今週の彼女
実は外に出る事は大変苦手です神無月です。
涼しくしたいのでアイスを食べていますが、どうもあまりアイスは好きじゃなかったりするので、氷かゼリーを食べて生きています。こんな話をしていると食べたくなってきた。
さて、今回の話は原作ではやる予定すらもなかっただろうオリジナルストーリーです。イニシャルとか出てくるのは別に…問題ありませんから!あのイニシャルは適当です。また、この題だけで中身がわかるような内容になってしまいました。
BBBの回だと思ってスルーしてあげて下さい。
夏らしくなってきて、男子寮の方もなぜか夜になると大はしゃぎしている具合。勿論昼間は居ないが放課後も賑やかだし、朝もこっそり5時頃に起き出して布団の中に潜っている程落ち着かない。それが男子というものだ。
ここに受験して入ってくる男子生徒の特徴は、例として本当に直りようのない悪ガキが殆ど居ないこと、頭も平均して同じ、音楽の才能に長けている、などで、BBB3人組もそういう所の才能は凄い。けれどもやはり学園内では静かにしてないのが、いかにも子供らしい。
そんな中にアイドルの隼人•涼太•考輝の3人が含まれているからこそ、BBBという別の名前のグループがある。
そんなBBBの、またある日の日常。くれぐれも、みんなに迷惑をかけないように。その注意は、彼らに聞こえただろうか。
ある日の学校での事だ。
2年生の教室があるフロアは、学園内で一番騒がしい。KRASHが居るからという事もあるのだが、この学年の生徒自体がそもそもうるさい。
「ったく、女子が告白の練習してたぜ、さっき。」
「告白に練習なんてあるのか?」
3人が廊下を歩いているだけなんて、普通の人の場合は女子は見向きもしない。しかしそれがアイドルだと、周りは女子だらけになっていた。
「ったく、女子はどうかしてるぜ、なあ隼人。」
考輝が隣を見ると、いつの間にか隼人が目の前からいなくなっていた。
「あれ。」
と、その時。
「隼人~!ごめ~ん!」
2人の背後から、隼人を呼ぶ女子の声がしたかと思うと、その女子が小走りした先には、教室の前で誰かを待つ隼人の姿があった。誰か、とはおそらくこの女子の事だろう。
「ごめん!遅くなって!」
女子の方は、考輝と涼太のクラスには居ないのでよくは知らないが、1つ結びの髪に背が少し低めというのが特徴だ。あと内股歩き。
「どう見てもぶりっ子だ…コイツ。隼人に何の用が?」
2人の足が止まり、隼人の様子を暫く見ていることになったのだが、考輝にはそれが何なのか分かっているようだった。
「俺の方こそ、ごめん。」
「じゃ、行こっ。」
相手の女子は全く嫌がらない隼人の手を握って、2人で階段を降りていってしまったのだ。
目撃してしまった2人。
「はあ~、なるほど。隼人もそうならそうと言ってくれりゃいいのになあ。」
「だよな。彼女が出来てたなんて。」
自分の彼女の事ではないのになぜかニヤニヤする2人。
「まあ、彼女が居たのは知ってたんだけどな。この前フラれてたんだ。」
「そうなの?」
「そう。」
考輝がなぜそんな事を知っているのか、涼太はは不思議に思ったが聞かない事にした。
「小学校の頃もモテてたしな。3人くらい彼女が違ってたけど…。」
「そうだったな…。ん?ちょっと待て?」
羨ましがるように2人の後ろ姿を見ていたのだが、考輝はちょっと考える。
「あいつ、先週フラれたとか言ってたけど、先々週も違うヤツと居たぞ?」
「え?」
涼太の表情も、一瞬のうちに変わった。
「だって先々週は髪短え奴、先週居たのは2つ結び。全然違うじゃねぇかよ。」
そうだったのか、と涼太はうんうん頷く。
「何じゃそりゃ。じゃあ隼人、一週間で彼女が変わってることになるぞ?」
「そういう事だろうな。」
2人は目を見合わせると、たちまちぶっと吹きだしそうになった。
「はーっはっはっはっはっはっ!あいつ面白え!」
「これは調べてみないと。」
