七夕のお願い事
私の夢は些細な事ですが数えきれない程ある神無月です。
最近文字数が増えたのは気のせいだという事で。
七夕ということなので七夕ネタです。子供の願いは夢がありますよ!
皆さんはどんなお願い事をしますか?私は画力とか知能とか視力とか魔力が欲しいと思いますwこんなお願い絶対してはいけません。天の川に怒られますw
それでは!今回は七夕に間に合いました。良かったです。本当に。
「もうすぐだね~。何を書く?」
「う~ん、願い事が多過ぎて困ってる。」
「も~!ほんっと欲張り!」
今日は学園内でこんな会話がなされている。少なくとも、男子も女子も願い事の話題は有る。そして、生徒達が朝からぞろぞろと列をつくる。その列は、校門からと、寮からの2つの列が出来上がっていた。
けれど、そこにはKRASHは居ない。
「朝と昼休み、放課後の時間があります~。願い事を書いた短冊を飾っていって下さい~。」
列の先頭辺りから、桜が大きな声で最後尾まで呼びかけている。桜らしき女子生徒の隣には、ユサユサと風に揺れる大きな大きな笹の葉が見えた。
生徒の方だって、よく見れば手には色んな色の短冊を持っていた。赤青黄緑だけでなく、その人が好きな色だったり、願い事のイメージになるような色。
今日はシャレンド学園で行われている「七夕祭り」の行事が行われる。これは生徒会主催で近年行ってきたものだが、本年度から正式な行事として決定され事となった。
「なあ、お前らは願い事ねえの?」
しっかり地面に固定された竹は、学園内にある庭にドーンと目立って突っ立っている。その竹の下で、奥までずらずら続く長い列を見張っているのが5人。
「あたし?あたしは…。パパとママとあたしが幸せな家族のままいられますように!」
「さっすがお前らしい。」
考輝は明莉の願い事を分かっていたように言うと、列の方に再び目をやった。
「何それー!あたしの願い事をバカにしないでよ!」
「すまんすまん。でもこれ、涼が最初に聞けって言ったんだぜ?」
「何でそうなるんだよw」
そんな会話をしていながらも、様々な短冊を書く生徒を、5人はきちんと見ていた。
時にはバカにしたり、時には共感したり。カップルでいちゃいちゃしながらやってくる3年生も居たし、1年生は友達と楽しそうにやってくる。
「これ、見て![今年こそヅカに行けますように]だって!私この子に自慢して来ようかしら!ヅカ(宝塚)行ったわよ!って!」
「あなた様は何を興奮していらっしゃる。ねえねえ、これなんか[二次元へ行けますように]だってよ、凄い夢があるじゃん。」
桜と明莉が高い位置に飾った短冊を、ぴょんぴょん飛んで指差した。
「はいはい。俺的にゲーム機下さいの方がいいと思う。ていうか金下さいとか。」
「彼女欲しいとか笑える。」
「君達、世界平和という文字は見えないのかい。」
「ああ、あれか。どーせお前が書いたんだろうと思って。」
「オレまだ書いてねえよw」
笹には上から下まで、遠くからも色とりどりなのが見えるくらい、沢山の短冊が飾られた。「きれいね~。参加者が沢山居ると、やっぱり嬉しいわね。」
桜が笹を見上げてそう言った。仲間も同感して、見上げて短冊を声に出さず読んでいった。
「朝の会が始まるので、まだ飾り終わっていない人は放課後までに飾って下さい。」
桜の呼びかけに、周りの生徒も従って校舎内へぞろぞろ戻り始めた。よく見れば5人の予想以上に人が並んでいたのが分かる。まあ、七夕祭りよりKRASH、なのかもしれないが。
「俺達も、短冊飾らねえとな。」
「そうだな。」
「放課後にこっそりつけてしまいましょうか。KRASHのを探そうとする人が偶に現れるからね。大騒ぎされたら困るから。」
5人はすれ違う人達を見ながら、それぞれも紛れて校舎へ入っていった。
その日の放課後。ちょうど1日中晴れだったおかげで、外に出る事ができた。他の人は流石に昼休みくらいまでには短冊を書き終えたようで、あんな長い列は消えていた。
「良かった。あたしの願い事は見られなくて済むかも。」
明莉がほっとひと安心して、「ねえ」と振り向いた時には、返事が返ってこなかった。明莉は1人にされていた。
「アレ?みんなどこに行った?あーっ!!」
4人は(隼人が1番乗り)明莉より先に飾る作業をしようと、ダーッと走って行ったのだ。おいていかれた明莉。
「すみませんよ!あたしがトロくてすみませんでしたよ!」
「あ~かり~!は~やく~!」
少し距離をおいて桜が大声で呼んでくれているけど、明莉には「普段走らないクセに何で!?」という怒りマークつき。
「だから~!早くじゃないよ~。」
「お前が飾る場所、1番目立つ場所になるぞー。いいのかー?」
