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KRASH!  作者: 神無月楓
ドイツもコイツもトラブル
70/88

俺は悪くない

早く映画館に行きたい神無月です。

とにかく映画館。あの暗さとあの画面の大きさと雰囲気がたまらなく好きです。

ラストが感動に・・・なりませんでした。いやいや、したかったんですよ。

桜さんのココロが揺らいだのがわからない、です。

ではどうぞ~。



生徒会として、あるまじき姿を1年生に晒すような事は、あってはならない。


決して。


「今朝やったやつがそんなに悪いっていうなら、もっと凄いのやってやろうぜ。」

「どうしてそんな考え方に至るんだ!?」

教室まで戻る廊下の途中、BBBの3人はそんな事を考えながら歩いていた。さっき生徒会長である最高の権利を持つ桜に叱られた少年たちは、何を思うのか。


何も思わない。


「さっき素直に謝っとけばよかったのに。」

「他人事のように…。」

隼人は未だに暴れたことを認めていなくて、プンプンすねている。

要するに今朝何があったのかといえば、1年生への生活指導なのに3人が見事な暴走ぶりを見せ、隼人は暴走し叫び過ぎてパタリと倒れてしまった。そして戻ってくると、桜が3人の騒ぎを聞きつけておつむが噴火したと、そういう話の流れだった。叫び声が桜の耳にも十分入っていた。

「ともかくこれ以上暴れようたって無理。さっきのお説教聞いただろ?」

涼太は桜会長の説教に脅されたのか、もう大分反省して二度としないとまで言うが、隼人にそんな様子は無い。それどころか、一番叫んだ癖に覚えていないというから腹が立つ。

「聞いてねえや。」

おいおい。他の2人は手に負えないと思ってそこにはつっこまなかった。誰なら手に負えるかというと杏野桜ただ1人。

「別によくね?」

もうそれしか言い訳しなくなった隼人は、イライラしていた気持ちを抑えながら、こうぼそぼそ言った。

「…反省した方がいいの?」

「まあそうでしょうねえ…。」

心配なんてしない、涼太はそう言った。

本当は隼人自身、自分があんなに暴れていたという事の記憶がないのでは・・・。そうも思っていた。

さらに歩き続けながら隼人は言った。

「反省ってどうやるんだ?」

「反省する気もないだろ!!」

のんきなのは生まれつきなのか、ただ強がっているだけなのか。そんな事を言って隼人は余裕さを見せた。

「桜に謝って、これからはもっとちゃんと教えに行く、これが最善だろ。」

一番まともな考えを示して、考輝はバカなフリをする隼人に言った。それが聞こえていたかは別として。

隼人は答えた。

「わかった。俺1人でいってくる。」

そのとき、朝の時間が終わるチャイムが鳴った。



「ねえ、桜ちゃん。ちょっと言いすぎじゃない?」

「そうは言っても・・・もう選挙もあるのよ?生徒会(ここ)が楽なものだと1年生が生半可な気持ちで来たらどうするのよ。」

休み時間になり、明莉は男子3人の騒ぎに気づいてから、それを叱っていた桜のもとへ来た。怒鳴り声が聞こえていたのだろう、明莉は桜の厳しすぎさに驚いてしまったのである。

「そうはいっても、まだ誰も受付に来てないんでしょう?」

「そう・・・だけど。」

桜は座ったままうつむいた。

「じゃあ。」

急に自身をなくした桜の肩に、明莉はポンと手をおいた。

「アピールが足りないんだよ。生徒会が厳格すぎて。」

「え?」と顔を上げる桜。

「だってぇ。今の生徒会、前よりも規律規律、校則、上品、誠実。ここのどこに明るいものが入ってるのよ。」

明莉が聞いても、返事は返って来なかった。

「ここは音楽学校。明るくて当然。まだあたしたち、シャレンド学園に入って2年よ。怖い先輩だらけだと、反抗したくなるんだよ。その気持ち、1歳年上のあたし達ならわかるでしょ?」

「・・・そっか。」

「そ。だから・・・確かに校則とか、きまりも大事だけど。男子3人(あいつら)のやってたこと、いいんじゃないの。」

あはは、と笑顔で明莉が言うと、桜は無言で頷いた。

「それにね、3人が来たっていうクラスの子に聞いたらね。あの先輩ふざけすぎてて面白いってさ。言ってたの。」

「そうなの!?」

桜は目を丸くすると、明莉はウインクした。

「だから、案外好評だったみたい。あたしも不思議だった。」

「そうね、3人には、マジメなんて、出来ないわね!」

チャイムがなる2分前になってから、明莉はその事を話終えて急いで教室に戻った。

考輝、涼太、そして隼人のハチャメチャ指導が好評だった話を聞いて、桜自身は何かが自分の中で変わったような気がした。


「ごめん、あんたたち。」



「謝りに行けたのか?」

「ああ、うん。それが、行ったら桜に“次のクラスにも劇見せてあげてね”って・・・。」

「劇?あれは俺らの自然体なのに。」

「ま、そう見えなくもないな。次は、抑えめな。“B”を。」

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