お菓子をくれなきゃイタズラだ!
題名の通り、家々からお菓子を貰いにいく気持ちで可愛い時代を過ごしました神無月です。
今更ですがやってみたかったです。
では、スランプですがどうぞ…後書き省略しています。
※今回は修正を入れるかもしれません。しかし、私はこの後お休み致します。
10月31日。
この日は、生徒会が正式に予定をしていた行事が行われる正式な日にちである。
いつかの隼人の誕生日みたく、校舎からはやたら長くデカい垂れ幕も下がり、ジャックオランタンが不気味に笑っていながらあちこちに吊り下げられている。コウモリや魔女の装飾だったりも、廊下にシールが貼られたりして、シャレンド学園はハロウィンムードに染まっていた。
これの準備も、行ったのは生徒会5人…KRASHさんと、実行委員になった各学年の生徒たち。8号館とあるこの広い音楽学校を、一体どうやってオレンジと黒の世界に染め上げたというのか。大きな文字の装飾で、校舎に“ハロウィンダンスパーティー 舞踏館”と描いて付けられているのが目立つ。
そしてもっと目立つのは、あちこちに見られるポスターや校舎の装飾に、“隼人様と一緒に仮装して楽しもう!”という宣伝。アンド隼人のオオカミ男仮装の写真付き。
「なんだ。これ。」
生徒会には不評どころか止められたというのに、どうやら女子生徒にウケるらしく、キャーキャーあちこちのポスター前で騒ぎ出した。
「ああー。また、隼人の人気高い。いや、あのポスター意外に人気だぞ?」
「目に見えた結果だな。」
当日も忙しいというのに、隼人は自らつくった一大イベントの為に他の館へ移動してしまい、4人での活動になった。いずれ戻ってくるだろうと、諦めていたが。
「仮装してる子も多いわね~。」
そう言って中庭の噴水前で地図を見る桜は、黒い尖り帽子に黒いマントの、魔女の格好をしていた。付け毛で茶髪の前髪も。
その横で明莉は、ピンク色の頭巾をかぶり、フリフリのレースが飾りのピンク色のドレスで、本人曰わく“透明人間”を演じようとしていた。
「随分目立った透明人間だな。」
「何、ポルターガイスト的な?」
「トーメー人間です!」
明莉は顔を真っ赤にした。
そうからかってる側の考輝は、緑と白のボーダー柄を着て、頭に大きなネジが付いたフランケンシュタイン(正式にはフランケンの作った怪物)の仮装をして、ニヤニヤしている。
涼太の仮装は、簡単に言えば吸血鬼の格好というのだが、黒い帽子に内側が赤い黒マント、紳士のような洒落た格好は何故か彼にお似合いだった。
「涼、何かウケる。」
「お前こそネジ取れてやんの。」
「はっ…?てか、お前も明莉も桜も似合い過ぎて怖いぞ。もしやまさんが居たら即衣装決定、ってとこだな。…どうせ衣装なんだろうけどー。」
「これ、衣装だったのか?通りで随分デザインが凝ってるなと思ってたんだ。しかもこの服持ってきた明莉が金回収しなかったし。」
5人が着ているこの仮装は、実はあの明莉が作詞した楽曲“魔界ダンス”の衣装だったのだ。この曲は以前コンサートでも歌ったりした事があるし、ファンの中では有名になっている。作詞した明莉自らがデザインをして作ってもらった特別な衣装だから、非売品。どんなにコスプレをしてたって、本物はこの5着しかない。
「そうよね、見た事あるし着た覚えもある。だから、明莉が“服は買わなくてもいい”って言ったのね。」
桜はマントをひらひらさせた。
「あははっ、そうそう。ごっめん今まで秘密にしてて~。ところで~隼人は?」
「あの人また派手にやってるじゃない。」
あの垂れ幕を見れば誰だってあの誕生日を思い出してしまうだろう。隼人のアップ付きの垂れ幕なんか。
「女子がお菓子あげに行ってたよ。」
「わお。」
4人は4人で大盛り上がりだった。
今日1日の女子の会話は、こんなかんじで流れていく。
「校内に怖いゾーンがあるの知ってる?」
「何それ。」
「ハリウッドとか呼んで校内の一部分だけ怪物役の人を置く、みたいな。」
「いや、今日ハロウィンだから学園祭並みじゃない?ここはハロウィンも行事だけあって。でね、誰かお金持ちの人が、すんごい有名な劇団を招いて、ミュージカルをやってもらったりするらしいよ。」
「あとね、舞踏館でハロウィンダンスパーティーやってたりするよ。」
というふうに。
そしてKRASH(4人だが)が今日の活動の一環として、校内を練り歩く時には、
「キャーッ!!生徒会の皆様!!」
「KRASHだーっ!!」
と、すぐに道を塞いでまで周りに寄ってくる。
隼人ファンが隼人の居場所(生徒会室にいる)を知っているのは…当然彼本人の宣伝効果のおかげだった。
「あかり~ん!」
明莉と同じC組の友達も来て、
「その服可愛い!似合うね!!」
と褒めてくれるのが嬉しかった。だって私がデザインをしたものだもん!
「似合うね!そして、今流れてるのってKRASHでしょ?」
「そうだよ~ん。」
お菓子をくれる子もいれば、逆に
「トリック・オア・トリート!!」
とお菓子を貰う子もいて、とても盛大に賑わった。
4人もカボチャのかごに入ったお菓子を手に提げて、配って盛り上げた。
「トリックオアトリートーッ!」
「はい、どうぞ!」
「そいえば桜~。校内にゾンビいっぱいいるけど。」
考輝がニヤニヤしながら辺りを見回した。噂されていた危険ゾーンの存在を、メンバーは知らなかったのだ。あのゾーンのショウタイを。
「子供じゃないしね、この人達。」
「まじだ。大人。しかもメイクも演技も…。」
昼間に30人くらいで歩き回る(というよりふらつく)ゾンビの姿はまさにプロ。
「ああ、あれ私のお父さんがハリウッド呼んでくれたの。」
「ええ~っ!?」
ハロウィンパーティーは、カボチャの笑いと共に賑わった。




