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KRASH!  作者: 神無月楓
ドイツもコイツもトラブル
63/88

楽しい歌をプレゼントに

11月が来ると共に私は逃げたいです、神無月です。これが後の“現実逃避”ってやつです。ええ。

大分遅れましたが…誕生日から。11月上旬から私はお休み致します。なので、次の回まで書いたら(予定ですが)…

お休みなさい。


「KRASH、次だって!」

「はーい!」

レコーディングの時間が回ってきて、5人は部屋から出てスタジオに入った。

「宜しくお願いします。」

「さっさと録ってしまうからね。」

「はい!」

いつもそこまでレコーディングでつっかかる事は少ないから、KRASHは分かっていたようだが、何しろ今日の曲数は多いので、パーティーの事を考えても早く終わらせなければならなかった。


「あの、すみません。」

収録が終わって気持ちが楽になってきたところで、部屋を出ようとするスタッフを明莉が引き止めた。

「もし良ければ、これから多目的室貸して頂けませんか?」

「大体何時頃に使いますか?」

「ええっと…昼過ぎです!」

「あ、はい。大丈夫です。時間は午後4時までで…。」

「はい。ありがとうございます。」

スタッフさんがメモを取り、ポケットからはガチャガチャと鍵らしき物を出した。

「では、多目的室の鍵です。午後4時になったら、スタジオの入り口で返して下さい。」

「わかりました~。」

明莉は鍵を受け取ると、嬉しそうな顔になって言った。

「みんな!お部屋使えるって!じゃあ係分担ね!」

「ほんとか。」

退室の準備をしていたメンバーが、振り向きだした。

「係?俺じゃあマイクとか、デッキとか持ってくるわ。」

「それはその部屋にあるはずよ。」

既に考えがありそうな桜が応えた。

「隼人はセッティングをしたら?明莉は部屋の鍵の事で。私は装飾をするから。あと2人は渚達を呼んできてね。突然で驚かれるだろうけど。」

「あと2人って言うな。」

考輝と涼太が口を揃えた。

「それに、飾りなんてあんのか?」

「すぐに出せるから。こうなると思って、持ってきたんだよ。装飾品は。」

そう笑顔を作って、桜は大きめの紙袋を持ち出した。

「本当にどこにあったのよ…そんなの…。」

「私は何でも持ち出し可能ですから!それでは、みんな係の仕事開始、ね!」

「おう!」

「何か大丈夫なのか?」

この合図で、5人はそれぞれ動き出した。こうなる事も、祝われるyamakoは予想していたが、口出しせず、黙っておいた。自分の為にも、彼らの為にも。



「え?やまさん社長さんのバースデーパーティー?」

「誕生日会だっての。そんで、今日ここでやるんだけど、もし良ければ歌ってくんねえかなって。」

考輝から話を聞いた渚は、話を聞いた途端、その話に食いつき、話を理解してくれた。

「行きまつ!行きます!行かせて下さい是非とも!お祝い、したいです!」

渚は即答で、しかも目を輝かせて参加すると頷いた。

「わ、涼太、顔赤っ!」

「赤くねえよ。」

渚が目の前にいるシチュエーションで戸惑っているな、渚の彼氏。

しかし、渚の隣でじろじろと睨んでいるもう1人の方は説得させるのが大変だった。いいや、パーティーへ行きたくないと言ったわけではなく。

「ふーん。やまさんをお祝いするのは良いんだ。だけど、それならあたしが主催でパーティーをやりたいんですけど。」

「いやパーティーは2つも要らないでしょ。」

涼太が困って言ったのにも関わらず、彼女はプイッと頬を膨らませた。

「でも、あたしは1人で…」

「やまさんに喜んで貰えればまた、もっと良く評価を貰えるかもしれないぜ?」

「そう…そうね。」

もう1人いる後輩、未希はそう頷いた。

「実力があたしよりKRASHが下という事にして貰えれば参加するわ。どーせどーせどーせ、KRASHが目立っちゃうじゃん。」

「そうですね。ではそうしますかMIKIさん。MIKIさんとしては出演してくれないんですか。」

「出て欲しいなら、KRASH以上に派手にやりますけど。」

「本当はやまさんにお祝いしてえクセに…。」

「はいはい。わーかーりーまーしーたー。派手にやってかっこつけて魅せますからね!」

こうして、未希を誘う事にも無事成功した。難なくいくのが目標だったのだが、達成は難しそうだ。


未希は特に。


「おーい、こっちはもうスタンバイOKだぞ!」「ほんとに!?早いねえ隼人。何だかんだ、あんたってやる事早いよね。」

部屋を入手し、デッキやマイク、スピーカーのセッティングが無事完了した隼人は、ドヤ顔でキメポーズをしてみせた。

「バッチリだぜ!」

「え~っと、あとは。考輝たちが呼びに行ってくれてるっていう子たちね。」

ちょうど、明莉が部屋に来てみたところで、別の入り口から2人が入ってきた。

