第二十七話『襲撃』
「で、突入したわけだが。なんともなあ……」
周囲を見回した綾香が軽くぼやいた。
風華にアクセスした三人だったが、扉をくぐった瞬間、周囲が幾何学模様の壁に覆われた広間へ出た。
それ以外には扉も無く、天井もどこまで続くのかわからないほど高い。
「行き止まりなのかなあ」
不安げに周りを見回すひばりもつぶやいた。
ただひとり、アキだけが睨むような目で周りを観察していた。
「なあアキ。こっからどうすんだ? ……?!」
そんな彼女へ声をかけた綾香だったが、不意に感じた気配に身を翻した。
その刹那、綾香が立っていた辺りに、棍棒が叩きつけられた。
「って、なんだぁっ?!」
あわててその得物の持ち主に蒼い視線を走らせる綾香。
そこには、デジタルノイズと共に、見上げるような巨体に筋骨隆々とした巨人が居た。
「な、なに? なにが起きてるのっ?!」
「これは……」
突然のことに目を白黒させるひばり。そしてアキが表情を険しくした。
その間にも四つの魔法陣が展開し、ひばりよりも小さな人影が顕れた。
体毛が無く、腰回りを布で覆っただけの人型生物。それは手には錆びついた鉈のような得物を持ち、それを振り回しながら奇声を上げる化け物だ。
「か、怪物っ?!」
「アキ!? こいつらも防御プログラムなのかっ?!」
ひばりが声を上げ、綾香は巨人が振り回す棍棒をなんとか避けながらアキへと声をかけた。
それに応えたのは、アキが脇に抱えた大砲から砲弾が吐き出される轟音だった。
その一撃は、正確に小さな化け物の一匹を捉え、炸裂した。
その爆発によって生じた煙が消え去った時、小さな化け物は、跡形もなくなっていた。
「……効果はあるようですね」
ホッとしたように息を吐き出すアキ。
そして二人へ声をかける。
「二人とも、ツールで攻撃してください! それから綾香さん! そちらの巨人は私が相手をします! ひばりさんのフォローを!」
「こ、攻撃って……」
「わかった!」
戸惑うようなひばりに対し、綾香は即座に返事をしながら巨人の棍棒をガントレットで弾き、その反動を利用して大きく後退した。入れ替わるようにアキが突進し、巨人にショルダーチャージを仕掛ける。
だがしかし、巨人は小揺るぎもせずに棍棒を振り上げた。
そこに生じた隙を、アキは見逃さなかった。巨人の顎先に大砲が突きつけられ、 そこから砲弾が吐き出された。
轟音が響きわたり、その一撃によって、巨人は足をふらつかせた。
それを好機とばかりに、アキの体が軽く沈み込み、コマのように回転しながら蹴りを放った。
その一撃を腹に受け、巨人はついに吹っ飛ばされた。
アキはそれを見送るように立ち上がり、長い黒髪を掻き上げてから大砲を構えた。
ドンッ。
と、重い低音を響かせ、砲弾がその口から吐き出された。
その高威力の巨弾は、寸分違わずに巨人へと吸い込まれていった。




