第十一話『そして、もうひとりのたいふーん?』
「はろろん♪ おふたりさんは仲良しさんなのかなん♪」
唐突に横合いから声を掛けられ、綾香と俊夫、そしてひばりが振り向いた。
そこには、サラサラの金髪をボブヘアーにした、碧眼の少女がニコニコ笑いながら立っていた。
「あちしも仲間に加えておくれよん♪ おねーさん、前のクラスの友達が居なくなってひとりぼっちなんだよねい。どうかなん♪」
「そうなの? 確かに顔見知りがひとりも居ないと辛いね」
少女の言葉に、ひばりが前へ出た。
「あたしは支倉ひばり。ひばりって呼んでね? えっと……?」
「クリスティーナ ウエストロードだよん♪ ティ……クリスって呼んでくれて構わないよん♪ よろしくねい、ひばりん♪」
「ひ、ひばりん?!」
自己紹介とともに妙な呼び方をされて目を白黒させるひばり。その横で、綾香が笑みを浮かべた。
「いいあだなじゃんか、ひばりん♪ あたしは夏目綾香。綾香で良いぞ? よろしくなクリス☆」
「おおう♪ こっちもふれんどりーだねい♪ おねーさん嬉しいよん♪ よろしくねいあやっぺ♪」
笑いながら自己紹介しつつ手を差し出した綾香に、クリスも笑顔で応じつつその手を取った。
「吉田 鷹久です。よろしく」
「前田 俊夫だ。よろしく頼む」
ついで男二人も自己紹介。
クリスはそれにも嬉しそうに笑顔を浮かべた。
「タカやんにトッシーだねい♪ よろしくだよん♪」
「タ、タカやん?」
「ははっ、トッシーか。そういう呼ばれ方は初めてだな」
鷹久はいきなりのあだ名に驚き、俊夫は楽しそうに笑った。
そんなやりとりに、ひばりの顔にも笑みがこぼれた。
「ふふ、吉田君もクリスには形無しだね♪」
「勘弁してく……」
ひばりに言われてゲンナリとなる鷹久。それを見て綾香が笑う。
「あははは♪ しっかしタカやんか。あたしもそう呼ぼうか?」
「止めれ」
楽しそうな綾香に釘を刺す鷹久。
するとそこへ大きな影が近づいた。
琴代だ。
「ねーねー何してるの? 私も混ぜて♪」
人なつこそうに笑う彼女を見て、クリスは笑んだ。
「うむん♪ クリスティーナ ウエストロードだよん♪ よろしくねい♪」
「如月 琴代だよ♪ よろしくね♪ クリスちゃん♪」
「よろしくだよん♪」
そうして二人が挨拶を交わし終えると、教室にひとりの男性が姿を現した。
バサバサの黒髪に眠そうな目をしていて、顎のラインが細い男性だ。
キチンとしていればそれなりに美形であろうが、猫背によれよれのシャツ、さらには無精ヒゲにが大いにマイナスポイントを稼いでいる。
「おーす。お前等席に着け〜HR始めんぞ〜」
男性の一言で生徒たちは自身の席へと急ぎ、彼の言葉を待った。
「よーし、席に着いたな。俺が担任の滝川 総司だ。ま、一年間よろしくな」
滝川教諭のぞんざいな挨拶に、生徒たちはあっけにとられるが、彼は気にした風でもなくディスプレイを呼び出して操作し始めた。
「んで、今日の予定だが……」
言い掛けた教諭の言葉を遮ぎるように、けたたましいまでの足音が響き、教室の扉から何者かが飛び込んできた。
『セーーーーフッ!!』
開口一番にオーバーアクション込みで叫んだ赤い髪の少年の姿に、目を丸くする生徒一同。
そして滝川教諭が彼の方を見て口を開いた。
「アウトだ、バカもん」




