第三九七話『フラッグ攻防戦』
『……あれか!』
バイクに跨がったライトイエローの単眼戦士神崎 栄史郎は、向こうに見える集団のほぼ中心に、狙うべきフラッグを発見し、クロスガンを手にしながら加速した。
対して七・八組のフラッグ守備隊も動き出す。
『うおっ?! バイク乗りだッ!』
『つーかライトイエローっ!?』
『まずいっ! 近づかせるな』
号令に、銃弾と砲弾と矢が飛んだ。それを栄史郎は車体をコントロールして躱す。
『ふん、こんなものか! やれ!』
鼻を鳴らしてクロスガンで撃ち返しつつ、命ずる栄史郎。
それに応えるように、グラウンドバッシャーの車体が、シートの後ろ側を含んだ後輪ごとスライドして左右に展開し、変形して立ち上がった。
さらに前輪も左右に割れるように展開変形、鉤爪状に変わる。
栄史郎をその背に乗せたまま、グラウンドバッシャーは逆間接脚のロボット形態に変形した。
『……おお、可変バイクロボだ』
『かっけえ……』
『いいなあ……』
『ばかっ! あれは敵でしょっ』
グラウンドラッシャーの変形に、数人の男女が目を輝かせ、涎を垂らす。が、栄史郎にとっては体の良い的である。
『やれ』
その声に、グラウンドバッシャーのフロントカウルの両脇からガシャリと金属音を響かせて、直方体のケースが飛び出した。
直後。
射出音を曳いてカバーを撥ね飛ばすように短めの円筒が白煙を牽きながら射出された。
マイクロミサイルである。
ついでに鉤爪の脇に据えられた小さな砲口が火を噴いた。
ミサイルとマシンガンの同時攻撃が、守備隊の面々へと襲いかかった。
『ぎゃああっ?!』
『うわわっ?!』
『ひいいっ!?』
『だから言ったでしょっ!? このバカぁっ!?』
その攻撃に、あわてふためく。そして、爆発と爆煙と爆音に包まれた。
『……ふん』
それを見て、栄史郎は鼻を鳴らし、グラウンドバッシャーをフラッグに向け……ようとして止まった。
『む?』
栄史郎の見る先で、晴れゆく爆煙の中から玄い六角形のプレートが六枚、玄いフィールドを展開しながら姿を表した。
『これは……』
思わず漏らす。
そんな栄史郎の目の前で、六枚のプレートが飛翔し、一人のアバターへと集まっていった。
両肩と両足へ一枚ずつ、二枚が繋がり左腕へ。
肩と左腕と足が大型パーツで構成された玄いボディスーツの小柄な人影。右腕に巨大なガトリング砲を携え、黒髪をショートボブにした少女、北丘 武瑠がたたずむ。
「……やらせるわけにはいかんな」
『……抜かせ』
見下ろす栄史郎がクロスガンを構えれば、武瑠もガトリング砲を構えた。
緊張感を孕んで二人が同時に自らの得物でターゲッティングしあいながらにらみ合う。
そして、いきなり発砲した。
同時に栄史郎はグラウンドバッシャーのシートから跳び上がり、連射しながら着地して即座に走る。それを追うように機関音を響かせ、発砲音を轟かせるガトリング砲を振り回す武瑠。
攻防が始まった。
一方で、グラウンドバッシャーも他のアバターへとマシンガンを連射しながら進撃し始めた。




