期末テスト返却拒否
勉強って子供の敵ですかね、神無月です。
というかテストが敵でしょうね。味方につくことはまずないでしょう。というか子供側がテストを受け付けませんよね。
今回は、KRASHの中で最もテストを受け付けない典型的な男子、隼人のテストのお話です。
点数が高い時は「ほら」と言って見せるか「高くないよ」と言って見せるか。でも、点数が低い時は誰にも言えません。今回は、周りの皆についていって、今まで横に並んでいたのに、置いていかれてしまい何も言えなくなった人の話です。誰だって、ずっと横に並ぶために努力をしますが、時に嘘もつきます。同時に、どうして点数に差が出来てしまったのか。
2回程に分けて書きます。それではどうぞ。
7月。3学期制のシャレンド学園は、もうすぐ1学期が終わり、生徒が楽しみにしている夏休みがはじまる。楽しみな理由は、ほとんど一般の子供と変わりはないが、例えばコンクールが近くなると強化合宿の為に校外学習へ行けたり、志望者のみ音楽鑑賞教室があったり、部活や学校主催の行事があったりする。
しかし、夏休みになる前には必ず、生徒がとても嫌いな事があるのだ。
それが、期末テストというものだ。
「やだなあ。俺は理科なら得意だったけど国語がな。」
「私は声楽と器楽は大分自信があるわよ。」
「すげー。俺ダンスはできたぞ。」音楽学校である為、一般の教育よりも音楽に関する事がとても重視されているテストが多かった。体育でさえダンスだったし、音楽も5つくらいに分かれていた。歴史に器楽に声楽の事に…と普通は細かくやらない部分はとても範囲が広かった。
「あーあ…俺今回は自信無かった。」
「1つくらいあるでしょ。」
こんな風に桜や考輝が話しているのは、一般生徒から見て「頭が良い」というレベルに入る。どういう事かというと、
「俺今回は90点いかないかもしれない。」
「あらそう?私ここだけは抜けて5点引かれたかも…。」
なんという高レベルな会話。平均点なんてゆうに越える5人の成績は、他の人から見れば雲の上くらいのレベルになる。
「さすが…。生徒会でもあるし人気アイドル…完璧ですね…。」
1人を除けば。
「ああどうしよう、どうするんだよ!コレ…。」
「どうするんだ…!こんなんじゃ、俺アイドル失格だ。」
「別に失格じゃあないけど。」
桜がそう言ったけれど、隼人は非常にテストが返ってきてほしくないような態度。
「補習決定かもしれねえ…。」
「そんなわけないわ。」
しかし、隼人はまた言った。
「60点以上70点以下だったら、危ないだろ?」
「いや補習はね、多分50点満たない人だけよ、あとは自主的に来るくらいでしょ。」
桜が言いながらも、そんなに悪かったのかと心配になった。
「悪いよ。まあ補習とまでいかなくとも。だけど、俺の夏はもうないね。」
「そんな悲しい事言われても…。」
桜は余計心配になった。
「あのねえ。テストの結果に自信持ちなさいよ。自信無いのは3回くらいは聞いたわよ。」
「まあ、自信満々でとんだ点数だった時がかなしいけどな。」
「考輝、余計な事言わないの!」
考輝がニシャリニシャリしているのも、当然隼人へいたずらしてやろうという顔なのだった。裏では自分も自信がないくせに。
(俺だって、無理な教科だらけだぞおい!)
次の日。
テストが返される運命の日だ。これで夏が決まるようなものと言っても過言ではない。
全校生徒、みんなの緊張。自信があればあるほど、結果は楽しみになっていたりするが、それはごく一部。
B組は特に煩いクラスと指定される。
「やった!やった!点数上がったぞ!」
成績が平均して高いのはA組、低いのはB組、前からそんな噂があるが、隼人が事実B組ということから、本当にそうなのかもしれない。
「うえーい、数学50点いったぜ!
「おいおい、俺は52なんだぞ!」
という男子の競り合いになっている程だ。
「三者面談お前らはどうすんだよ!」
「捨てた。」
「はあ?
「真顔でごめんね。」
「ほんとだよ!」
隼人は既に返された子の点数を覗きこんではニヤニヤした。
「ふう、下には下がいるんだな?」
けれどバカの中で比べていいものではない。隼人は既に、プライドを捨てている。
「あっ、見たな隼人!」
「ごめんごめん。」
そしてようやく、隼人のテストが先生から返されていく。
(ドキッ)
誰にも覗かれないように、こっそりそのテストの点数を見ると、
(よ、43点!?国語43点!?そんな、もうアウトじゃねえか!)
ギリギリのギリギリで、補習にはならないし、地獄への招待状(=補習の呼び出し)も来ない。
それでも、こんな点数、悪すぎる!
「うわあーっ!」
「どうしたのー?沢渡くんー。」
「ヤバい点数でさあ…。」
「それでもカッコいいよ!」
これでもモテるのが不思議なところだが、女子はみんなで隼人をちやほやちやほや。どんなバカであろうと顔がよければいい、性格がよければいい、女子の勝手。
(こりゃ恥ずかし…)
隼人はKRASHのメンバーにも言う気がなくなって、そのまま黙っていることにしたのだった。
(47に58に38に51に46に…こんな点数ばかりじゃ大変だぞ…夏休み中全く勉強出来ねえし。)
非常にまずいテストの結果。非常に凄い4人の点数。遊んでたわけじゃないのに差がありすぎる。
(やっぱり言うべきか、言わないべきか…。)
勉強を教えてもらえれば、きっと次は良くなるのだろうと思っていた。けれど笑われそうだ、笑われたくない気持ちは隼人をどんどん追い詰めた。
(いやー、俺にはプライドくらいあるけど…黙っておけばあいつらには笑われず、誉めて貰えるだろう…。)
遊んでないで、きちんとテスト勉強をした。なのに点数は極端に下がった。何故なのだろうか?
それは、自分が頭か悪くなったからか?自分が授業についていけなかったからか?偶々か?




