第十三話『自己紹介☆』
「趣味はゲーム全般。アクションゲーム系が得意だ。特技は射撃。狙いは外さないぜ? 好きなもんはカレー。苦手なのは犬だ。ガキの頃、死ぬほど追いかけられてさ〜。部活は帰宅部な〜。いじょ!」
「……ま、ここまで細かく紹介しなくても良いが、さじ加減は個人個人に任せた」
秋人の自己紹介は少し長めに続いた。それが終わったのを見計らって言う。
そして、廊下側の席に視線を転じた。
「んじゃ、廊下側の頭から始めてくれ。沢井は席に着け」
「うーっす」
ひとり目が自己紹介を始めたのを聞きながら、秋人はディスプレイを呼び出し、自分の席を検索した。
空いている席三つのうちのひとつ。ひばりの右隣が彼の席だった。
「や。さっきはありがと、支倉さん。助かったよ」
「ううん。別に構わないよ?」
お礼を言う秋人に、ひばりははにかむように笑った。
自己紹介が数人すすんだところで、薄茶色の髪をした少年が立ち上がった。
「青島 洋介。趣味はカメラで特技は人物撮影さ♪ 後、彼女は募集中だよ☆」
少しポーズを取りながらウインクする洋介。そんな彼を見る周りの視線は痛々しいものだが、自分に酔っている彼は気づかなかった。
ついで、後ろの席の女子が立ち上がった。
赤みの強い茶髪をツーサイドアップにした、猫のような瞳の少女だ。
体のラインは肉感的で、柔らかそうな印象を受ける。
「狩羽 あかりです。みんなよろしく♪ あと、今はフリーだから、彼氏は募集中だよ☆」
くるりと体を回しながらはにかむようにウインクするあかり。洋介のものとは違い、あかりの魅力を反映したコケティッシュな印象のウインクである。
それだけで、男子の約半分が顔を赤らめた。
彼女が席に着くと、今度は中肉中背で、糸のように細い目をした少年が立ち上がった。
「加藤 武です」
その一言だけで済ませた彼は、さっさと座ってしまった。
「神薙 御鳥です。よろしくお願いしますね」
次に立ち上がったのは、黒髪をポニーテールにしたフレームレス眼鏡のタレ目な少女だ。
やんわりとした所作で頭を垂れる御鳥。その端々から育ちの良さが伺えた。
そこから三人ほどすすんでから新たな少女が立ち上がった。
大柄な肢体で長い黒髪の少女。
「如月琴代だよ! よろしくね♪ わたしはチア部だから、みんなを応援してあげるね♪」
花が咲いたような満面の笑顔で言う琴代。
その無邪気さに、クラスメイト達がほほえましそうに笑った。
さらに小柄な少年が立ち上がった。
「バスケ部所属の牧野 慎吾だ。言っとくが、俺をチビとか言いやがった奴は、全員ぶっ飛ばすかんな?」
そう言って洋介を見る慎吾。
洋介は、その視線から逃げるように顔を逸らした。
それを見て鼻を鳴らした慎吾が着席すると、今度はバサバサの髪に眠そうな表情を張り付けた、細身の少年が立ち上がった。
「剣道部所属の高遠 祐介だ。よろしく頼むぜ」
ニヤリと笑う祐介。その様子を見た御鳥が、額に手をやりながら息を吐いた。
彼が着席すると、今度は長い黒髪に、目の下に隈をべっとりと張り付けた少女が立ち上がった。
「来島 アキ」
ただ一言つぶやいて、少女は席に着いた。
アキに続くのは、筋骨隆々たる少年。
「前田 俊夫だ。自由格闘同好会を主催している。興味のある奴は、いつでも見に来てくれ」
そう言って、実に漢臭い笑みを浮かべる俊夫。
これに続くのは、サラサラの金髪をボブヘアーにしたアメリカ人の少女。
「いえーっす♪ クリスティーナ ウエストロードだよん♪
去年色々あって留年したんだよん♪ みんなのいっこ上だけども、仲良くしてほしいよん♪」
にこやかに笑ったクリスの言葉が、クラス中の耳目を集めた。




