やまさんへ贈るものは
こんばんは、いつもマイペースでスローな神無月です。
今日の更新だって予定でも何でもありませんでしたから。
昨日、私が毎回読んでいる小説が2作品も更新していたのに、全然気付かずにいましたから。うっかりです。
さて、私はこれからまた何日間か休もうと思います。またも事情で、です。
復帰は必ず致しますので、その時はご報告させて頂きます。
それではどうぞ。
あら、今日は空気が特に美味しいわなんて、ちょっとだけほんのちょっとだけ言ってみたかったのヨ。いえ、空気というより今日そのものが美味しいわ。
だってね、今日は私、あの煩い弟にお洋服をおごって貰えるわ。それにね、中学時代の同級生にもああだこうだといじられずに済むもの。逆に祝って貰えるなんて、幸せ過ぎじゃない私?というかこれだけでも幸せヨもう…。
何より娘の楓にはとても感謝しなくちゃならないわ…。あの子はいっつもいっつも学校では男子とケンカしてばかりで、私だって仕事で忙しいのに世話かけて。でも中身はいい子なんだけどね…。安藤一家は代々あの事務所を継いでいく、そして守るみたいなのが私の母の理想像だから、是非楓にも継いで貰わなくちゃね。あんなことやってる場合じゃないわヨ、楓。
ほら、私が面倒みてきた子達が何か計画してくれてるみたいで。今日のために。内緒の計画みたいだけど、あの5人たら、秘密が下手くそねえ。大人にはすぐわかるわヨ。もう。その優しさが、私は大好きだけれど。
あぁー、あの時ヨ、その計画自体を知ったのは。いえ、私自身はじめっから聞きたかったわけじゃないけど、偶然耳にしたのヨ。(って、秘密漏れちゃってるじゃない!)確か…KRASHのCDに、シークレットトークを収録するっていう時だったかしら?その時にこっそり、楽屋で言っていた気がするのヨ。
ええ?何?聞きたいですって?言うと思ったわ。いや、言わなくても言わせたわヨ!仕方ないわ聞かせてあげる、その時の楽しかった事!
‥ー
「おーい!集まれえ!」
10月某日。
この日はKRASHの2ndアルバムが発売っていう事で、新曲の収録や歌詞のブックレットに載せる写真を撮影したり。忙しい1日だった。
特にアルバム収録限定ソロ曲をレコーディングするという時は、KRASHも数少ない休日の中で頑張ってくれている。私は社長、プロデュースしていったりする中でよくまああんだけの事をやるなあ、とつくづく思うのだった。
「12時半になったら10番の楽屋戻れってさ。」
普段彼らが仕事をする為訪れるダンスのお教室と違い、ここはレコーディングスタジオ。ソロの収録の為だった。
「はいはーい。」
「了解!」
スタジオ内で待機をしていた4人も、隼人にそう答えた。
メンバーはそれぞれ個性的で、コンサートの時の楽屋と何も変わりのない感じで過ごしていたりするのだ。ゲームを持ち込んできたりとか、雑誌を読んでいたりとか、真面目な桜には新曲を覚えるという動きも見られた。
「あんたも、覚えなくていいわけ?」
「ん?俺?ああ、もう覚えてるから。」
考輝はゲームに熱中しながら、目を離さず言った。
「早い…。明莉は?」
「あとでやる。」
おかしいだろ!桜はのんきな明莉に呆れた。
でも彼女は普段からそうであり、それで足を引っ張っていた事もなかったから、恐らく呑気な感じでもいいのだろう。
「じゃあ…涼。」
「…んあ、俺?ああ、いいけど。」
「話聞いてる?何がいいのよ。私は歌詞暗記とかしなくていいのかって聞いてるの!」
どうやらそうではないらしい。涼太は隣でぴったりくっ付く考輝に、ゲームを手伝えと聞かれ「いいけど」と答えたらしい。けど質問されて3秒遅れて応えるというのはどうなのだろうか。ちょっと。
「俺たちの前にスタジオ使ってるグループが終わったら、KRASHすぐ行けってさ。」
「ラジャッ。」何だか隼人の方を誰も見ずに頷いたという悲しさ。
ふと、桜が何かを思い出したかのようにぽろっと言った。
「あ、そいえば考えなくていいの?やまさんの…お誕生日。」
「忘れてた」。明らかにそういう顔をして硬直。
「え?そういえば今月って10月…。10月!?ええ!?やままささんんの誕生日だ!」
一斉に5人は、壁に掛かったカレンダーの方を向く。確かに今日は10月。仕事仕事と溜まってゆくスケジュールに埋もれると、こんな事も有り得るのだ。
「んまあ!ヒョエ~。どうしよっかなあ…。やまさんのハッピバ(ハッピーバースデイ)どうしよ!?」
「あんたたち、忘れてたんでしょ。」
桜は腕を組み足を組んで、目を細めた。
「ごめん、忘れてた。まるっきり。」
気にかけてもいなかったようだが、桜ただ1人だけは頭の中にありこれからのレコーディングよりも大事なくらいだったのだから。今までのアイドル人生で一番お世話になった人は、当然yamako社長なのだから。
桜が怒鳴って立ち上がると途端に周りもざわっとした。
「やまさんに何も計画しなくていいわけ!?」
「え?したじゃん。」
「何をよ!」裏声で桜はまた怒鳴った。
「俺の誕生日の時みたいのでよくね?」
「隼人も!」今度は適当に受け答えしているリーダーにも黙らせる。
「とにかく!何か計画しなくていいの!?」
これじゃ外にまで話が聞こえてしまうよ、という程部屋中に桜の声がガンガン聞こえる。
こんなことでは、やまさんをお祝いなんて出来ない。今までも計画性の無さでもやっていけたが、今回ばかりはそんな気すらしない。それを裏リーダーとして仕切る桜は心配になっていた…
と、その時。
「決まってるよ、あたしはもうやりたいことがあるから。」
明莉が、突然言い出した。
「続く」みたいな終わり方をしてすみません…。続かないものですね…。以外と。ネタはきちんと作っておこうと思います。




