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第十七話『ファミリアの姿』


「よおし、全員契約リンケージを済ませたな?」

 クラスの様子を見回して言う言う滝川教諭。

 生徒たちの机を見回し、ファミリアが出ているのを確認して満足気にうなずいた。

 と、ひとりの生徒の机の上を見て、おや? となった。

「あれは?」

 それはひばりの机であった。

 元来、ファミリアはある理由からマスターとなるべき人間のパーソナルデータを元に生成される。したがって、全く同じ姿のファミリアになるのが普通だ。

 しかし、ひばりのファミリアだけは、ひばりが大人になったような姿である。

「……Toy、支倉のファミリアの様子がおかしいな。調べておけ」

『了解だ』

 滝川は真剣な様子で自身のファミリアにだけ聞こえるように小さく声をかけ、ふたたびひばりのファミリアを見た。




「さて、契約が終了したからな。ファミリアのカスタマイズに関する授業といくか」

 滝川教諭は何事もなかったかのように授業を再開し始めた。

 たが、彼がひばりの方を注視していたことに、いく人かの生徒は気づいていた。

「……やっぱ、何かあるのか?」

『どうかしたか? 主』

 祐介がひばりの方を見てつぶやくと、彼のファミリアが訝しげに訊ねてきた。

「クサナギ……いや、支倉のファミリアだけ違う感じだろ? どういうことかな? と、思ってさ」

『ふむ。たしかにそうだな。使い魔と主の体格は近い方がリンクネットへダイブした際に有利に働く。あれほど体格が違うと動かすのに苦労するのではないかな?』

 祐介の言葉に、彼のファミリア、“クサナギ”がうなずきながら、解説をする。

 祐介は半分聞き流して小さく息を吐く。

「なんにしても、少し気にかけておくさ」

『では我もそうするとしよう』

 祐介の決定に、クサナギも同調し、ふたたび小さな少女へと視線を向けた。




「つーわけだ。だからファミリアの体格は本人と近い方が良い。まあ、体を動かすセンスに恵まれてりゃ、ファミリアの支援もこみこみでなんとかなるだろうがな」

 教諭からのカスタマイズの注意点を聞きながらうなずく生徒たち。

 教諭が言うにはファミリアの外装データはいくらでも変更可能(たとえば子犬に変更することなども可能)だが、リンクネット上のアバターにもなるため、自身とかけ離れた姿は操作が難しくなりやすいらしい。

 リンクネットのチューニングは、このアバターを通して行うため、操作しやすい姿の方が良いのだそうだ。また、アバターが主とかけ離れてしまうと、ファミリアの処理能力がそちらに取られてしまうため、チューニングツールの保持に制限がかかり、チューニング能力の低下を招いてしまう。

 それを防ぐためにもファミリアの姿は主と同じ方が良いとされている。

 それ以外、服装や髪型、髪や瞳の色などは自由に変更可能で、チューニング用のツールデータも外装を変更可能であるため、様々な姿のアバターが存在しうることになる。

 従って最終的にファミリアは、カスタマイズする本人次第で無限に等しい外観を持ちうるのだ。

「まあ、本格的にイジるには時間がかかるからな。試しに服そうデータや髪色なんかを変えてみろ」

 滝川教諭に言われ、生徒たちは自分のファミリアに向き直った。

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