第一九五話『合流』
「きゃああぁあっ?!」
悲鳴を上げ、シモーヌが頭を下げた。
「セッ!」
そこへ飛びかかってきていた肌色の蜘蛛へと、鷹久の回し蹴りが決まった。
と、次の瞬間、空間にヒビが入った。かと思えば、それはあっという間に広がり、ガラスが割れるような音を響かせながら砕け散った。
そうして六人の目が交錯した。
「タカっ?!」
「しーちゃん!」
「あ、綾香?!」
「な、なぜ和也が居ますのっ?!」
「わわっ?! いきなりみんながっ?!」
「ちぃっ!」
「ヴォオオオオオッッ!!」
それぞれに声を上げ、顔無しの牛巨人が吼えた。鷹久に蹴られた蜘蛛はそのまま牛巨人の足下に転がり、踏みつぶされて消える。
そして木刀を手に踏み込んでくる祐介を見て、綾香は和也を突き飛ばして自身は反対側に飛んだ。
「コォッ!!」
鋭く響く呼気の音を引き、祐介が牛巨人に迫る。巨人はそれに気づいてか、突進しながら腕を振り上げた。が、それが振り降ろされるより早く、祐介の木刀が巨人の胴を薙いだ。
刹那。まばゆいばかりの光が広がり、巨人はそれに飲み込まれて消えた。陸の太刀、“灼陽”である。
そうして、一同は無事に合流を果たした。
「で? なんで綾香や支倉さんがここにいるのかな?」
「そ、そうですわ! なぜ和也がここに?」
当面の危機が去り、とりあえず一息つく一同。しかし、そこで鷹久とシモーヌが、綾香と和也、ひばりに詰め寄った。
バツが悪そうにする和也とひばり。しかし、綾香はケロッとしている。
「……和也とデートかな♪」
「ぬなっ?!」
「ええええっ?!」
「あ、綾香ちゃん?」
「……」
しれっとしながら言う綾香に、シモーヌがまともに顔色を変え、和也が声を上げた。ひばりも困惑気味に綾香を見上げる。唯一、鷹久だけがジトッとした半眼で綾香を見ていた。
「……綾香」
「んー?」
「……嘘でしょ」
「…………」
鷹久の指摘に、綾香はそっぽを向いた。
「な、なんだそうでしたの……」
「まったく」
ホッと息を吐くシモーヌ。その隣で鷹久もやれやれと言わんばかりに息を吐いた。
「ちぇー。もうバレたよ……つまんないなあ」
イタズラがバレた子供のようにブーたれる綾香。その姿を見て、ひばりは軽く息を吐いてから苦笑した。
「ひばり?」
それに気づいて、綾香が不思議そうな顔でひばりへ声を掛ける。
ひばりは顔を上げて綾香に笑い掛けた。
「ちょっとね。いつものやりとりだなって思って……」
そう言って笑うひばりに、綾香と鷹久は顔を見合わせて笑った。シモーヌと和也もだ。
そこへ祐介がやってきた。
「……だめだな、まだ出られそうにない」
頭を下げながら言う祐介に五人は顔を見合わせた。
「えと、結界……って言うのが破れなかったの?」
「そうだ」
代表して訊ねたひばりに、祐介がうなずいた。それを聞いて一様に表情を曇らせる一同。
不意に、耳鳴りがしたかと思うと、ひばり達の正面の空間が揺らぎ、ひとつの人影が現れた。
「きききき。まさ狩り士が同行しているとは思わなかったデス!」
そこに現れたのは、パーク従業員の姿をした“ナニカ”だった。




