あの日のプレゼントをもう1度
あけましておめでとうございます。
野を越え山を越え谷を越えクリスマスも越え元日まで越えてしまった神無月です。
クリスマスとか、お正月。これらの大事な行事に投稿出来なかった事、無断で休んでいた事は、本当にすみませんでした。
参加はしていましたよ。心だけ。
しかしながら作品によっては、2カ月間投稿を放置していたりもあります…。
これから、またちょくちょく書いて投稿していこうかと思いますので。
相変わらず投稿ペースが兎さんや亀さんだったりで差が激しいですけれども。これが神無月スタイルなので。今話題の(違う
そんなわけで…KRASH新年一発目でクリスマスかよ。許してやって下さい。
本年も私(ドン亀で光速兎の)神無月とその作品たちを、どうぞ宜しくお願い致します。
シャレンド学園も冬休みに入り、気分はすっかりクリスマスのムード。こんなにワクワクするクリスマスはない、生徒たちはスキップしたくなるような気持ちで過ごそうとしていた。
シャレンド学園の建つこの地域は、今の時期で既に零下になる事もある程、厳しい寒さを迎えていた。気温も低く、そして早いうちに雪が積もりはじめてしまうような場所である以上、これは仕方ない事なのだが。それでもすぐ衣替えをしなくてはいけなくて、生徒たちは冬服にマフラー、手袋、制服の中に何枚も重ね着、防寒の為のマスクという格好を当たり前のようにしていた。
同じ人間だし同じ学生だから、もちろんKRASHだってそれと同じ格好をしている。年中寮生活なので外出もないが、KRASHは別。彼らからしてみれば、年中外出、と言いたい事だろう。
極寒の寒さを、笑顔で乗りきる5人の姿は、みんなが真似をすべき姿…のはず。
「あ、あんた何その格好!?ダサッ!てか、アイドルがそんな情けない姿してどうすんのよ。」
「単純に、寒い。」
いつもの5人の、いつもの会話。
今日はもう冬休みなのだが、アイドルに休みなど与えられない。レッスンに行き、レコーディングに行くという日常は、相変わらずだった。
ただ、今日だけはまた別。今ここで何気なく5人近くに寄り添って温まりながら、学園専用の駅のホームで電車を待って、普段とは違う行き先へ到着していなければならないのは、全て特別。
「都会に住んでるなら、そりゃあ目立たないようにマスクでもフードでもいいかもしんないけど?私たちば目立ってなくちゃいけないんだから。そんなダサい格好しないでよ。」
またまた桜のお怒りがはじまった。その対象とみられる涼太は、寒さにぶるぶる震えて桜を睨んでいた。
「寒ぃ~。寒くて死にそう。」
「去年も死ななかったんだから大丈夫よ。それよりその分厚い体をどうにかしなさいよ。恥ずかしくて死にそうだわ。」
桜は涼太の着ている服を差してぶっと吹いた。確かにおかしかったかもしれない。涼太の服は見たところ普通に制服姿なのだが、妙にその服が厚い。ふたまわり程の差だが、あまりに服の中に着込みすぎて膨らんでしまっていた。
「だめ?これ。」
「うん。」
「暖かいよ?オレ、こう見えても着込むのは得意中の得…」
「あーもういいよもー分かったそれは。」
ウンザリし過ぎて、誰も涼太の話など聞いてはいなかった。
そしてそんな彼を慰めるように、タイミングよく電車がとまったのだった。
「冬休みも仕事が入ってますね…。」
ゆらゆらと電車に乗って、体を温める為にとペラペラ雑談ばかりしているうちにKRASHの事務所“雪音”のビルに着き、早速5人のもとへやって来たダンスレッスンや収録等の準備で強制的に楽屋へ入れられた。
ここの楽屋も5人が入るには丁度いいサイズの部屋なのだが、冬はそこまで暖かくないのだとか。
明莉はフムフム、とマイスケジュール帳をめくった。マメなO型(?)だと自分で語る明莉はこまめにスケジュールを確認する事を習慣づけるようにしたという事で。まあそれも、メンバーから
「適当だよいつも!」
と指摘を受けたからかもしれないが。
そんな明莉のスケジュール帳の、12月の終わりと1月の始まりの週の枠は、赤や青や緑のペンでぐるぐる囲まれ、尚且つ文字が読めない位に書き込まれていた。
