生まれ変われ!
こんにちは。長らく死んでいました神無月です。
ここへ来るのが久しぶりなもので、その間に書きたい小説のネタが溜まり過ぎていました…。
いっぺんに書くのは私の体力がもたないので、少しずつにします。
ノートに書き溜めたり、あるいは今朝見た夢をそのまま書いてみようと思ったり。そうするとかなりの量、多種多様なジャンルが出来ました。
こんなことを此処でお話しするのもあれなので、KRASH14歳での物語に幕を降ろす仕事をしましょう。
シャレンド学園の朝。
翌日、校内の玄関には人だかりが1つ、2つ、3つ…と塊がいくつもできていた。
その訳はかんたん。
そこには次期生徒会のメンバーの名前が書いてあるのだから。
選挙委員以外の生徒は、まだ知らない。朝早くから仕事をしていたあの5人ですらまだ、名簿に目を通せていない。
「はやく!はやく!はやくはやくはやく見に行こう!せっかく仕事終わったんだし…。」
「…はあ。明莉落ち着いて。選挙結果なんてあとで見ればいいじゃない。」
廊下をいそいで渡る2人組も、早く結果を見ようとしていた。
「だけどさあ?すぐに見たい気持ちってあるじゃん。選挙結果は逃げないケドさ。」
「分かった分かった。分かったって。なら見に行くわよ。急いで!」
桜はそう言って明莉の腕を強くひく。
「行くんなら早く行くわよ。私だって気になってるんだから。」
桜は駆け足になる。横に並ぶ明莉が言った。
「考輝たちは、見なくていいのかなあ」
2人の駆け足のおかげで、名簿の貼られた玄関にはすぐに着いた。やはりここには、大勢の人がわんさかいる。
「大丈夫。あの人たちなら。」
桜は名簿の前でピタリと立ち止まった。
「…え?」
不思議そうに明莉も止まると、桜の目線のその先には、
「新生徒会がー!!」
「今日ー!!」
「始動するぞー!!」
見覚えのある、男子3名。ひとりはメガネをかけ、ひとりは体が大きく、ひとりは態度が大きい。
“ヤツら”の暴れように思わず、明莉も笑った。
「ほら、ね。」
「ったく何してるんだかねえ、生徒会も最後だっていうのにさあ…。」
「きっと、暴れたかったんでしょ。」
考輝や隼人、涼太の行動を止めない桜ほど珍しいものはない。明莉は、心の中で笑った。
「そうね。」
昨日から選挙の専門委員が票を集計した結果。
シャレンドを引っ張っていくのは誰なのか。名簿にはずらずらと名前が載っていた。
「ちょ、どれどれ…?」
明莉が背伸びして覗きこむ。
「あんたたち、張り切ってるのはいいけど?他の人の邪魔よ?」
「すいませーん。」
男子3人は、その場からサッと離れた。
“中等部生徒会 役員
1C 寺川 渚
1B 相川美桜
1A 北山あかね
1D 天宮朝日
1C 小嶋未希”
この名簿を目にした途端、2人はすぐに言葉に出した。
「ウソでしょ!?」
一番下に、確かに彼女の名前が載っている。見間違いなどではない。しかも、未希の名前の横には、“会長決定”とまで書いてあるのだ。
「ちょっと待って!?これ、本当に未希が会長?」
少なくともウソではない。
あの謝罪があったおかげなのか、それとも名前が校内で有名だったからなのか、票はもっとも多かったという予期せぬ事態(桜たちにとっては、だが)。
票獲得数が多い人が会長になるのも決まりごとで、こればっかりはどうしても変えられない。
「あの子…どこまで…。」
信じられない、真実。
その先にあるのは、舌を出して勝ち誇ったような顔をする未希がいた。
「今日から私が学園一の権力をもつ、ってことで、いいんですよね?“先輩”?」
一気に立場が変わった事で、未希はわざとそう言った。
「か、覚悟してよね…今にきっと痛い目みるわ!」
「よせ、桜。俺たちだって元生徒会として権限あんだから。」
お怒りの桜がこうしているのも、未希が生徒会として一番不安だからである。
元生徒会になる5人は、また“元生徒会”に優遇された特別な寮(正確には特別豪華な造りの部屋)に暮らす事ができ、そして生徒会のサポートができる。
この桜の状態からして、まあサポートはしなさそうだが。
「そういえば。他のメンバーの何人かはあまり知らない人だよな。」
場の雰囲気が悪いと気づいた涼太が言った。
「たしかに。」
「見知らぬヤツが何人かいる。」
とはいえ、そう人数も多くはないシャレンド学園、きっと顔を見たら分かるだろう。
「桜。不安なのも分かるけど、少し言い過ぎだよ。任せてみない?」
苛立ちで頬を膨らませる桜に、明莉が声をかけた。
彼女がいかに、生徒会を背負い学校を背負うプレッシャーに勝ってきたのかがよく分かった。
「ここは1つ、アイツらに賭けてみようぜ。」
考輝も頷いた。内心、彼にも任せっきりにする自身などない。けれど冷静な考輝は、怒るのをやめてみたのだ。
「…そうね。まだ何にもしてない時から怒ってたって、しょうがないもんね。」
ぷくっと膨らんでいた頬が、一気にしぼんだ。代わりに、桜には笑いが込み上げてきた。
「もうすぐ、進級ね。」
「そうだね。1年長かったなあ…びっくりしちゃった。」
長かった、それでも短かったような1日と1年と…ふと真面目に戻った桜は考えた。
「KRASHも、来月で4年目よね。」
「そうだったな。」
桜のストイックさについていけない隼人だけがぼーっとして、4人は急に黙りこんでしまつんた。
「な、長かったねKRASHって!」
即座に明莉は言った。
「来月からの予定は?リーダー。…あれ、リーダー?」
リーダーはというと、眠い目をこすって涼太の影に隠れていた。
「リーダー!」
なにしてんだお前、と隼人は肩を掴まれ引っ張り出された。
「眠くなってきた…。あ、ごめん大事な話してたか?」
「してるよ今。」
考輝は呆れて、隼人を引っ張った。
「リーダー、何か来月に向けての一言を!」
「眠い!!」
隼人は肩を掴まれてかんかんになって、怒鳴った。朝から。
「眠い、で以上ですか?」
涼太が彼の機嫌を損ねないように聞いた。
「眠い眠い眠い!」
しかし隼人のほうも一点張りだ。さっきまでのあの勢いはどこへやら、今すぐにでも眠ってしまうのではないかと4人は思った。
「リーダー!寝ないでー!」
4月からのKRASHは、またまたリーダーの暴走ぶりに振り回されるのだろうか…それで成功してしまうのが彼らKRASHなのだが。
とにかく、先が見えないに変わりはなかった。
どんなに4人が起こそうと叫んでも、リーダーは立ったまま眠ろうとしていたのだった。




