1年生たちへ教えるべきこと
ここ最近で精神が安定してきています神無月です。
章の名前を改変してみました。なんとなく、という言い訳でよろしいでしょうか。
まあ、こんなかんじでまた今月も流れていきますので。グダグダと。
いつになってもグダグダ感は保ち続けていますが目をつぶって下さい。
では、どうぞ。
「今日から生徒会役員立候補の受け付けを開始します。条件は中学1年生の生徒、男子と女子合わせて最大5人までとします。候補が少ない場合には、最大3人になります。任期は今年度1月から来年度いっぱいまでになります。」
翌日、会議で話し合った予定通り、この朝礼にて全校に知らせる事となった。
朝礼には中1から中3までが集まって、5人が舞台で話しているのを真剣に聞いている。
「来年度からは殆ど、今回の選挙で決めた新役員の人が主に活動を行う事になります。そして、選挙で決めた時に次期会長も定まると思って下さい。」
マイクごしに聞く桜の声は、ステージで歌っている姿と何も変わらないが、昨日の適当な人とは大違いだ。
「立候補者は、今日から一週間で受付、その翌週から選挙活動が始まります。選挙は1月、冬休み明けに行い、その翌日発表です。」
おおーっ、と声があがる。
「私達現生徒会も、一生懸命活動をしていますので、その意志をしつかり受け継げる人にお願いしたいと思います。学校をより良く出来る生徒会になる、という意気込みで受付に来て下さい。」
もちろん期待なんかとても出来ない、桜は頭にそれを浮かべておきながら、笑顔ですらすらと話した。
一方、他の4人はどこにいるかと言えば、もう桜会長の隣で作り笑いを浮かべて立っているだけ。なんせ昨日…
「明日のお知らせやりたい人!」
「お前やるだろ普通。」
誰1人としてやりたがらなかった。話す事をメモする紙すら無くともあんなに自信満々に、しかも余裕かまして喋れるのは彼女しかいない。
「桜はどういう才能持ってんだよ。」
「まあ、それだから会長なんだろ。」
隼人と考輝がヒソヒソしている間にも、会長は延々と説明をする。
対して、“生徒の反応を伺う係”になった明莉は、ステージから全てを見渡しながら中1の方を見ていた。
(こんな地味な仕事、作ればいくらでもあるんだねえ…)
何でそんな係を桜から直々にやらされているのかといえば、もちろん1年生の集中力をしっかり鍛える為でもあり、このままじゃ後継ぎが本当にいなくならないように、でもある。
(聞いてないだろ…あの列。)
にこやかに全校生徒を見渡しつつ明莉がマークしたのは、ステージ側から見て手前左の方に並んでいる、1年C組だった。C組は、あのKRASHが所属する事務所の後輩にあたる、寺川渚や小嶋未希がいるクラス。もっとクラス全体の説明をするとすれば、“同学年の他のクラスよりも幼い”という事だろうか。
(前らへん前らへん!あの辺りがなんだか騒がしい!聞いてよちゃんと!)
C組の説明を更にするとしたら、今ちょうど明莉が内心いらついているように、生活指導される回数が最も多く、文句なしのランキング1位(これを良いといってはいけない)。生徒会も目を光らせていた。でもやっぱり、意味はなかった。
C組の手前側に立って聞いている男子はよそ見だけてなく、後ろを向いて他の人と喋ってばかり。おまけに隣のクラスの人にちょっかいを出したり。集中力といものはないのか。
女子に関しては身だしなみから直してこいよと。スカートは何でか知らないが丈が短くなっていて(女子の制服はワンピーススタイルだから、どうやって短くするのか)、ゴムの色もピンク色とか黄緑色という明らかに目立つような色。これじゃあ先輩に目をつけられるに決まっている、明莉は呆れて1年生を監視した。
(なんだ?校則守る気ないよねあの人たち。)
「では、これで生徒会からのお知らせを終わります。」
気をつけ、礼、といい先生の声がかかると、生徒全員が礼をしたので、ようやく明莉も楽になって壇上からおりる事が出来た。
(これはマズい。シャレンドの気品ある伝統が無くなったら困る!)
選挙の件も気にしていながら、明莉はあの1年生の事も一大事だと思っていた。
その日の放課後。
「ふう~、今日の仕事も終わりだぜ。」
何もやってない癖に、隼人は脱力気味に言った。生徒会室ではお決まりのこのワンシーン。
椅子に座って呑気にしている隼人に、桜は
「あんたは何もやってないでしょ・・・。」
と言ってやった。
今日の現状からして、生徒会が知らせた通り受付に来た生徒は、まだ一人もだったらしく、誰かが来るような気配もしない。
「やっぱり、無理だったのかもね。次期生徒会なんてね。」
桜ははあ、とため息をついて椅子に腰かけた。4人もあきらめたというか、任せきれないような気がして逆に不安だった。
そんなどんよりした空気が部屋に溢れる中で、明莉はこう言った。
「まだ1日目だよ?すぐに人が来るわけないじゃん。」
その言葉は希望だった。でも、逆効果だったようだ。
「じゃあ・・・もし決まったところで、そいつら後輩に仕事やらせられるか?」
涼太が言うことも、明莉にとってはまさに本音、心の中を覗かれたのかと思うほど。確かに、今朝行われた朝礼での態度も、シャレンドを背負っていけるような態度ではないと。
それに、明莉はあまり思いだしたくなかった。今朝C組を見て腹立たしくなったことを。
「そう・・・だけど・・・。」
「だろ?思いだしてみ?あの最悪な学年を。」
もういいです、明莉は心の中で言った。
気まずい空気。
時計の貼りは刻一刻と予定時刻に迫る。だんだんと会議は延びる。
「どうするんだ?あの1年。」
「あたし、決めたの。1年を正そうって!」
明莉が思いきったのは、考輝がしばらくして言いだしてから。
「・・・え?」
「だから、1年生の現状さえ治って、気品あるシャレンド生になるには、あたしたちが先輩として教えてあげるべきなの。はっきり言うと、今の先輩もあたしたちも、甘い。」
おおーっ、と4人は声をあげた。
「その案。もらい。」
「いいとおもうわ!確かにそうよね、私たち後輩に何にも教えてあげてないもんね。」
たちまち空気がガラリと変わり、明莉の言った案が徐々に決まっていった。
「では、1年生を正す、ということでいいかしら。」
桜が自信たっぷりにまとめると、
「賛成です!」
という声が返ってきた。
「じゃあ、これで11月は活動するわよ。みんな、12月になれば冬休みだからね!頑張るよ!」
「うん!」
「もちろん。」
生徒会は、学校の為、そして先輩として動き出した。
次回は直接、教室へ行ってくれるはずでしょう。
うちのアイドル明莉さんが!




