第三九九話『激突する明黄と玄武』
『うおおおっ!』
「ちぃっ!?」
一方こちらでは、気迫と共に駆けるライトイエローの単眼戦士の突進に、武瑠が舌打ちをしていた。
濃密な弾幕を張る彼女だが、ライトイエローの戦士は苦もなく接近してくる。なぜなら、攻撃が命中する端からガラスが砕けるような音が響き、その攻撃を無効化してしまう。
タレント“幻想舞踊”の力だ。
彼女だけではなく、秋人や、惣一も援護射撃をするが、まるで当たる気配が無い。戦域すべてを長時間焼き続けるような攻撃でも無い限り、当たる目は無いだろう。
とはいえ、ライトイエローの単眼戦士、神崎 栄史郎にも余裕は無い。“幻想舞踊”は、生体への負荷が大きいタレントだ。乱用すれば強制停止が待っている。攻撃に仕様出来ない分余裕があるはずだが、これだけ濃密な弾幕を張られては使用頻度は上昇するばかりだ。
『……とっとと片付けてやろう』
『charge!!』
弾幕を避けながら、栄史郎は特殊攻撃の準備に入る。
そして、三人の内もっとも厄介な武瑠の前へ。
「くっ?!」
歯噛みしながら後退する武瑠へ、二つのクロスガンを向けてトリガーを引いた。
「な……に……?!」
出現した二つのライトイエローの円錐に束縛され、武瑠の動きが止まった。
『……終わりだ!』
止めを刺すべく踏み込む栄史郎を近づけまいと、秋人と惣一が必死で弾幕を張るが、それすら“幻想舞踊”無効化した彼が武瑠の前へと迫った。クロスガンのグリップから伸びた刃を翻し、二刀一閃の斬撃を放つ栄史郎。
そして、円錐の先端が武瑠に向かう……直前に阻まれた。武瑠の両肩と両足にドッキングしていた玄い浮遊盾が四枚、円錐の先端を押さえるようにして浮遊していた。
『なんだとっ?!』
これには栄史郎も驚く他なかった。
せめぎあっていた両者だが、やがて円錐が砕けて消えた。
しかし、武瑠の玄い盾もボロボロである。
「くっ、身動きを取れなくするとは……」
武瑠は悔しげに吐き出す。拘束されることは知っていたが、これほど強力なものとは思わなかったからだ。
「……確実に攻撃を当てるための機能なんだろうが、それだけに厄介か。さて、どうしたものか……」
ぼやくように言いながら、武瑠は弾幕の再展開と後退を再開した。
と、そこへ。
バイクに跨がり、白銀のサイクロップスアーマーを纏った慎一郎だ。クロスガンを連射しながら、栄史郎の横までやってくる。
『神崎、援護に来たぞ』
『……余計なお世話だ。と、言いたいところだが、助かったぞ関』
返事を期待していなかった慎一郎は、栄史郎の返答に面を食らう。が、すぐに気を取り直してハードラッシャーから降車した。
『……おまえからそんな言葉を聞けるなんてな』
『お前と違って礼儀正しいんだよ』
軽口を叩き合い、二人が並び立った。
栄史郎が襟元を指で擦り、慎一郎が軽く手首をスナップさせた。
『……ふん』
『……いくぜ』
そして、二人の単眼戦士が走り出す。




