ダンスに必要なもの
ダンスを全くした事の無い作者神無月です。
ダンスの事ならよく知っている原作者の人の方が書いていれば醜い文章にならなかったでしょうに。
オリジナルストーリーはド素人の作者の方が書いている事を頭に入れておいて下さい。
今更ですが「詳しくない癖に書くなよ」という批判は受け付けてない事も知ってて欲しいです。
「何で…何で!?」
明莉は渚の方を見た。焦る明莉をよそに渚は平然としていた。焦っているのに気付いていないのかもしれない。
明莉はyamakoの方を見て、自らの怒りをぶつけた。
「どうしてですか!?この子は何者なんですか…!!」
今にもがつんと蹴飛ばしてきそうな程、明莉のいらつきは半端ではなかった。それに対しyamakoはこう冷たく答えた。
「何って、後輩じゃない。」
「ただの後輩が、何故!?」
「“ただの後輩とは言ってないわ。渚ちゃんは、あなた達と同じように教えられている。」
「「…?」」
4人も少し驚いた。自分らの方が劣っているということなら。
「同じ指導を、受けているのに、ですか。」
「そう。」
yamakoは桜にこっくんと頷き、そして5人に向けてじっくり話をした。
「今、踊ってみて分かったでしょう?実力は5人の方が上回っているのは誰もが認めているけど、決定的に違うものがある。それは何だったと思う?」
yamakoは敢えて尋ね、彼女の言葉が5人の心に響いた。
“決定的に違うもの、それは何だったか”
悩んでも悩んでも分からないのはこの時点で4人だけで、1番納得しなかった明莉だけが明らかに引っかかっていた。
「…。」
「明莉ちゃんには分かるみたいね。気付いたことを、メンバーに話してみなさい?」
yamakoに目の前で言われても、うつむいたまま、明莉は口をなかなか開くことが出来なかった。
その様子を見た桜は、
「何か分かるなら、教えてよ。黙ってる理由なんてある?私たち、“KRASH”じゃない。何があってもいつも一緒にいた仲間じゃない。」
ニコッ、とこれまで滅多に見ない自然な笑顔を見せた。
「そう…か。」
…と、その時だった。
「はい、そこおーっ!!」
yamakoが突然大声でいい会話の邪魔(?)に入ったので、5人ともが黙りこんで社長を睨んだ。
「その割り込み、何スか。」
「あら~ごめんなサイ?」
てへへ、とごまかした後、話を続けた。
「足りないのは…今あなた達が見せたものヨ。分かるかしら?“笑顔”ヨ。」
「え、笑顔?」
yamakoは隼人の頬をやさしくつねった。
「そうヨ。思い出して。さっきまでどうだったか。振り返ってみて。」
5人共、ダンスに大事なことの1つ、“笑顔”というものを忘れかけていた。険しい顔して、何も伝わらない動きをしていた。
生き生きと、そして楽しむ。12歳の頃から歌って踊ってきた時からの持ち味が消えかかっていたことに、yamakoも気付いていたのだ。
「笑顔になれない何かがあるから、楽しく踊れないんじゃないのー?」
yamakoがにたーっとしながらも、心配していた事は図星だった。
真っ先に明莉がメンバーに向けて打ち明かす。
「じっ実は学校でも上手くいかないことがあってー‥。」
すると、4人も
「あー、よくあるある~!」
と、温かい反応を示し、明莉の“笑顔に慣れない何か”を聞いてあげた。
こぼれていく学校での悩みに共感した考輝も、冗談混じりに付け足した。
「それもうあいつのせいだろ?あいつめっ、喧嘩なんかしてくんじゃねぇよ。」
「ハハハハッ!!」
次々無邪気な笑い声が絶えず、気付くとKRASHの悩み事暴露大会になっていた。
そして、もうその場からyamakoの姿は消えていた。
「今日は協力ありがとね。」
「いえいえ、私も凄く勉強になりましたから、やまさん。」
「(いつからあだ名がやまさんになったのかしら)」
yamakoは渚とこっそり部屋を出ていた。抜け出した、というのが正確だ。
「そう言えば、やまさんには悩みってあるんですか?」
2人並んで歩きながら、渚がyamakoにそう尋ねた。まさかやまさんから、本気の答えが返ってくるとなんて思ってもみなかった。
「うーん…。何かしらね。」
yamakoは少し考えた末、こうきっぱり答えた。
「やっぱり、事務所のアイドルの卵たちの将来を考えてしまうことかしら。」
「何で、ですか?」
渚はその意外さに驚いた。冗談ばかりを言われると思っていたのに。
「だって、あの子たちはしっかりしてるから、んな心配いらねぇよって思ってるだろうからね。」
「そうなんですか…。」
yamakoは感動しながら、KRASH5人にバレないように、ドアの隙間から5人の様子を覗いていた。
文章を一部訂正しました。(2013.4.19)
yamakoは未婚の20代という設定でしたが、原作者さんとの今後の都合もあり、30代の既婚者という設定に変わりました。
話がややこしくなるようですが、2人で1つの作品なので。