「いいわけないでしょー!!?」
スイッチが入った明莉が、殺す勢いで全速力でダッシュ!とにかくダッシュして考輝に殴りかかりそうになった。
「怖えよ。」考輝はビビって後ろに引いて明莉をよけた。
「おいてくなんて、ヒドいもん!」
「さあさあ、怒ってないで、早く書きなさいよ。」
明莉に怒っていることをとっとと忘れてもらう為に、桜が無理やり薄い緑色の短冊と黒ペンを押し付けて、近くに置いた小さな
テーブルに連れて行った。
「あ~はいはい。
無理やり渡されたので、明莉はプンプンすねながら短冊を受け取った。
けれど、明莉の機嫌はすぐに良くなった。早く来たくせに、実は誰も書き終えてなかったのだ。短冊には一文字も書いちゃあいなかった。悩みすぎだ、サッサと書け、明莉はそう直接言いたい気分
(なによ、結局あたしと変わらないんじゃない。)
とはいえ明莉だって、今になって願い事が1つ2つ3つ限りなく増えてゆく。頭がクルクルパーになる…。
「ええっと…家族が幸せのままで、あたしがこれからもKRASHのムードメーカーとしていられて、笑顔が絶えず、みんな仲良しのままでありますように!」「長っ!?」
隼人は隣で長々とそれを語るのを聞いてちょっと驚いた。
「よくばりねえ。」
「悪かったですね!もう!」
明莉はまたプイッとすねたが、気を取り直して、書いた短冊を低めの位置に飾った。
明莉の短冊の緑色は、何故か他の人の緑色とは少し違う色をしていたので、どれが自分のかがすぐに分かる。
それに、明莉らしい丸くも四角くもない字が、短冊には小さくぎっしり書かれているのだから。
「書き過ぎだろ…。」
2番目に書き終えた涼太は、もう少し上の位置に、グレーの短冊を飾った。さっき見た他の人の短冊と同じように、「世界平和暴力反対友情不滅オタ魂最高で」とグダグダな字で書かれていた。縦書きなのでそれも微妙に曲がっているし。
「それ、もはや願い事じゃないと思う。」
「あ、将来絶対車買うっていうのも忘れてた。」
「だからさこれは未来の自分へ宛ててるんじゃないっつーの。」
「そっか。まいいや。」
「え。」
「そしたら、書くに相応しいのは歌唱力が上がりますように、かな。」
「どうして願い事が今まで出てこなかったww」
その後続いて考輝が書いたものは、「ゲームが異なっこそ全クリしますように。」小さかったり大きかったりいびつな文字でそう書いてある。考輝の薄い水色の短冊は、涼太の近くに飾られた。
「でーきた。涼よりはマシな願い事だろ?」
「自信満々なようですけどねえ、全クリはもっとアウト…。」
「てか全クリって何。」
「全クリっていうのは、まあゲームでいう本編もクリアして隠し項目全部クリアしてエンディングになること。」
「ふーん。」
桜は興味なさそうに言った。
「そういう桜ちゃんは?」
「ふふっ、私?」
ピンク色の短冊を手に、桜がなにやら嬉しそうにしている。
「私はねえ…じゃーん!」
といって明莉に自慢するかのように見せびらかした短冊には、それより濃いピンク色のラメ入りペンで、「彼氏が出来ますように。」と丸字で書いてあった。それに小さくハートマークも。
「あら、可愛い。」
「でしょでしょ。」
(女子、楽しそ…)
さあ、最後になったのは隼人の短冊。赤色の短冊には、彼は一体何を書いたのか!?4人の予想はそれぞれだった。
(もっとモテる事か…?)
(彼女をつくることか?最近彼女疑惑多いし…。)
(いやあやっぱりここは、サッカーだろ!)
(でもサッカーはもうやってないし。家の会社のことかも…)
隼人が飾った短冊には、こんな事が書いてあった。
4人は、その意外性に驚いた。
「KRASHが、世界一のアイドルになれますように。」
それは大きな字で、堂々と書いた願い事は、まさかのKRASHのこと。自分のことではなかった。
(やっぱり、リーダーだね…。)
何だかんだこんな彼もリーダーだという事、それをメンバー4人は感じた。
「さあ、全部飾り終わったぞー!」
隼人が叫んだ。
笹の葉には、色とりどりの短冊がきれいに浮かぶように飾られ、みんなの思いの詰まった願い事が、ここに集まった。
私たちの願いも届くといいな、5人もそう思った。「今日は天の川見られるかしらね~。」
「見れるかはわかんねえけど、見てみたいもんだな。」
「お願い事、とどくといいな。」
天の川…現実私の住む地域は曇り空です。私が見たいくらいです。シャレンド学園のある場所は、わりと星空が見やすい場所なので見られるかもしれませんね。羨ましい。
そもそも、天の川って今日見られるんでしたっけ?w
それでは!有り難う御座いました。