「よし、調べるぞ!」
どうやら2人には、バカのスイッチが入ってしまったようだ。
その日の休み時間。
「おーっし、じゃあ今からこの紙に書いていくぞ、歴代の彼女の名前!」
考輝はノートのページを破った紙を1枚持ってきて、涼太の居るD組にやって来た。
「オレは覚えてないぞ?」
「覚えている範囲で名前を書けばいい。」
と言いながら考輝はペンを握って既に名前を書き始めていた。
「O、S、I、I、M、M、S…」
「何、名字の頭文字でいいの?」
「じゃあフルネーム?K.O、S.S、A.I…」
ぶつぶつ何か呪文を唱えているかのように独り言を言う考輝。
「怖いぞ、お前。」
「俺が知ってんのは、こんなもんか。」
結局考輝が短時間で出した名前は、10人を超えた。
「お前よく覚えてたな。何でそんなに詳しいんだ?」
「ヘンに記憶力がいいからな。」
「彼女が居た事ないから羨ましいんだろ。(あ、口がすべった)」
「次言ったら殺すぞ。」
考輝が思いっきり睨んだ。
「ところで、こんなに彼女居たのか?」
「多いよなwwやっぱ多いよなw」
ぶっと吹いた。
「さあこれ、どうしようか。まあこの中の何人かに聞きに行くのもいいんだが。」
紙に書いた名前を見て、考輝は言った。
「別にこのまま調べて終わりでもいいんだけどな、あいつの彼女の伝説を知りたいんだ。」
「まあ3人くらいに聞いてみますか!」
これが彼らの第一の計画である。
隼人へ
ごめんな、勝手にこんなことして。
申し訳ないとはこれっぽっちも思っちゃいないけど。
大丈夫、名前が晒されないように一応名字の頭文字にしておくから。これなら訊いても怒らない、よな。
訊く相手とは、廊下の隅で待ち合わせし、彼女時代の事を訊きだすことにした。
最初に2人が尋ねたのは、かなり前に彼女だったOという人。短い髪で、内股歩きで、薄化粧をした事があってランクを下げられた事がある生徒だ。
「嫌嫌嫌嫌嫌!だいっきらい!」
Oは首がもげるかと思うほどブンブン横に振った。
「え、好きじゃないの?」
「もうね、今思うとね、何であんな奴好きだったのかわかんない!」
あまりの拒否に、考輝は恐ろしくて嫌いになった理由を聞けなくなった。
好きだった理由も。
「あいつの顔見たくない!もうやだ!」
「あっそ。」
「本気で嫌!」
「あっそ。」
「もうバカみたい!」
「あっそ。」
このままじゃ俺達、こいつの暴れように巻きこまれるぞ、2人はそう思ってその場をあとにした。
「付き合ってるかどーかなんて、Sに訊けばいいじゃん!あの子何かかわいそうだから!」
「S?かわいそう?」
涼太は首を傾げた。Sって確かに名前が挙がってたけど、誰だっけ?それに、かわいそうってなんだ?
「結果、隼人はフラれると嫌われる。」
そんな結果を分析して、2人はSに訊く為Oをほうっておいた。
「何言ってるの?今も付き合ってるよ?」
続く元カノSの特徴は、ロングでおしとやかで、メガネをかけている知的な雰囲気という事。さっきとは違いがありすぎる。
元カノなのに、自信満々なところも。
「ハーッハッハ!お前ね、分かってないっしょ。」
「何が?」
「彼氏のことw」
Sは考輝がバカにしているのも気付かず、ペラペラと喋ってしまった。
「隼人ね、私と今度2人だけでどこかに行きたいって言ってくれたの♪」
(こりゃあとんでもないぞ…)
まだ付き合っていると思っているのかSの目はキラキラして妄想モードに突入し始めていた。
「ああ…もうカッコイいよ…!隼人はすっごく優しくてね!」
「もう、いいよ。」
考輝は呆れて、Sの口を危うく塞ぎそうになった。
「わかったありがとう。でも、偶には人の意見に耳を傾けた方がいい。」
涼太が一言そう言って、Sはそのお花畑な気分のまま、教室へ帰っていった。
「あんなに浮気者が好き過ぎる奴もいる。」
2つ目のまとめは、これだった。
「わ、私は別に彼女ではなくって…!」
