あかり相談ルーム
作品を作っている自覚がしたい神無月です。
これじゃあ、ただの妄想じゃないですか。
それではどうぞ。ちなみに、この回の投稿日は12/2です。予約で掲載されるように設定しました。別に何も変わりませんが。
うーん。
うーん。
うーん。
何故か考え事をしては何かに悩み、廊下をいったりきたりする明莉。
ああでもないこうでもないとただひたすらに頭を抱えて悩んでばかり。
実を言えば1年生の指導にあたって既に2日目だが、何かが今一うまくいってない気がしていた。それは生徒会メンバーのせいっていうわけでもなく、彼女自身の教え方とかでもなく。
「うーん。何だろう…?」
一般的にこれは暇を持て余していると言うし、そうにしか見えない。けれども明莉本人は懸命に、ただ懸命に“足りない何か”を思いつくまで考えているだけなのである。
誰もその怪しげな様子は気にも止めず、いつも通りの休み時間を過ごすだけ。どんなに目立つアイドルが悩みながら廊下をうろついていても。
「あーあ…男子のやんちゃ達は大分落ち着いてきたけど、女子がなあ…。なかなか直らない。」
ぶつくさ独り言を言いながら、明莉は考えた。
「さっき桜ちゃんと隼人は仲直りしてたっぽいけど…まだやらないといけない事がある。女子が学校生活に不満を持っているから、なかなか素直じゃないのかな。」
ここの1年生の素直じゃない事は、以前明莉が1年C組に行った時にもわかる。ただ、あのクラスの女子は特殊だったが。
「何か不安な気持ちがあるからかしらねえ…校則を守りたくないのはきっと、ストレスとか、そういう事よねえ…。」
そこまできて明莉ははっと思った。
思いついたらその後が人一倍早い明莉は、良い案がひらめいた。
「そうだ!女子に悩み事なんてよく有るコト。それが無くなれば、きっと不安が無くなるはず!!」
とっさに思いついたこの案は、すぐに行動に移す明莉には十分すぎる材料だった。アイデアを膨らませられる彼女の生まれながらの才能を活かして、いつだって仕事をしていたのだから。例えば、衣装のデザインの案を考える事や、楽曲の作詞をする事とか。
明莉は「ふふっ」とニヤリとしながら、早速計画に取りかかった。
「次なる活動は、これにしよう。」
校内全体が一番賑やかになるお昼の時間帯。今が最も生徒たちがゆっくり時間が取れる休みなので、みんなのびのびとその時間を過ごしていた。
お昼のランチの後には、カフェに来て女子同士集まっていたり、次の授業の予習に取り組み始めていたり、音楽室で楽器を弾いて吹いて過ごす人もいる。とにかく、シャレンド学園は色々な面で自由なのだ。
そんなお昼休みの時間に、珍しく1年生たちがぞろぞろ、校舎2階にある旧1年G組教室に入ってきていた。ここは元々G組というクラスがあった時に臨時で使われていた教室だったのだが、今は人数もF組までで収まりきるので、現在は使わなれなくなった多目的室になっている。もし、人数が増えたら階が違っていてもここの教室を使用する事になる。
そんな教室で何故か、1年生の女子がわくわく、何やらとても楽しそうに列を作りながら並んでいるのだった。
「あら。何よこれ。」
この異様な光景を偶々通りかかって目にした桜は、少し気になって立ち止まった。
「なあに、これ。」
とはいえ1年生が多く近づきにくい桜は、こっそり旧G組教室のドアを覗いた。
ドアには小さな手書きの看板がかかっていて、どうやら生徒たちはそれを見て入っているようだった。
「“あかり相談ルーム”…?」
桜は目を細めて看板の文字をそのまま読んだ。
(まったく、明莉も何て事をしてくれたのかしら…。)