「誘ってきたぞ。2人もやってくれるってさ。」

「ホント~!サンキュー考輝、涼太。それに、2人も参加してくれて、ありがとね。」

「いえいえ、あたしの意志なんで。」

真っ先に未希が答えたと同時に、「さっきと違えじゃん!」と考輝が睨んだ。彼女の作り笑いに。

明莉はそれを気にせず、「おっけー。」と返事をしてしまったのがびっくりだ。

「あとは何、やまさんをお連れするのみ?てか、みんなこの後スケジュールある?」

「ないです。」

答えたのは後輩だけだった。

「じゃあ、ここにやまさん呼ぶね。あ、そう言えば、歌う曲何にするの?」

「まずこの2人も知ってる曲な。」

涼太の意見で全員が確実に歌える曲を探した。あと、隼人が用意できているCDの中で。

「うん、あるとしたらねえ…。」

と桜がデッキの上に乗っかっているCDを漁っては探す。

「あれかな、“HAPPY BIRTHDAY”かな。やるんなら。」

「あまりにも、ソレっぽい曲だな。なんか。」

「いいでしょいいでしょ、バースデーソングとしては。」

桜もそのCDをかけたがっていた。なんともいえないが、とにかくかけたがっていた。

「知ってる?この曲?」

「知ってる。歌った事ある。好評だけど、いつも歌えない。」

「私も歌った事あります!」

「カンペキ!」

明莉は指を鳴らして、「そんじゃ、呼んでくるねー!」と外へ飛び出していった。

「ヤレヤレ…。ま、歌える以上に、歌いたいってのもあるけどね。AKARIには。」残りのメンバーも、スタンバイに移った。あと、渡すプレゼントの包みも。


数分後。

ー‥ガチャッ。

「こんな所で私にご用事…って、え!?」

yamakoは入ってきた途端、アイドルたちの姿に仰天して目を丸くした。

「あなた達!何でここに。」

「今日は、やまさんこと、yamako社長のバースデーということで!」

「イエーイ!!」

明莉の合図で拍手が起こる!

「では、私たちから、日々の感謝を込めて、歌を最初にプレゼントしたいと思います!」

「イエーイ!」

隼人がマイクがキーンとするまで叫んだ。

「さあ、やまさん、そちらにある椅子に座って下さい!」

「…!!」

yamakoは突然の出来事にまだ驚いているようで、腰掛けたあとも、まだ落ち着く事ができなかった。

顔も真っ赤にして。


「それでは!聴いて下さい。“HAPPY BIRTHDAY”。」


曲が流れだすと、打ち合わせも何もなかった7人は、自分のポジションに上手くつき、ステップを踏んだ。

と同時に、プレゼントまで手にとって、踊りながらyamakoに渡し出したのだ。

「…あなた達!まあ…!まあ…!プレゼントを用意してくれてたなんて…!!」

受け取るなり興奮が収まりきらないyamakoは、貰った手が震えた。


♪~

お誕生日はいつですか?

僕らが祝ってあげましょう

最高の思い出にします

未来にも残るお祝い

一生一度の今年の誕生日


最高の思い出になる誕生日をしましょう

みんなHAPPY!になる BIRTHDAY!

一生の中でもぜったいに忘れない

そう HAPPY!


誕生日はいつですか?(今日この日!)

私たち(僕たち)お祝いします

最高の思い出にします(必ず!)

ぜったいに忘れない

一生一度の今年の誕生日

最高の思い出になる誕生日をしましょう

みんなHAPPY!になるBIRTHDAY!

一生の中でもぜったいに忘れない

そう HAPPY!


HAPPY HAPPY BIRTHDAY

一生一度の 今年の

HAPPY HAPPY BIRTHDAY

もう忘れられない 素敵な

HAPPY HAPPY BIRTHDAY

“HAPPY BIRTHDAY DEAR やまさん!

HAPPY BIRTHDAY TO YOU”


賑やかで楽しいこの曲の流れが終わったと同時に、

「みんな…私泣くわヨ!もう!」

顔を見せないように必死で、yamakoは感動のあまり号泣してしまった。

「まあまあ、喜んでいただけて嬉しいです、やまさん。」

「プレゼントはあ・と・で!開けてみて下さいね!」

考輝と明莉が、傍まで来て言った。

「う…うわああああああん!!ありがとう、本当にありがとう…。」


みんなでジーンとする空気。

パーティーは、成功に終わったのだった。なぜなら、このパーティーの目標、やまさんを泣かせる、は見事成功したのだから。



「あらあら、私みんなにプレゼント貰ったわ。アロマキャンドルに、足のむくみが取れるっていうコレに、こないだ欲しいって呟いてた小説に…。あら。この包みには紙が入ってる。…何これ、メッセージカード?“やまさん、今年でおいくつですか?40辺りでしたっけ(笑)”んまあ失礼ね!私はまだ、若いのヨ!アラサーなのヨ!もう!」

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