちっちっち、女の子に対して貴様なんて失礼だよん♪」
激昂した彼に笑い掛けながら左の人差し指を振ってウインクした。
それを見た単眼戦士が翼をはためかせて突進する。が、彼女は笑いながら側転して躱した。
が、単眼は強引に直角に旋回し、肩のクロスガンから光の刃を伸ばし、剣の翼で彼女へ襲いかかる。
だが、そんな意表を衝くような機動ですら、金髪碧眼の銀騎士を捉えることは叶わない。
まるで銀色の羽毛が宙を舞うように、ヒラヒラと舞い躍りながら単眼の戦士を翻弄する。
その様子を離れた場所から見て、南波は呆然となった。
入っていけない。
タレントで飛行している白い単眼戦士の空中機動能力はかなり高い。速度や反応などこちらの上を行っている。彼女、クリスティーナ・ウエストロードの使ってるいるカスタム型の飛行ユニットの能力にしても、白い単眼戦士には及ばない。にも関わらず、銀騎士は空中で舞を舞うかのように、単眼戦士を翻弄していた。
南波とて、四神の一人、朱雀を継ぐものとして、空を飛ぶことに自負があった。
しかしだ。
元白虎候補だったらしい彼女と自分とは空を飛ぶ能力を扱うレベルが違いすぎる。
ひと目でそれが解ってしまった。
それが悔しくて。
南波は我知らずにくちびるを噛んでいた。
その視線の先で、戦いが動いた。
『だらっしゃああぁあっ!』
タレントという特別な力によってのみ成し得る、強引な機動。
「うおっとぉっ?!」
ここで初めて金髪碧眼の銀騎士の顔に驚きが生じた。
空中での挙動を丸無視しためちゃくちゃな機動で白い単眼戦士が銀騎士に迫る。
ロールし、スプリットし、スライドし、ダイブし、様々な機動で引き離しに掛かるが、彼の強引な飛行機動は、無理矢理着いてきた。
「しつっこいよん!」
『もう逃がさねえよ!』
『charge!!』
そして切り返しの一瞬の隙に、赤い円錐が銀騎士を捉えた。




