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第三十五話『幻想舞踊《ミラージュステップ》』


『【ミラージュステップ】発動します!!』

 セレーナの声に導かれながら、綾香は素立ちのままステップを踏みはじめた。それはゆらゆらと軽く左右に揺れるようなわずかなステップ。

 右にかかっていた重心が左へ流れ、それがまた右へと戻る。

 見事なまでのプロポーションのボディが、それにそって小さくシルエットを変える。

 張りと柔らかさを兼ね備えた少女の肢体がゆるゆるとその姿を変え、その顔をのぞかせる。

 ボリュームのあるくせっ毛の金糸が、軽く跳ねるように左右に揺れはじめ、光りの加減でその色合いにを変えていく。

 大きく張り出した双丘も、やわやわとその形状を変化させつつ上下に、左右に揺れていた。

 すると、彼女の姿に変化が起きはじめた。ステップの挙動に、彼女の輪郭が遅れはじめる。その遅れは徐々に大きくなり、輪郭がブレはじめた。

 そうしてステップを踏み続ける綾香の姿に、黄と黒の闘士は少し警戒していたが、おもむろに回し蹴りを放った。

 あきらかに届かない距離。だが、繰り出された蹴足が光輝いたかと思うと、光る足がそのまま伸びていき、鞭のようにうなった。

 それが、小さなステップを踏み続ける綾香の頭を捉えた。



 ガシャン。



 と、ガラスが砕けるような音が響いて綾香の姿が粉々に砕け、長い鞭を振り回したかのような回し蹴りは空を切った。

「?!」

 確かな手応えがあったはずの一撃が空回ったことに、闘士の顔に驚愕が走った。そして、その視線の先では、綾香が未だにステップを踏み続けていた。

 まるで、舞い踊る風に揺れ続けながらも咲き誇る花のように。

 その姿に、闘士の左半身が青く染まり、その手にハンドガンが現れた。

 間髪を入れずに三連射する。

 光りをまとい、自動追尾能力が付加されたソレは、必ず当たる伝承の魔弾のように綾香へと食らいつこうと飛翔した。

 しかし、その弾丸が命中した瞬間。ガラスの砕ける音とともに、むなしく宙を切っていった。

「?!」

 その事実に、銃士は驚きを隠せない。

 それを見て、綾香が笑った。


 瞬間。


 まるで瞬間移動のように綾香が踏み込んできた。

 銃士は驚きながらも袈裟掛けに振るわれる刃をハンドガンで受け止めた。

 が、ガラスの砕ける音に銃士が目を見開く。

 大剣を受け止められた綾香の姿が、粉々に砕け散り、銃士の胴を薙払うように大剣を振るう綾香の姿が現れた。

 もはや回避不能なタイミングで、刃は銃士へ叩き込まれた。




「マスター起きてください! マスター」

 暗闇の中で、ひばりを起こそうと悪戦苦闘する風華。

 主の顔を、その小さな手でぺちぺちと叩きながら声をかけ続ける姿は、どこか愛らしかった。

「起きて〜。マスター起きてください〜」

 少し涙目になりながらもひばりのほっぺに両手をつけて、揺する風華。

「う、う〜ん……」

 その努力が実ったか、ひばりが声を漏らした。

 その事実に風華の顔が、パァッと明るくなった。

「チャンスです! マスター起きてっ! 起きなさ〜いっ!」

 勢い駆って耳元で騒ぐ風華。

 その声に、小学生のような少女が、うっすらと目を開いた。

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