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KRASH!  作者: 神無月楓
ドイツもコイツもトラブル
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BBBが教えるBBB卒業の仕方 

自分の中にあるバカを抑えたいところです神無月です。

Bがトリプルで揃ってしまうとBBB。じゃあ、それ以上が揃うと?阻止しなければいけません。

バカさをなるべく最小限に書いたらバ カ さ 控 え め に な っ て い た。今気付いたけどもう遅いかな、ではどうぞ。


明莉が朝から1年C組の指導にあたって苦労していたその次の日の朝の話。


世間では天才アイドル5人組とまで呼ばれ活動し、学校とも両立出来るほどの頑張りを見せ、生徒会でも活躍しているKRASH。

こんな素晴らしきアイドルなんて存在するのか、そんな注目を浴びる5人の中に、ある派生ユニットがある。

時に爽やかでクール、時におふざけ、時に子供たちの本音を歌い上げる伝説のグループ。

その名も、“BBB”。

正式名称なんてどうでもいい、そんなの…バカとかbadとかその辺りだ。そんな人気派生ユニットのメンバー3人は、今日。

ー‥そのBBBを見せつけようとしている…


「おメエエエエるぁよく聞け!!」

朝からまるで爆音のような叫び声をあげるはしたない2年生男子たち。

「いいい、いいか?この学校で常識を守て生きれねえんならなあああ!」

純粋な心の1年生がしっかり話を聞いている教室にて。

「死んだ方がましだあああああああ!!!」

2年生男子3名、目の前の教卓を壊そうとする勢いで、誰に向かってか叫んでいる。1年生から見て彼らは先輩ではなく、“5歳児”。

沈黙。ここのクラスの生徒はただただ3人を見つめるだけだった。

「…あれ?」

5歳児は何を言っても5歳児。そうとも知らずに隼人は大きく息を吸う。

「シャレンド学園は常識ナシで生きてく場所じゃねええええええんだよおおおおおおお!!」

再び悪夢の沈黙が続く。誰一人反応を示す生徒はいなかった。

「だ、大丈夫か?隼人。」

息切れでゴホッゴホッと咳き込む隼人の背中を、考輝がさすった。

「なんだこいつら」

という目で、1年生たちが睨むように見つめていたので、いち早く気付いた涼太が、

「…というわけなんです。」

と言ってごまかした。

(オイ。叫びすぎだ。単純に。)

笑い疲れたのか何なのか、隼人が“らりった”ようにヘラヘラして足の力を抜いた。

(オイ。お前これじゃとてもじゃねえけど良い先輩でも何でもねえよ。)

(だって俺!BBBだもん!トーリープールービー!!)

という会話を、口で言わずにアイコンタクトだけで行うその凄さ。もちろん1年生は首を傾げて待っている。

(朝なんだよ。お前は夜かもしんねえけど。昼でも何でもいい。今1年の前では慎むという常識忘れんな。)

涼太がそう言うと(目でですが、目で)酔ったようにヘラヘラしていた隼人が突然シャキッと立ち上がり、そして針金のようにピンと気をつけの姿勢になった。

「へ、へいっ!!要するに、今から俺達3人が、シャレンドでの生活をイチから教えるっていう…わけ。」

それだけ言うと、またパタリと空気が頭から抜け、隼人は無気力男に戻った。

お前らに一体何を学ぶんだ、1年生の目は段々軽蔑へと変わったのが3人にもわかる。

「ひとーつっ!」隼人の事を無かった事にしようとして考輝が必死のフォロー。

「ひとつ、バカするな。」

あまりにも漠然とした注意を言い出したので、またも涼太が補足せざるを得なかった。

「バカっていうのは~2種類?いや5種類かなあ?まあ何種類も分けられる。そん中の種類でも特に違うのは。本気で頭が良くないバカとふざけてちょっとやらかすバカ。前者はまだ直しようがあるし、寧ろ良くなる傾向も稀にある。ただ後者の方は絶対にキャラクターが出来上がって手遅れ野郎になる。」

