東京までもうすぐ!
雪を久々に見てすっかり興奮している神無月です。
いいなぁ、大はしゃぎして外で雪合戦をする子を見ていると、羨ましい気がします…いや、羨ましいです。
えっ、作者は一体いくつなのかですって?それは、ご想像にお任せします。
少なくとも、永遠にこのまんま。幼いですよっていう事をみなさまにお伝えしておきましょう。
それでは。これから何話かはずっと、クリスマスネタでいきます。なのでしばらく文句は勘弁していただきたいです。
…どうぞ。
「で。あんたは去年のクリスマスにやったっていう記憶の“プレゼント交換”をしたいわけね。」
隼人の言う事なんかデタラメばかりじゃないか、明莉は話を聞くうち思った。たとえそれが、自分が言った事だとしても。けれど、隼人はそれ以上に明莉の忘れっぽさに驚いていた。
「明莉がさあー、寂しいからやろうって言って、1000円以内っていう範囲でやってた気がすんだよ。で、俺は“高すぎる!”ってめちゃくちゃキレたハズ。」
そうだったっけ?4人は首を傾げた。そんな事言ってたっけ?
「…そんなに印象ないの?その行事って。」
「過去最悪、といったところね。」
涼太の問いに、桜が眼鏡を光らせた。
メンバーが4人も覚えていない“クリスマス行事”だったが、それでも隼人は一度言い出すとなかなか聞かないので、プレゼント交換もやってみようと思い始めたのだった。
「それに、楽しそうだし、いいよね。」
といった具合に。
事実今KRASHに起きている状況としては、クリスマスには仕事も入っているわけだし、何か特別なパーティーは開く事も不可能だった。だから、“偶には”リーダーの提案通り仕事の合間にも出来るプレゼント交換をし、オフィシャルサイトにでもTwitterにでも写真を載せれば、それが最も良かった。
「隼人がリーダーっぽくなったの見るの久々…。」
「新年になる前に、その姿を見れて良かったわ。」
「な、なんだよそれ!リーダーならいっつもいっつもやってるだろ!?」
あははは…、と爆笑の嵐。この日の楽屋内だけは、ヤケに騒がしかった。隼人のせいで。
こんな絶え間なく笑い声が聞こえてくる楽屋の外から、コンコン、とノックの音がした。
「すみませ~ん、準備お願いしま~す。」
間違いなくスタッフさんの声だ。リラックス状態からすぐに立ち上がるKRASH。
「は~い!!」
今日はこのダンスレッスンの後に、直行で別のスタジオに向かわなければならなかった。ここのビルには事務所もスタジオもあるが、ある局の歌番組に出演が決まっていた為、そちらへ移動をするという事だ。
このレッスンが終われば本番…というプレッシャーをかけているようなもの。人気アイドルはこの程度じゃあ緊張はしないと、本人たちは語るが。
「気合いを入れる為のエンジンをかけると思って、ね。」
「はーい!」
5人はそう返事をして、レッスンの部屋へ移動した。
今回出演が決まった歌番組は、年齢の事もあってか初出演だった。それでも14歳だから、まだ幼いともいえる。年齢による時間制限で、番組の最初辺りの時間に出るようになっている5人のほか、何十人もアーティストが出演する4時間の番組に出れる事自体が、5人には嬉しかった。
「クリスマス4時間スペシャルなんだってよ~!凄いわね!」
先生に合わせてステップを踏んでいく5人に、水無月陽花はにこにこして言った。教え子の活躍は、何があっても見逃さない主義の陽花は、もちろん今夜の(番組は生放送)活躍も予約録画を入れている。
「絶対見るからね~!!!」
「ありがとうございます!!!」
全員そろって、踊りながらお辞儀をした。
「ところで、何を歌ってくれるのかしら?」
若者に負けじと、陽花も軽快なリズムで足を動かす。
「ひ、秘密です~。」
桜がにこっと笑顔で答えた。
「えぇ~、ひっど~い。でも、KRASHのキラキラな舞台は楽しみにしてるわよ。」