このギッチギチなスケジュールをざっくり見通して、明莉はため息をついた。
「学生である以上、そして寮とはいえ一応地方在住である以上は、今しか輝くチャンスが無いって事よね…。」
「そりゃあーそうさー?」
呑気な涼太は楽屋の隅の方に座り、スマホの画面に向かう。
「だってさあーKRASHは不動の人気を保つの大変なんだぜ。今は若い人達のアイドルやバンドも出てるんだから。その中に埋もれるっていうか。」
「そーなったら、私達も新しいキャラを作らないとね。」
そう語るのは、分厚い3年分のスケジュール帳を片手にメモする桜番長。
「キャラ作ってたんかい!」
「てっきり、その鋭く怒鳴っちゃう性格は本物かと…。」
「…それは本物よ。悔しいけどー。」
桜はムスッとして顔を上げる。
「何、みんなオンとオフの違いは無いの?テレビの前でも普段も明莉は元気しちゃってるけどねえ。」
「な、文句は聞かない!てか、それは作るもんじゃないよ。」
「確かにな。明莉は週刊誌のゴシップも聞かないしな。ほら。」
涼太はスマホから検索したネット上の画面を2人に見せた。
「ほら、普通週刊誌だと適当な記事書かれて迷惑するけど、子供だからか明莉のスキャンダルは見つからないんだ。凄いよな。」
そうなのかね?それって、そんなに良いかなあ…まだ幼いみたいじゃん、あたしだけさ。」
「ほんっと、何の文句なのよ。羨ましいわよ。」
桜はただ、嫌だ嫌だと首を振る明莉を睨んだ。
寮で長い間生活していた生徒の場合は、普通なら冬休みというこの時期に自宅へ帰ることになっているが、彼らKRASHの場合は得意の“例外“という事で、東京まで帰るのはもう少し先という事になる。何で帰るのが遅いのかと言えば、今年は年末の仕事が入ってきたからである。要は今5人が話している内容が、すぐに帰れない理由なのである。
「あー、こっから遠い場所だなあ。この仕事先。」
隼人はと言うと、特に何かをするという訳でもなく、ただボヤッと話を聞いたりしていた。
「クリスマスもあるんだからね。大変よ、私達。」
「大変、だな。ハハ…今年は暇が無いな。」
「なあにー隼人?もしかして彼女さんとクリスマスデートでも?」
悩み続ける隼人を面白がるように、明莉がからかった。殺されると分かっていて。」
「ちっ、違えーよ!その、デートじゃなく。デートじゃなくて!」
「じゃあ、何。クリスマスを独りで過ごすのが嫌なだけ?まあ大丈夫、仕事してる以上は。」
「人の話最後まで聞けよ!んな事言ってねえだろ!…まあいいや。去年のクリスマスは、俺たちプレゼント交換みたいなのやったじゃん。」
「そうだっけ?」
密かに耳を傾けていた考輝が、目線はゲーム機の画面にありつつ聞いていた。
「もう覚えてねえのかお前ら!さっすがKRASHのリーダーだな、俺!」
あまりにメンバーの顔がきょとんとし過ぎているので、隼人は気まずくなりながらも過去についてこう語った。
「ほら~、去年もこんな感じで何か仕事があってー、それでその時に誰かが提案して何かを交換をしたハズ。」
沈黙。
「悪ぃ、その説明、ぜんっぜん分かんねえんだけど。」
沈黙。
隼人が耳にした考輝の全ての言葉に、間があるように聞こえた。
というか隼人には、何も聞こえなかった。
「マジで?」
「ああ。」
「でもさ、とにかく去年のこの時期に何かを交換してたっていうのは分かったから。」
渾身の説明をしていた隼人を全力フォローしようと、明莉が言う。
隼人はというと
「その提案をした人、多分明莉だったと思う…。」
と呟いた。
「ウソ!?あたし!?あたしだっけ?」
でもまあ、そんなKRASH非公式行事をやるとしたら間違いなく明莉だろう。4人は同時にそんな事を思っていた。
「でさあ。結局よ?隼人は何をしようと思ってるの?」
「…プレゼント交換的なこと。」
3度目の沈黙。
「え?何それ楽しそう。」
「いいね。去年の事はまーったく覚えてないんだが。」
少なくとも反対意見がゼロでよかった、隼人は安心した。
「珍しいね、隼人が企画したいなんて言って。」
「いやあ~、俺さっきあんなに“さすがリーダー”とか言っておきながら何もやって来なかったからな…。偶には。」
「偶にはかよ。」




