第三九三話『大地で激突する二人』
「くぅっ?! しつっこい男は嫌われるでっ?!」
『悪いな。お前をフリーにしたらこっちがかき回されるのが目に見えてるんだ。逃がしゃあしないぜ!』
一方、地上の主戦場から離れた地区で、白く小柄なアバターとバイクに乗った単眼戦士が機動戦を繰り広げる。
タレント“天之道往”により、空中に爪を立てて疾るは、フラウことフラウディア・ウエストロード。
小柄で金髪碧眼の彼女が、前傾姿勢で疾走する。それを追跡するのは可変バイクハードラッシャーに跨がった白銀の鎧にイエローの単眼戦士、関 慎一郎。
バイクを右手でコントロールしながら、直方体を二つ交差させたような多用途武器“クロスガン”を構えて発砲。
光弾がフラウを狙い飛翔する。それを彼女は体を振って躱した。
「そんなん当たるかいな!」
『にゃろっ』
走りながら体を揺らしたフラウに、慎一郎はクロスガンを連射する。それをフラウがスラロームしながら次々に避けていく。
が。
「そこだぜ!」
狙い済ました一撃が、フラウの進路に交差するように撃ち出された。
「ッ!?」
それに気づいて、フラウは空中で小さく“跳躍”し、回し蹴りを放つ。それが光の弾丸を捉え、蹴り弾いた。
『……ほんとかよ』
そのアクロバティックな防御法に、慎一郎は思わずあっけにとられた。が、すぐに気を取り直して光弾を連射する。
空中に“着地”したフラウはそのまま慎一郎の速度に合わせるように高速でバックしながらスラロームや、小さくジャンプして避けてみせ、それが無理なら蹴り弾いて防ぐ。
そんなふうに続くアクロバティックな彼女の姿に。
『てめえ中国雑技団かっ?!』
「んなわけあるかいなっ?!」
叫ぶ慎一郎に、フラウが突っ込む。その間にも慎一郎の射撃が続くが、フラウはすべて捌ききった。
『くっそ、当たんねえ』
「ほな、こっちから行くでえっ!」
悪態をつく慎一郎に、フラウは笑みを浮かべて身構えた。両腕に格闘用クローが展開した。
『ぬ』
慎一郎はそれを見て仮面の向こうで目を細めた。
刹那、高速でバックしていたフラウが、前方へ加速。慎一郎へと急接近した。
『うおっ? 速……』
繰り出された爪を、クロスガンで受け止めて弾いた。
双方がすれ違い、同時にブレーキングしながら急ターンして向き合った。
「……」
『……』
砂煙が舞い、フラウが笑んだ。応えるように、慎一郎がバイクをふかす。
そして。
同時に走り出した。
即座にトップスピードに達し、フラウが爪を構えた。が、慎一郎は素早くハードラッシャーのシート上に乗って跳躍した。
「な、なんやっ?!」
思わず見上げる。その刹那、ハードラッシャーが人形に変形した。
「?! しもたっ?!」
慌てるフラウの前へ、ハードラッシャーが拳を振り上げながら迫った。
そして繰り出された拳を、フラウが受け止めた。
その頭上へ、影が差す。
「なっ?!」
見上げたフラウが驚愕に目を見開いた。
『charge!!』
電子音が響いた。空から赤い光を纏ったナックルを填めた銀の鎧が降ってくる。
「くうぅうっ?!」
フラウは避けようともがくが、ハードラッシャーに押さえ込まれており、身動きがとれない。
そして。
『うおおおぉぉぉおっ!!』
雄叫びと共に繰り出された拳がフラウに叩き込まれ、赤い衝撃波が広がった。




