5人のライバル
こんにちは、神無月です。
BBBというユニットの説明がまだあまり出来ていない中での更新、申し訳ないです。
昨日に続き、今日もダンス練習があった。今日は偶々学校も早く終わったので、練習開始時刻もそれなりに早くなっていた。
5人が仲良くダンスのレッスンに来て、教室(練習部屋)へ入ると、もう鏡の前で自主練習を始めていた子がいた。
「懐かしいなあ、俺らも白T着て早くから来てたなー。」
丁度よくそこへ、のこのこと社長•yamako…と、もう1人別の女の子が来ていた。
「あら、待ってたわヨ!」
何を待っていたんだか、という目で振り返り、yamakoは話を続ける。
「実は、ある子と一緒にダンスの自主練習をやっててほしくて。デビューしてるKRASHにだから頼めることなんだけど…。」
そう説明された途端に、ひょこっとyamakoの背後から出てきたのは、何故か
KRASHの衣裳を着ている子だった。身長は桜と隼人の間くらい。短い髪を横に結んでいる。そしておどおどした様子。
「ど、どうも、初めまして?練習はいつも見てます。宜しくお願いします…。」
何とも自信が無さ過ぎて、5人もどうしていいんだかという感かんじだった。
「ま、仲良くしてあげて。皆知ってる通り、有名な後輩よね?NAGISAって。」
「知ってますけど…何故オレらなんですか?デビューしてるし忙しいんじゃ?」
「大丈夫、そこはね。ダンス強化期間として定めたから。」
社長恐ろしい…と、隼人は思った。
「とりあえず、宜しくね!一緒に踊ってもらうダンスは、先生が教えてくれるから。大丈夫。じゃ!頑張って。」
yamakoは粗い説明以外せず、そのまま部屋を出ていった。あとには唖然とする一同のみ。入れ替わりに(というかもともと仕組んであったのだろう)先生が入ってきて、5人に詳しい説明をしに来た。
「ダンスの曲は、これなんだけど…覚えてるかしら?あと、渚は明莉のパートを踊ってもううからね。」
先生から見せてもらった紙に書かれた曲目は、どれもデビューして直ぐの曲ばかり。2年前としても、まだ子供の5人は覚えているかも怪しい曲だったのだ。
「これ…を?」
「そうよ。ある程度は教えておいたから、後は一緒に踊って、アドバイスとか教えてあげて欲しいの。」
先生までも細かい説明をせず、他の子の方へ行って指導をしに行ってしまった。いつもの先生なら、KRASHに最も指導していたのだが、今日はずっと自主練習。
「へんなの。というか何しろっつーの。」
「とりあえずCDかけよか。」
涼太がそう言ってCDを再生し、アップテンポな曲から流した。6人きちんと立ち位置についた。
イントロのギター音が聞こえ始めると、まずセンターの隼人が横に流れ、続いて他の人から見て右の考輝がズレて…というようにスタート。
その後ろにいる明莉に、いつもならいない「後ろ」がいた。
渚は明莉より少し大きいため、元々からして目立つのだが、生き生きと笑いながらKRASHの曲を踊り続けていた。
一方で、メンバーはうろ覚えで記憶が定かではないため、自信をもって踊れない状況になっていた。明莉以外の4人は、それでも気にせず気を緩めていた。
KRASHのダンス担当と呼ぱれるほどのダンスの実力がある明莉は、逆に怖くなっていて気を緩めて踊ることなんかできなかった。あまりに上手過ぎる。キレもよくただ者じゃないのが、背後からでもよく伝わっていた。テンポを崩さずにダンスすることで限界だった彼ら。それに対して渚は、更に一歩先を走っていた。自分の初めて踊る曲の筈なのに…。
サビに突入し、周囲の子たちも寄ってきたところで、6人は今までない緊張感だった。
(あの子には…負けない。負けたくなんかない…!!)
明莉は必死で目立とうとして、歯を食いしばっていた。
しかし、それも無駄だった。人の目によって簡単に引き裂かれてしまった。
完全にKRASHではなく、後ろで「バックダンサー」のように踊っていた渚のことを見ていた。
渚は笑顔で、ダンスを心から楽しんでいるように。曲に合わせて。
(…!?)
最も驚いたのは明莉だった。完璧に踊れたと思っていたのに、なぜ?
その衝撃のせいか、いつもならミスしないターンも、次々失敗してしまい、1曲やっと終わるとグダグダになっていた。ただ1人を除いては。
((どうして!?))
後から入った子は、一体何をしに来た?私たちを壊そうとしているのか?何の為?憧れられたKRASHは?もしそれが社長の考えだとしたら…。
(あたしは…あの子に、負けたの?)
瞬間悔しいような、そんな気持ちになっていた。
後ろの人目につかれない所で、yamako社長と先生も、それを見ていた。
「次の曲、やりましょうよ。」
渚から声をかけられても、KRASH5人は応えることも出来なかった。