第十四話『そしてトリは?』
「まあ、おねーさんのことは、クリスって呼んで欲しいねい♪」
明るく笑顔を振りまきながらそう言ってウインクを跳ばすクリス。
すると、ノリの良い何人かの男子が『クリス〜〜』っと、大きな声で呼んだ。
クリスは笑顔でそちらを向くと、ハァイ♪ とウインクしながら返事をし、投げキッスまで飛ばして見せた。
すると男子がそれに反応し、ブラボーっ! と声を上げた。
そうしてひとしきり騒ぎとなった教室が、何とか鎮静化したところで次の生徒の自己紹介にうつっていった
しばらくは、何のことはない自己紹介が続いていたが、やがて彼女の番となった。
癖のある長い金髪に、抜けるような白い肌。そして瞳は、晴れ上がった空のような蒼。
同じ金髪碧眼ではあるが、クリスがどこか捉えどころの無い雰囲気なのに対し、この少女は、太陽のようなからっとした笑顔が特徴的だった。
「あたしは夏目綾香☆ よろしくな♪ 好きなものはプリン♪ 嫌いなものはしつこいヤツ。身長は170。体重はないしょだ☆ スリーサイズは上から……」
一度ここで切りつつ両手を腰に当てながら胸を張りながら「バスト92☆」と言い、軽く体をひねってから「ウエスト63☆」と強調し、スカートをふんわり揺らすように腰を振りながら「ヒップ93だよ☆」と言ってウインクする。
「ちなみに恋愛とかメンドいから彼氏の募集はしてないからな♪」
ポーズを解いて、イタズラ小僧のように笑いながら言う綾香。
それを聞いて男子生徒達が一斉に肩を落とした。
その様子を見て笑いながら座る綾香。
ついで立ち上がるのは、お尻が隠れるほどの長さとボリュームの黒髪ポニーテールの小さな少女の姿だ。
彼女は小さく深呼吸してから、口を開いた。
「支倉ひばりです。家庭科部所属で、趣味はお料理です。特技は……」
そこで一息あけると、「『声帯模写だ』」
俊夫の声でしゃべった。
シンッと、教室が静まり返る。
「『ふふん。聞いたばかりの声でも、感情的でなければ、この通りだよ』」
ついで洋介の声。さらに口を開く度に別人の声になる。
男子女子の区別無く、ひばりの口から飛び出る声の数々に、クラスメイト達は呆気にとられた。
そんな中から、呆然とした声を誰かが絞り出された。
『ス……』
その誰かの声を皮切りに、『スゲーーーーっ!?!?』と大きな声があがった。
『支倉すげえっ?!』
『どうやったらできるんだ?』
『やべえ、おれ惚れそうだ』
『ひ、ひばりタンハアハア……』
ひばりの声帯模写の威力に、生徒達から賞賛の声があがり、ひばりは恥ずかしそうにはにかみながら席に着いた。
綾香とひばり、ふたりのセンセーショナルな自己紹介に、その後に自己紹介となった生徒は、なかなかにヤりにくそうだった。
そんな形で最後のひとりである彼へと順番が回ってきた。
その、細身の体でしゃっきりと立ち上がり、周囲を見回す。
「えっと、吉田 鷹久です。趣味は特に無いですが、特技は家事全般で、特に料理はそれなりに自信があります」
特に何かあるわけでもなく、無難に鷹久が自己紹介を終えると、滝川教諭が、鷹久が自己紹介を終えたところで口を開いた。
「ま、ふたりほど足りないが、そいつはまた今度な? 次の時間は、いよいよ“アレ”をみんなに入手してもらうことになるのでよろしく頼むぞ〜」