3人目に訊いた元カノさんは、内気で自信のない感じのI。
「え、彼女だったんじゃねえの?」
「いや、私はただ仲良くなっただけで、別に彼女じゃない。」
「それ彼女っていうんじゃねーか。」
考輝が笑いそうになるのをこらえた。
「いや、だけど告白されてないから…。」
涼太はこんな性格の奴も好きで、ウルサいあの女子も好きな隼人の好みがわからなくなった。
「じゃあ、自分は彼女だったという自覚は無い?」
「う、うん。」
こんな結果から分かるのは、「彼女だと思われてないこともある。」
「いや~あいつの好みが分からねえ。」
髪をかきながら、考輝が困った顔をした。
結局2人が分かったことといえば、それは隼人が雑食であることと、本人がいつの間にかフッている場合と、逆に相手にフラれている場合があること。
「あんなんじゃあ、また来週も彼女が違うんじゃねーか?」
クスクス笑いながら涼太が言った。
「あっ、もうすぐチャイム鳴るぞ。」
第一の計画は、まあ終わったといえる。彼らにとって、成果など別にいいのだ。
「隼人~。」
お昼の時間に、朝のように3人揃って屋上に集合した。ここの学校は、屋上にもベンチなど休憩スペースがあり、昼であれば屋上に自由に出入りすることが出来る。
「なんだー?」
「お前って、どんな人が好きなんだ?」
率直な質問に、隼人は「げっ。」と何も言えない状態。
「何をいきなり言ってんだよ~。そんなの教えられるわけ…」
「彼女が一週間で替わる事実を、どう思うんだ。」
「そりゃあ…何とも思わねえけどー。」
「だけどよ、それは浮気と同じようなもんだし。さ、言え。」
考輝はにやけながら、更に訊きだそうと隼人に言う。
「…俺?特に…特に好み無いんだけど。」
「「えーっ。」」
2人は隼人に少しひいた。
「だって俺、勝手に告白されたり、話してて面白い奴が彼女になってたりするだけ。」
「贅沢な事言ってんじゃねえよ!!」
考輝が大声を出した。と同時に爆笑してもいた。
「モテるからんなこと出来んだよ!」
「俺モテないけど?」
「モテてんだろが!」
間に入って止めようとするも、2人が何故かこの話題でバチバチになっていて入れない涼太。
(オレの彼女、普通ーなかんじですけど…何でこんなになるんだw)
「あ、俺、彼女に呼ばれてるから!じゃ!」
隼人はその嫌な空気を避けるように、離れて教室に戻っていった。
「「何だ、あいつはw」」
2人は同時にそう思った。
「ああ、隼人はいつもそうだったわよ。そうだったじゃない。」
ダンスレッスンへ行く途中の電子で、桜は昔を思い出した。
「そうだったのか?」
「ええ。KRASHになる前から付き合ってた事あるから。」
「「ええーっ!?」」
「シーッ、聞こえちゃうでしょ。でもそうよ、すぐに好きな人替えてたわ。」
こりゃあいい事知ったかも、2人は陰でクスクス笑っていた。まさか桜まで付き合ってたとは。
「あいつ、桜まで好きだったのかよ。」
そして、数日経った日の朝の事だった。
「相変わらずだなー。2年のうるささは。」
いつものように、3人揃って目立って廊下を歩いたて喋っていた。
「ムカッときたわ一瞬。でも女子がキャーキャー言ってんのも、もう慣れっこだしな、隼人。」
考輝が肩をすくめながら隣を見ると、横に並んで歩いていたはずの隼人がいなかった。
「あれ。」
すると、2人の背後から、遠くで誰かを呼ぶ声が聞こえた。
「隼人~ごめん!」
振り向くと、それはまた、女子だった。明らかに隼人を呼ぶ声だったが、前とは明らかに違う別人だった。声も違う、背も違う、髪型も…
そして、その女子が走って行く先には…
教室の前で女子を待つ、いつにも増してかっこつけた隼人の姿があった。
「「彼女替わってんじゃん!!」」
彼女が一週間で替わる、それが隼人の伝説。
それを伝えたかった、ただのネタ切れ用の話だったりもします。w
グダグダでごめんなさい…それでは。
今日はテンションの低い作者、でした。




