誰にも任せられない
ただいま、神無月です。
キリのいいところで話がストップしていたので、また新しい話題を吹き込むことにしました。
昨日帰ったばかりなのにもう投稿するのか、何だか適当な感じがしますけど、いつもこうなので宜しくお願いします。
「あー、ハロウィンも終わった終わった。」
最早KRASH5人にとって定番の居場所となった生徒会室。
それは単にシャレンド学園の生徒会だからではなく、これ以上何か校内で騒がれる事になる前の対策として居るだけである。
とはいえ日々この広く豪華な部屋に居るKRASHを一目見ようとする人も少なくはないが。
部屋にある大きめの机には書類の束。それには各委員会の情報や報告、更に学校内の生徒の様子。学校行事のスケジュールなんてものまで、それはずらりとコピー用紙の束が並ぶ。
5人はこんな紙の前に座って、騒ぎを気にしながら過ごす。
「今度のCDの案も出さなきゃいけないし。」
「そろそろ一般学級で勉強と仕事の両立も難しくなってきたし…。」
憂鬱そうにプリント類を見つめる明莉と考輝。普通の人でも、放課後の居残りが少しでもあると、嫌になるものだ。
「どうすんの?」
「何が?」
隣で涼しげな顔をしてお茶を飲んでいるのは、涼しいのではなく寒がりな生徒会長の桜。
「会長!聞いてる?」
「何ここでは、私の呼び名は会長なワケね。」
「もう、今更のように言って…。」
この人に言っても今は聞いてくれやしない。忙しい中明莉は桜の態度にきれた。
「桜。とぼけんなよお前が仕切るもんだからなこれはいいか?」
そんな様子にイライラしてきたのか、座って半分睡眠中だった涼太が言った。
「ごめん…。で?なに?その話。身に覚えがないよ。」
桜はお茶をすすった。
「だから!例の次期生徒会のことだよ。次期生徒会。」
その部分だけを強調して言うと、涼太はやっと目が覚めた。
「そ、それか!」
「今頃かよ!?」
「今日は、それで集まってんだろ。」
考輝が冷静になって話に入った。
「ったく心配だぜ。俺たちの1コ下、
全然頼りねえよ。そん中で選ぶって結構なあ…。」
考輝が悩むのももっともだった。
5人のいる中学2年は問題も改善され、クラス規模の事でもクラス内で解決出来るようになっていた。一方、1つ下の中学1年はとにかく荒れた学級が多く、生活指導の回数も多い。でも、これはここ最近の事で、前期までは普通だったという。
「1年生はみんな、来年先輩になるんだってうかれ気味なんじゃないの?」
「早いな気持ちが。」
それで、今生徒会がやるべきなのは、来年度の生徒会役員を選挙で決めるという仕事であった。もちろん、選ぶのは生徒全員。シャレンド学園のきまりとして、今2年生と1年生で生徒会を運営し、来年度の途中で今2年生の5人が抜けて今1年生の人が残る、というシステムになる。3年生になると他の委員会も途中で引退となる。
何しろシャレンドは、3年生の成績で高等部の音楽クラス分けをするので、勉強が大変になって学校の委員や部活をやる時間が限られていくからだ。
音楽クラスというシャレンド特有の単位があるのだが、この説明はまた後に。
桜たち5人にだって、実は4月から2ヶ月くらい3年生が居たのだが、その後は忙しくなり頼れる5人に任せっきりだったという。そのため、殆ど5人でしか活動を出来なかった。
今は2年生が5人いるので、1年生も5人以上は選出が出来ないきまり。でも、このままでは5人以下でも選べない可能性がある、というのが大きな問題点。そんな大事な事を忘れていたという桜は、顔を真っ赤にして、
「い、いいからじゃあ計画しなさいよ!」
と言った。
「ど、どういう生徒会長だよ…。」
いまから行うべき事は、現1年生の中から役員候補を決め、正式に役員を決定するという行事について。
「候補っぽい子なんている?」
「2年生になら山ほど谷ほどいるのにね。」
明莉が本を読みながら言った。
「谷ほどって何…。」
「とにかく!1年生に来年から生徒会をやってもらって!私達は元生徒会としてトップの更に上に立てるんだから!」
バンッと桜が机を叩いた。
「桜の目的って、そっちなんでしょ。」
そっち…というのは、生徒会役員の生徒だけは、生活する寮の部屋が違うという“超凄い”特典だ。
シャレンド学園生にとっては、学園のトップである生徒会は雲の上。そんな生徒会が使う寮は、女子寮と男子寮それぞれの中心に設けられていて、普通の部屋より少し広く、作りがより豪華になっている。この地位は通称“melody”と呼ばれている。元生徒会も特別な部屋があり、こちらは“sunmelody”と呼ばれている。
生徒会になりたいと立候補する人は、勿論この特別な部屋で暮らしたくて立候補したりもする。
「ちゃっかりプリンセスだね桜は。」
「そーゆーのは仕事の時だけにしろよ?桜。一応今はまだ会長の任期だぞ。」
考輝は自分が寝てはマズいと、必死に目をかいた。理由?ここにツッコミ不在はあまりに危険だからだ。
「明日にでも役員選挙の事を知らせなきゃいけねーんだよな。」
話をほぼ流して聞いている隼人は、ヌボーっとしながら言った。
「明日から役員選挙をするって事でいい?」
「うん。」「オッケー。」
桜の問いに、4人は返事をした。
役員が誰になるのか、先が思いやられるが。
次回も宜しくお願いします。生徒会役員、早く決めます…。




