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KRASH!  作者: 神無月楓
ドイツもコイツもトラブル
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桜の衝撃的発言!

しばらくの間旅に出ていました神無月です。

いえ、旅はウソです。でも土産話が出来ます。

先週私は、ここのサイトをようやく開く事が出来、更新をチェックしている作品を読んでいました。

そしたら夜中まで約5時間はここにいたんだろうと思われます、ハイ。

暇があるのはこの一瞬だけですね。


2期っていつからですか?これからやりますよ。

午後8時。

「あのさ、未希?」

「何。」

午後8時の学園寮内。あと2時間すれば消灯になってしまうような時。さすがに夕方のような賑やかさは無く、きちんと夜を迎えている。生徒たちはこの消灯までの時間を“自分の時間”として有効に使っている。

夜だけは食事の開始時間のみ定めていて、デザートを食べたりしていく生徒の為に長め時間をとっている。入浴の時間も時間帯だけが決まっているだけ。8時半までに入浴を済ませておけば、騒がず自由に過ごして良い事になっている。

だからといって、就寝準備が出来ていなければつまみだされるのは当たり前。

「やっぱり、上手くいかなかったでしょ。生徒会さんに頼んでも。」

ルームメイト同士の未希と美桜は、もう迫っている生徒会の選挙に緊張し、お互いを励ましていた。未希が本心何を思うのかは分からないが。

「…。酷すぎ。後輩なのに私たちは、役員に任命してくれないって。選挙に出ないと駄目だって。」

当たり前じゃないの、美桜は心の中で呟く。でも、口では違う事を言う。

「それでさ、危ない頼み事しちゃったけど、選挙は出れるの?」

うん、と未希は頷くと同時に、いらいらと歯ぎしりしていた。

「私たちは後輩よ?優しくしてくれてもいいと思わない?あいつら、実力が上だからって、同じ事務所の人たちを見下してる。人気になっても、あんなアイドルにはなりたくないね絶対!」

いやいやそんな事はない、また突っ込みそうになった。美桜は大してKRASHに妬く感情もないし、そもそもあまりKRASHを知らなかった。テレビ越しで少し、というところ。過去に未希がしでかしたKRASHへの嫌がらせ事件だとか、もともと仲が悪かった事も知っているつもりではあったが、わけが違う。

生徒会として、学校の先輩としてのKRASHは、平等な立場で学園のトップにいる。ひとりの事情を相手にできない。

「そんなの無理にきまってる。だから頑張ろうよ?未希なら勝てると思うよ。」

「そう?美桜も、自分を知ってもらう宣伝として選挙に出るんでしょー?頑張ってよ?」

実は美桜自身、選挙で当選しなくてもいいからアイドルとしての宣伝をする目的があった。KRASHとは違い、まだそこそこの知名度で入学した美桜は、彼らと真反対で“みんなに正体を知ってもらう”活動をしている。だから、学園内でも名が知られれば、と生徒会の選挙に参戦した。

こんなケースは昔からあるらしく、学校側も対処は特にしていない。そもそも芸能人ばかりしかいないのだから。

「未希だって、半分はそんな目的でしょ。」

「い、いや!?私は生徒会やるわよ?3分の1は宣伝の為だけど…。」

「じゃ、お互い頑張ろうよ。もうポスターが校内に張られてるみたいよ。選挙活動も演説も終わったし。ね?」

未希は何も言わずに、部屋に設けられた勉強机と向き合った。

(心配だなあ。明日…。)


約3時間前。

「未希っていっつも、私たちになにかしらの文句をつけてこない?さっきのは文句とも言えないけれどさ。

桜は書類の束とにらめっこをして、ぐちぐちし始めた。

生徒会室へ未希が入ってきて、とんだ発言をしてきた事は。腹が煮えくりかえるような思いだ。

「発言撤回を要求するわオレ。」

当然じゃないか、不公平になど出来る筈がないじゃないか。

「ちなみに、桜以外は知らなかったかもしれないが…。」

と、涼太は説明を加えた。

「毎年生徒会って、音楽科の成績がМクラスでないとなれないって決まってたろ?だけど、今年1年の中にまだМクラスになった奴がいないらしい。だから立候補制になった、てのは知ってたか?」

「もちろん。」

桜だけがこくん、と頷いた。

シャレンド学園には、“音楽科”という科目の成績クラスが定められている。これは、音楽系実技の総合成績が上から順にM,S,A,B,C,Dというようにつけられている。この成績は学級の“クラス”とは関係なく、音楽科のレベルという事になる。毎月のテストなどでランクは上下し、Sクラスになった生徒は、半強制的に生徒会立候補へと選ばれ、人数と場合によってはそのまま決定になる事もある。

ちなみに、生徒会を1年終えると、生徒会メンバーは全員Sクラスになれる。

ただ、今年は異例で、Sクラスの1年生が現れなかった。だから、立候補をして選挙で決める、というかたちになってしまった。

「おかしな話だけどな、Sが1人くらいいてもおかしくないと思うんだがな~。」

「そういえば、桜はどうしたんだ。人数とランクの処理は?」

「できたわよ。きちんとこちらで“落とした”わよ。シャレンドの長い伝統を、断ち切るわけにいかないでしょ。それに、Мクラスになりたくて努力してきた私たちは無駄になってしまうしね。」

桜は、1枚のプリントを4人に見せた。

その内容は、“生徒会になれる者の権利”と題してあった。

「なんじゃい、これ。」

隼人と明莉が不思議そうな目で見た。

「これは、そんな異例の今年に合わせて作ったマニュアルみたいなものよ。私、きちんと調べたの。立候補した1年生のランクをね。見たら、半分はBやCクラスだった。これはさすがに、生徒会になれないわよね?」

「確かに~…。」

隼人は大きく頷いた。

「だから、私はそういう生徒は規則に沿った条件を満たしていないから、候補から外した。悪いけど…Мが居ないんだから、仕方ないのよ。でもAならいる。そうして外したら、選挙をしなくても定員割れギリギリになっちゃったの。」


「えええええ!?」


「要は、承認するかどうかと、意気込みを聞く事以外、しなくて良くなったってこと。」

「なんで早く教えてくれなかったの!?そんな大事な事!りょーたも!」

「いや、教えたら気が緩むだろ?」

涼太が真顔で答えた。

「明日、きちんとそれは話すから明莉、心配しなくても大丈夫よ。ただし、未希にはちゃーんと舞台の前で演説と謝罪をしていただくから。」

ふふふっと桜が悪意のある笑みを浮かべた。

(なんだかなあ…。桜はやることが恐ろしいんだものなあ…。)





いよいよ明日が、中等部生徒会役員選挙、運命の日。



未希もさすがに緊張はしていた。何せズルをしてまで、勝ちたかったのだから。

実は選挙をしなくたって、彼女はなれるのだが。本人たちがそれを知るわけがない。

次なるシャレンド学園のリーダーが全て決まってしまう、大事な日である。

今年も立候補者役アイドル多数という事で、学園内では話題になっている。

さあ、誰が生徒会を引っ張っていく運命になるのか…誰にも予想出来ない。



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