「はい。楽しみにしておいて下さい。」
明莉もちょっぴり桜の真似をして、同じ笑顔でそう答えた。
彼らの売りは、本人たちも楽しそうに歌って踊る事。
この持ち味も陽花は知っていたので、「楽しみにしておくわ。」と言ったのだった。
陽花は気づいていないが、カセットから今まさにこれから歌うという新曲が流れ、それに合わせてキックやロックやトゥエルを繰り出すKRASHは、秘密でいる予定であったのに今にも言い出しそうになって笑いを堪えた。
「もうすぐだね!」
さて、レッスンもいつもより早く終わり、早め早めで動いてスタジオに向かおうとしているところ。
5人は出発する支度をし、ビルの1階に下りる前に、陽花に言われた。
「本番、慣れてるからって緊張感ゼロはダメよ!?」
「分かってますって!」
考輝ははは、と笑った。その通りだったからだ。
「それと…yamakoは今忙しくて居ないけど、きっと見て下さると思うから!」
陽花はあたふたして、そう5人に伝えた。
やまさんだってタイプ的には陽花にそっくりなのだから。
KRASHの出演を見ないわけがない。
「行ってきます!」
「行ってらっしゃい!!」
こうして5人は陽花に手を振られて、元気よくスタジオへ向かったのだった。分厚い服装で。
ここよりも都会にあるスタジオに行くのは当たり前のようにあるが、県外なので相当遠い場所だ。
なので今回はレッスンに行くのとは違って、マネージャーの人とも一緒に、また駅へ向かった。電車を乗りついで行ってもかなり時間がかかるためだ。
「今日って21日?いきなりプレゼントの話が決まったからさあ…。まだ何にも準備していないんだけど。」
明莉が雪が降る道を歩きながら言った。
そう、今日は21日。番組自体が元々金曜日にあるので、きちっとクリスマスあるいはイブに重ならない時もある。KRASHの場合、プレゼントを買っていない都合で、その方がありがたかったようだが。
「私もよ。でも今日仕事の前に選びに行く予定。」
桜は気分も浮かれて何やら楽しそうに言った。
「みんなも選びに行くでしょ?お店。東京の駅は大きいからね、なんでもあるよ。今日新幹線乗って、着いてもまだ時間が早いはず。だから、その間にお店に寄って行こうかなって。」
桜の完璧に時間を計算されたスケジュールに、だれも敵わない。
「クリスマス雑貨とか!大きな袋に入れてもらって!」
「ゲームコーナーも本屋もあるらしいぜ?」
「さっすが…。」
それにショッピングには大賛成。実家が東京の5人も、そういう場所には何度も行っているし、慣れていたからでもある。
そう考えると久々の東京には正月にならないと長くはいられないが、たちまちワクワクしてきたのだ。
「東京、いいね!!レッツ東京!」
「いえーい!」
あ~あ、またはしゃいでるよ…あんな事提案しなきゃ良かったかな。桜は呆れてくすっと笑った。
東京までもうすぐだ。
作中で不明な点については、今ここではっきりしておきます。
原作者さんと話した設定が不十分な事は、「KRASH!」内では多々あります。
今回解説しておくべき設定は、5人の実家についてです。ここは、今回がおそらく初めての登場かと思います。
5人の会話にしか出てこなかったりしますが、5人は今回の話の終盤で出たように、東京が実家です。
アイドルになり、その事務所がある場所の関係もあって5人は寮があるシャレンド学園に入学、親のもとを離れて寮生活をしています。
都内の方がもちろん仕事をするには良いですが、若いうちからアイドルをやっていく上で日本一の音楽学校で音楽を学び、生かす事を目的として入学した、という設定です。
本作品の1話~前半あたりで、“学校は都内にある”といった記述になっているかもしれませんが、改訂して上記に基づいた設定に変えていきます。
ごちゃごちゃした設定ですみませんでした。
ありがとうございました。