そう説明してもなあ、きっと誰も理解しないな。涼太はそう思った。あの説明に挙げたバカは、BBBを指すだろう。

ただBBBのようにはなるなとそんな話をしたかっただけなのに、いつの間に涼太はバカについての解説を早口でし始めた。

「ふざけて起きるバカは学園には不必要と云うことになる。またそんなくだらない事で注意を受けると結果として退学処分。それでも廊下でプロレスやってたいか?仲間同士で何を叫ぶんだ?嫌なら今すぐその行動を慎むだけ。」

さっすが、と考輝は目を輝かせ涼太を希望溢れる目で見た。恐らく涼太ー‥今バカの説明をしてくれた先輩は、バカになりきれていないのかもしれない。

悪い意味でなく、そういう性格なのだと。

「じゃあ、もしそのプロレスごっこだのいちゃつきごっこだの見つけたら、見つけ次第生徒会から注意及び警告をさせていただきますので。」

考輝は正気じゃない不気味な笑いを浮かべた。狂っているのは何時もの事だから、涼太も呆れているが。

「じゃあ次。ひとつ、暴れないこと!」

いやいや、先程まで隼人が暴れていた叫びまくっていた事実を隠せない2人は、言いにくかった。そしてまだ“暴れた奴”はあれ以来立ち直らない。

「校内に“不良”なんて要らねえ。要るのは、“良”!自らバット持ってきて窓割って何がしたいんだっていう。髪の毛染められんのは、仕事してる奴だけな!」

教卓を思いっきりドンと叩いて、それは乱暴な教師のように考輝は言った。

「…ちなみにオレらはしてない。」

小声で涼太が言った。

これがみんなに伝わってるかなんて気にせず、2人は話し続けた。

「暴力は、見てても楽しくない。やってても楽しくない。いつどこで出来たエンターテイメントなんだ。それが“俺は強いアピール”なんだと言い張る奴は、野生の世界へ行って来い。」

「暴走は悪い意味でなければ許される、かも?」

小声で涼太が言った。誰にも聞こえないよに。

ごほん、と咳払いをして考輝が言った。

「最後に。如何なる時も仲間を大切にしろ。どんなクズでも、年上は年上なんだ。先輩は絶対敬え。将来きっとそれは役立つはずだ。」

1年生、少しだけピクリと眉を上げる。それ以外の心の変化は見られなかったというのが残念すぎるところ。

そんな反応も見ずに最後をしめる考輝は、完全に黙ってしまった1年生たちにこう告げた。

「いいか。校則を破ったら…お前らにBBB食らわせてやっからな!以上!」

バタン、乱雑に教室のドアを閉める音が最後の最後に響いた。

涼太は隼人を引きずり、考輝はそれを面白可笑しく笑って。

「んだよ。笑うんじゃねえよ。」

「あーはいはい。」

ヘラヘラ気力の抜けた隼人がうつったのか、考輝まで同じように酔いはじめているのを見て、涼太は気持ちが悪かった。

「変態だぞ考輝。今日1年に注意したことって全部BBBの一部じゃねえか。」

「そう…だな。


結果として、俺たちがいつもやってることそのものが、よくないって事だよな。」


「それを言ったらこの隼人みてえにどうにもなくなるぞ。BBBはバカを極めていくんだから。それを真似されてはいけないからこうやって後輩に教えてくんだろ。」

涼太ははぁ、とため息をつき、今日も明日もバカまっしぐらだ、と隼人の腕を掴んで引きずった。


「BBB食らわすって何だ?」

「バカと暴走という塊をぶつけてやろうかなと。」

「それオレたちがだめだって注意したことじゃん。」

このご指導の続きが書きたい。

このご指導を受けに行きたい。

このご指導何時間も聞きたい。


では、次回もよろしくお願いします。


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